薫香のカナピウム

  • 文藝春秋 (2015年2月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163942063

作品紹介・あらすじ

赤道直下の熱帯雨林、地上四十メートルの林冠部が〈カナピウム〉と名付けられた未来。

豊かなる生態系を誇る樹上には、多彩な生物が集まっていた。生命の坩堝たるこの場所で生きる少女たちは、枝から枝へしなやかに跳ぶ――。やがて〈巡りの者〉と出会った少女たちは恋を知り、ともに森を襲う試練と闘っていく。

日本SF大賞を受賞したSF巨編『華竜の宮』で人類滅亡の危機と闘いもがく人々を描き話題を呼んだ著者が初めて紡ぐ、たおやかなる少女のビルドゥングスロマン。



イラストレーション:鈴木康士

みんなの感想まとめ

生命と死が交錯する熱帯雨林の樹冠部を舞台に、少女たちの成長と葛藤が描かれています。著者の独自の視点で、命の香りや人間らしさを探求し、技術の進歩と自然との共生をテーマにしています。物語は、少女たちが出会...

感想・レビュー・書評

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  • 命の匂い。死の匂い。どれほど高度な技術を獲得しても、この香りだけは絶対に作り出せないだろう。似たものは作れるかもしれない。だが、本物は作れない

  • 超SF!
    序盤、丁寧に読み込みすぎて堪能していたけれどあまりにも壮大過ぎて追いつくのが大変。
    香るような森の中の超然とした生物、人類たちが実は『巨人』の掌で踊らされていた…

    遠い将来、地球規模でそういった大変動が起こるのでしょうか。

  • 上田早友里さんは、本当に”外れ”なしです。この小説も読みごたえたっぷり、ページをめくる手が止まりませんでした。
    内容は、上橋菜穂子さんと宮崎駿が描いたの有名な漫画を足したようなお話し。ただ後半からラストは、上田早友里さんならではだと感じました。
    特別な自分が、世界を救うぜ!!って感じじゃないのが、いいです。

  • 樹上で暮らす人々の話から始まっても、普通の森の中の民のような感じがしなくて不思議に思っていたら、突如宇宙にまで話が膨らんでいく。主人公の愛琉(あいる)と異なる部族や生物との関りや<巡りの者>の鷹風と所謂夫婦となるような関りもあり、穏やかに物語は進む。そして愛琉が巨人に出会い、世界の真相を知る。身の回りの狭い世界から地球全体、宇宙へと広がる展開が気持ちいい。

  • 主人公・愛瑠の成長を描いた青春小説。
    ある程度遠い未来。舞台は地球の森。
    序盤はファンタジー。中盤からSF。
    特に難しい要素もなく、ストーリーも分かりやすい。
    とにかく世界観が好きなので、とても楽しめました。

  • 今から数百年後の未来。樹上で暮らす少女たち。
    と、異世界ファンタジー要素は充分なんだけど、ストーリーはちょっとつまらない。
    その世界の中でのドラマティックな展開を期待していたんだけど、なんか、失敗した過去のことばかり。
    終わり方もイマイチ。

  • 南国で暮らすことへの憧れは常にあるんだけど、やっぱ虫が!蚊とか!なんか得体のしれない痒くなったり痛くなったりするあいつらときたら!あれがなければあんなに楽し気なとこはないのになぁ。
    そんな虫どもの脅威を全て取り払った素晴らしい世界を作ってくれたら、と思うのに、いざ作ってもらったら、こんな世界は偽りの世界だ!とか生きている気がしないんだとか、まぁ言っちゃうんだよね、これが。ホント、この人間の面倒くさい感が、また。そんな展開にはやや飽き飽きなものの、なんか展開されている暮らしが妙に良いなー、と、想像してて楽し気だった。
    てか蚊はホント絶滅したって良いじゃんよ。

  • 未来の地球を舞台に、森の中で樹上生活している人類が主人公のSF。メカ的なものはほとんど登場しない。ちょっとナウシカっぽい印象。「香路」とか「巡りを合わせる」みたいな、知っているようで知らない言葉の使い方が上手いなあといつも思います。設定が複雑すぎず読みやすかった。

  • わかりやすく、読みやすかった。
    世界観とか愛琉たち種族の成り立ちとか、最初から何となく匂わせていたので、設定の納得感はあった。
    ただ、いまひとつ没入感がなく、読者としての視点は、映画の観客といった感じだった。

