精選女性随筆集 第二巻 森茉莉・吉屋信子

  • 文藝春秋 (2012年2月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784166402205

みんなの感想まとめ

多様な女性の視点が織りなす魅力的な随筆集で、森茉莉と吉屋信子の個性が光ります。森茉莉の文章は、彼女自身の天真爛漫さと父への深い愛情が色濃く表れ、特に鴎外への思いが詩的に描かれています。彼女の表現は、甘...

感想・レビュー・書評

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  • 大好きなものは大好き。嫌いなものは嫌い。
    道徳、道徳なんていっているのは、子供臭くて滑稽。偽物贅沢の主婦は貧乏臭い……
    自分の美意識にあわないものには、なんとも手厳しい彼女。
    苦い珈琲味やヒリヒリするほどのハッカ味のキャンディがアクセントになる、色とりどりの甘いキャンディが詰まった硝子のキャンディポット。それが森茉莉の第一印象。
    そんな天真爛漫なお嬢さまの書く文章は何故か全然憎めなくて、それどころか、もっとビシバシよろしく!ってなってしまう。
    このお嬢さまは「パッパ」である鴎外の愛情を一心に受け、茉莉も恋人のように鴎外を愛している。鴎外の軍服姿が大好きな彼女は、その姿を見る度に父としてではなく最高の自分の彼氏としての格好良さに、ドキドキ胸をときめかせていたのに違いない。中でもわたしが茉莉が本当にパッパのことを愛しているんだなぁと思ったのは、彼女の書く鴎外の手。わたしは男の人の手に色気が表れると思っているので、(あくまでワタシが、です)彼女の描く鴎外の手の表情には、色っぽさを感じずにはいられない。燐寸をする白い手、立てた膝に置く葉巻を持つ手、白い手袋を嵌めた手、背中を軽く叩く、柔しい掌。これはもう、パッパというよりもやっぱり彼氏の手。その手を独り占めしているのが自分だけだと思うだけで卒倒しそうになる(ワタシ、あれ?)
    そんなキラキラした彼女だけれども、室生犀星とのやり取りが書かれた『老書生犀星の「あはれ」』には、しっとりした落ち着いた女性としての茉莉がいた。犀星に対する尊敬と深い親愛の情が溢れていて、印象深く好きな随筆だった。

    吉屋信子の作家仲間に向ける洞察力は素晴らしい。その眼差しは優しくもあり、ちょっとイヤミっぽくもあり、それでいてちゃんとお茶目に仕上げてしまうような、ユニークさがある。きっと彼女は誰に対しても愛情深く、懐にストンと入っていけるような純真さと柔軟さを兼ね備えていたんだろう。
    信子の文人との交友録は、あと2冊積読してあるので、そちらで感想は書くことにする。

    • hotaruさん
      地球っこさん、こんにちは。はじめまして。
      地球っこさんの、愛着があるのに、意外と冷静で俯瞰的な雰囲気があるレビュー、いつもたのしく拝見してい...
      地球っこさん、こんにちは。はじめまして。
      地球っこさんの、愛着があるのに、意外と冷静で俯瞰的な雰囲気があるレビュー、いつもたのしく拝見しています。
      今回は、いつもより少し乙女度高いレビュー、たのしく拝見させていただきました。
      手の色気…わかる気がします。
      鷗外はともかく、森茉莉の文章は読んだことないので、俄然読みたくなりました^_^
      ご紹介ありがとうございました。
      2018/05/26
    • 地球っこさん
      hotaruさん、コメントありがとうございます(*^^*)
      私のレビューは読書日記みたいなもの
      なので、もっとhotaruさんやブク友さ...
      hotaruさん、コメントありがとうございます(*^^*)
      私のレビューは読書日記みたいなもの
      なので、もっとhotaruさんやブク友さん
      たちのように読み応えのあるレビューが
      書けたら良いのですが……
      なかなかそこまでは到達出来ません。
      でも、そんな拙いレビューに対して、
      そんな風に書いていただき嬉しい限りです。

      ありがとうございます♪
      昔の女性作家さんたちは、
      今では批判の的になりそうな恋愛や
      言動をしている方が多いようです。
      イキイキとエネルギッシュで、他人に惑わ
      されず己の道を行くといいましょうか。
      女性作家さんの作品は勿論のこと、
      彼女たちの生き方にとても興味を覚えます。ぜひ、森茉莉読んでみてくださいね。
      2018/05/29
  • 吉屋信子の随筆を読んでみたくて購入。趣のある装丁、手ざわりなど、おそらく女性読書家の書庫にふさわしくあるようにと意図されて作られており、大変好印象(うちの書棚にふさわしいかどうかは別として)。
    岡本かの子、林芙美子、与謝野晶子、宇野千代ら、女性文豪たちとの交流の様子が色彩豊かに描かれ、一歩一歩立ち止まりながらじっくり読んでいきたいと思わされる。「投書娘」であったという少女時代の吉屋信子の憧れに満ちた様子が非常に艶かしい。尾崎放哉についての伝記的な記述も臨場感に溢れており、気持ちを高揚させながら読んだ。
    吉屋信子の観察眼、瞬間をとらえる才が存分に発揮されており、同じく才ある女性への惜しみなく限りない敬慕の想いが読み手の瞳にも美しく映る。「女人平家」や「徳川の夫人たち」に登場する女性たちのあの尊く潔い生きざまの原点はここに在りと確信。

