松本清張全集 第7巻 別冊黒い画集 ミステリーの系譜

  • 文藝春秋 (1972年8月15日発売)
3.50
  • (1)
  • (2)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 22
感想 : 4
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (476ページ) / ISBN・EAN: 9784165090700

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ●「別冊黒い画集」は「週刊文春」に連載された
    「事故」(1963(昭和38)・1・7~4・15)
    「熱い空気」(4・22~7・8)
    『獄衣のない女囚』(7・15~10・14)※未収録
    「形」(10・21~11・18)
    「陸行水行」(11・25~1964(昭和39)・1・6)
    「断線」(1・13~3・23)
    「寝敷き」(3・30~4・20)

    ※『獄衣のない女囚』のみ単行本化時に除外され、のちに中編集『高台の家』(1976年、文藝春秋)に収録。

    ●「ミステリーの系譜」は「週刊読売」に連載された
    「闇に駆ける猟銃」(1967(昭和42)・8・11~10・13)
    『脱獄』(10・20~11・17)✕未収録
    「肉鍋を食う女」(11・24~12・15)
    「二人の真犯人」(12・22~1968(昭和43)・2・16)
    『夏夜の連続殺人事件』(2・23~4・5)✕未収録

    ✕『脱獄』は「昭和の脱獄王」と呼ばれた白鳥由栄(しらとり よしえ)について
    ✕『夏夜の連続殺人事件』は「浜松事件」(第2次大戦中の浜松市でおこった連続殺人事件)について
    (この二作は作者が「出来栄えに不満」があるため単行本に入れられず、今日も書籍化されていない)

    松本清張の作品は「推理小説」とジャンル分けするのは躊躇してしまう。事件はおきるのだが、トリックや謎解きに重きを置いている作品ばかりではない点は知っておいた方が良いかと思う。

    荒松雄の解説に桑原武夫の「清張文学には権威や体制への反骨があるが、崩れゆく権威が社会最上層を含まない」という評論を述べている。この評がどの程度当たっているのかはわからないが、この「最上層を含まない体制批判」は実はマルクスの元々の共産主義の特徴である。一方日本共産党は「含んでいる」この点において松本氏は「左翼」とは違ったスタンスに立っていた可能性もあるかなと感じた。

  • 概ね面白かったのだけど小説の体をなしたつもりの邪馬台国の珍説ぶっぱなしはなんだったのだろう。物語としてもそんなに面白くはないしほとんど読み飛ばしてしまった。
    0.5刻みに点数つけられるならこれで3.5にしたかった。

    寝敷きは清張には珍しくオチが良かった。
    肉鍋を食う女はゾクゾクした。

  • 自らのための備忘録

     「津山事件」について、筑波昭、石川清2冊を読み、本当は事件研究所著の『津山事件の真実』を読みたかったけれど、簡単には手に入らないので、松本清張の全集7に収められている「ミステリの系譜」の内、「闇に駆ける猟銃」のみを読みました。
     私が知りたかったのは、次の一文に過ぎませんでした。《まず彼はすでに高等小学校時代から女に恋文を出し始めていた事実もあるし、津山市の遊郭にも数回登楼しているようである。その詳細の調査は困難だが、断片的の資料として昭和十二年齢五月二十二日津山市材木町の貸座敷業鈴木島方に、苫田郡加茂村商業都井幸美当二十三年と詐称して同村の内田宝と称する者と共に登楼して娼妓市丸(大正四年生)を相手として一円消費している客があるが、諸般の状況上彼の登楼だろうと認められる》(p.343) 前後の文脈からいって、これは塩田検事の報告書の抜粋だと思われます。
     筑波昭著で「内田寿」という睦雄の友人が登場しますが、石川本を2冊読む限りでは、「内田寿」という人物はどうやら筑波氏の創作ではないかと思わされましたが、この「内田宝」という人物は(仮名かもしれないけれど)少なくとも実在はしていたのだということは推定されました。筑波氏は、この内田宝を膨らませて創作を交えて書いたのかもしれないと思いました。

     私は筑波昭著の『津山三十人殺し』があまりに素晴らしかったので絶賛していたら、創作・捏造疑惑があるとのことで、色々と調べることになりました。真実はわかりませんが、筑波本の第一部のスピード感溢れる筆力は素晴らしかったものの、第二部は信頼性が乏しく、評価できないと思いました。
     石川本だけでも、大方のことはわかりましたが、昭和42年(1967年)にこの事件について松本清張がどのように書いたのか知りたいと思い本書を読みました。筑波昭著の『津山三十人殺し』が草思社から出版されたのは、1981年のことでしたから、それに先駆けての週刊誌連載でした。

     好きで何冊も読んだわけですが、研究者でもないのに何度も同じ調書や遺書、それに現場の状況を読むことになっていささかゲンナリしてしまいました。まったくの個人的な理由ですが、そんなわけで、評価は星2つとします。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松本清張の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×