芥川賞を読むにあたって、全集が便利かなと思い
利用してみました。良い点は、選評が載っていること
悪い点は…物理的に重い。持ち運びしづらい。
『タイムスリップ・コンビナート』と『おどるでく』は
二回読みました。
『タイムスリップ・コンビナート』笙野頼子
夢を言葉の魚拓で綺麗に写し取ったような作品。
夢の中の自分はちゃんと理解できてる会話でも
書き起こしたらこんな感じなんだろうと納得。
「マグロとの恋愛に凝ってしまっている」あたりから
ぐいぐい引き込まれました。恋愛に凝る、って。
海芝浦駅って不思議な場所だなぁ。
『おどるでく』室井光広
ロシア語の表音で書かれた日記の中の「おどるでく」に
ついて考察しつつ、過去の出来事を回想する、という内容
ロシア語というチョイスはとてもいい、英語だとみんな読めるし
フランス語だとオシャレ過ぎ、イタリア語だときっと明るい
雰囲気に包まれてしまう、ロシア語、キリル文字なら日本人には
なじみが薄くて薄暗い雰囲気が感じられる
内容は日本語だけどそれをローマ字で書けばどんな内容でも書ける!という
啄木のローマ字日記に倣ってロシア語で書いてみた、らしい
ただし内容は難解すぎて、どうしたらいいのか…とお手上げでした
そもそも小説なのか、という疑問が。人間関係の回想部分がなかったら読み物として面白かったかも。
『この人の閾』保坂和志
前の2作からいきなり爽やかな小説。感想があまり出てこない。。ちょうど20年前(平成7年)、書かれた時には斬新な内容だったのか?と思い立ち、1995年の小説を
調べると、あの『失楽園』が出てきました。うーん。。
小説も生ものということでしょうか。
『豚の報い』又吉栄喜
作中の沖縄の風習について間違いらしきものはあるらしい
ですが、ダントツで面白かった、真面目に書かれたドタバタ道中記
『蛇を踏む』川上弘美
1行目から違和感なくすっと入っていける。梨木果歩さんの『家守奇譚』を思い出しました。
「家族シネマ」柳美里
設定を詰め込み過ぎてとっ散らかっている気がした。
設定の説明で物語が進んでいく。登場人物全員が
始終イライラ、キーキーしている印象。
「海峡の光」辻仁成
『冷静と情熱のあいだ』以来。こちらのテイストのほうが
好きです。男性の苛めは女性とはまた違う陰湿さがありますねぇ。。
巻末の選評が作品をぶった切っていて、ゾクゾクしました。
「受賞には反対した」「読みにくかった」「何か勘違いをしている」
「格別の感想はない」「リアリティがない」などなど。