  • 森茉莉狙いでした。
    明治のお金持ちの邸宅の昼でも暗いお座敷に連れて行ったもらいました。空気が素敵。

  • まずは森茉莉について。
    やっぱり好き。特に「好きなもの」「3つの嗜好品」「エロティシズムと魔と薔薇」これはたまらない。
    森茉莉は薔薇や菫の砂糖漬け。
    菫の砂糖漬けの印象は小学2年生で初めて読んだ、少女漫画のイメージそのもの。バレンタインに手作りのチョコを作ったが渡せずに握りしめていたから、チョコに(板チョコを手作りしていた)指型がついてしまうというシーンだけが記憶に残っている。そのチョコに菫の砂糖漬けを主人公はのせていた。森茉莉の文章を読んでいると、とにかくそのシーンが思い出され、ときめきを感じるのだ。
    そして大人になって、いろんな色の錠剤の入った硝子壜や白い粉で曇っている銀の匙に囲まれて喫むヴェルモット。エロティシズム。綺麗な古いレースのリボンがあるかもしれない。セピア色の少女時代の写真があるかもしれない。そんな素敵な世界。
    煙草はフィリップモリス。仕事がうまくいったときに喫む。
    何をとっても、セピア色に染まる独特な世界へ誘われる。
    私の好きな世界。あこがれの世界です。

    吉屋信子について。
    吉屋信子は森茉莉と対極。ほとんど自分のことは書いていない。ただ、岡本かの子、与謝野晶子といった人々のと出会いは面白い。最期の「廿一年前」は好き。おめかけさんをめぐるお話は、きっと少女小説を書く土台になったに違いないって思わせるエッセイ。森茉莉が自分の世界に浸りっぱなしなのに対して、人のことを書くことで自分を浮き上がらせるような吉屋信子。もっと強い感じの女性だったと思っていたので、意外なエッセイでした。

  • グラシン紙がかかっていて一目惚れの本。装画に神坂雪佳の『海路』が使われているのもすてき。

    ブックデザインは大久保明子さん

  • 共に少女を描きながらも、孵化することを拒否し娘であり続けた森茉莉と、成熟した女性作家であった吉屋信子とでは、ものの見え方とか描き方が違うよねーという一冊。
    収録作品のうち、森茉莉の『幼い日々』は非常に大好きな作品で、何度読んでも美しさに忘我。ワンカット映画のような追想と、絵画的な描写と独特の句読点の位置が相まってもう何も言えねぇよ、パイセン。最後の一文「長い、長い、幸福な日々であった。」は本当に完璧に素晴らしい文章!

  • ふむ

  • 『幼い日々』は、幼少期の甘美な記憶が延々つづられていて「長い! いやでも読みたい! 続けて続けて!」となった。不思議とすらすら読める魅力があった。

  • 森茉莉の『幼い日々』が良かった。
    吉屋はやっぱり好みじゃない。林の事を”行商人の娘”連呼しすぎ。嫉妬か。

  • 作家同士の交流録が好きなのでどちらの随筆も興味深かった。そして、やはり森茉莉が好きなのだと再認識。

  • 森茉莉の作家としての「言葉」「遣い」は鴎外の流れを持つ漢語調の流麗さだと改めて感じた。文体の優雅さは彼女の育ちの良さはもとより(皮肉もこめて)、そこからくるのだろう。
    パッパ鴎外は彼女にとって大きな巨人であったのであろう。
    吉屋信子は花言葉を思い出させる少女作家のイメージが強かったが、これを読む限り、冷静な一個の、孤の女性であったと思われる。
    女性が生き生きとするとき、必ず男性と比べられる…それが、今となってしまえば、古き良き時代のなんとやら、である。

  • やっぱり森茉莉は素晴らしい。
    彼女のように孤高で、自分を貫き通すなんてそうそう出来ない。
    森鴎外の娘の溺愛ぶりは微笑ましい。

  • 2012.3.24

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著者プロフィール

1896年、新潟市生まれ。52年「鬼火」で女流文学賞、67年菊池寛賞を受賞。『花物語』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』『女人平家』『自伝的女流文壇史』など、幅広いジャンルで活躍した。著書多数。73年逝去。

「2023年 『返らぬ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉屋信子の作品

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