  • 森に生きる少女たちのお話。
    分からないことがたくさんあって知りたくて、一気読みしました。
    森に生きる人々、宇宙に生きる人々、その他の地球に生きていく人々。
    自分だったらどれを選択するんだろう?
    色々知りたくて読んだけど、最終的には知らない方が良かったのかもしれない。そんな風に思える本には初めて出会いました。

  • 「地球の長い午後」のような世界だな…と思っていたら、樹が世界を覆ったのではなく主人公たちが小さいのだった。上田さんの作品は技術の進歩による生物の改造を是としているものが多かったけれど、今回はその是非を正面から問うている。ただ世界観を理解するまででほぼ全編が終わってしまうので、主人公といっしょに悩むほどに世界にのめりこめなかったのが残念。

  • 今までとはちょっと毛色の変わった、未来の地球が舞台の少女成長物語。適度に残された謎からも、続きがありそうな予感。

  • 3.7。面白いが、もっと盛り上がりが欲しかったかな〜。掘り下げでもいい。折角の魅力溢れる設定なのに、筋自体も悪くないのに、物足りない。あとエロシーンではない交尾の説明が欲しかった。そのようになった理由もいまひとつよく分からないから。

  • SFとはそういうものだと言われてしまえばその通りなのだが、前提となる世界を都度構築するのはすごい。
    本作はやや設定を生かし切れなかった感はあるが。

  • Web文芸誌マトグロッソ2012年11月号〜2014年8月号の連載に加筆修正し、2015年2月刊。身体改変された未来の人類の熱帯雨林での暮らしが語られる。清々しいユートピア小説かと思いきや、いくつかの問題が起り、あれよあれよという間に、とんでもない出来事の世界に連れて行かれてしまうという、面白い展開です。世界構築もそれなりに緻密で、ぐいぐいと引っ張られますが、テーマそのものの提示が弱く、読み終わってからの余韻は、少ないです。読み終わって、良いタイトルだなと思いました。

  • 2015/7 匂いがする小説。アバターと新世界よりを足したような本。華竜の宮のライト版という感じでしょうか。こういう小説好き。

  • 「華竜の宮」の上田早夕里が、舞台を海から森に変えて描くSFファンタジー、少女成長の物語。

    密度の濃い森の描写、部族間のかけひき、文明を象徴する巨人との関わり、生殖と恋愛…、そんな世界を背景に、主人公の成長する姿が健気で可愛らしくてよい。もっとじっくり読みたかっただけに、森の危機以降の後半が駆け足なのは勿体ない。(☆一つマイナス)

    文明社会において、清潔であることはとても大切な事の一つだと分かっている。自分や環境を身ぎれいにしておくことは、健康面としては勿論、精神的にも健全であるためには大切な事。

    ただ、清潔と潔癖は別物なんじゃないかなと思う。人が握ったおにぎりが食えないとか、裏箸は手が握る側だからかえって不潔とか、電車内の食べ物の匂いが迷惑とか…

    主人公が「匂いのない人工林」にストレスを感じ、森に帰ってその濃密な匂いに囲まれて癒されるワンシーンがある。苔に覆われ、カタツムリや蛾や毒虫がたくさん住みついた旧居を掃除し、虫よけの香を炊きしめるその場面で主人公は清流の水を呑んだような安心感を味わう。

    その部分凄く分かる。最近の潔癖至上主義の社会風潮が「匂いのない人工林」と思えて仕方なかった。濃密な自然の香り、そりゃまぁ臭い時もあるけど、無味無臭に疲れる時だってあるもんやねんって

  • このひとはもう少しキャラクター造形に深みがあると思っていたけど

  • 商品説明には「日本SF大賞受賞の実力派が未来を優しく見つめ描いた至高のファンタジー。 」とあるけれど、SFファンタジーだと思う。なにをSFとするのかによるけれども。

    オーシャンクロニクルシリーズは海が舞台で、今回は森が舞台。直接つながりはないけれど、同じ雰囲気が漂っている感じ。本書は、自由とは何か、人とは何か、人はどこへ行くのかとかそちらが重点なのかな?

    こちらも続刊がでてシリーズ化するといいんですけどどうかな。

  • どの時代も同じ。
    誰が正しくて何が真実か?
    善悪 私利私欲 献身
    全てが混ざり合った世界を 
    自分が行きたい道を自分に問いかけ
    歩き続ける。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。11年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。18年『破滅の王』で第159回直木賞の候補となる。SF以外のジャンルも執筆し、幅広い創作活動を行っている。『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』『深紅の碑文』『薫香のカナピウム』『夢みる葦笛』『ヘーゼルの密書』『播磨国妖綺譚』など著書多数。

「2022年 『リラと戦禍の風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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