先祖からのメッセージ 名字と日本人 (文春新書 11)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166600113

作品紹介・あらすじ

数え方にもよるが、日本人の名字はなんと三十万種近くにもなるという。こんなに厖大な数の名字がどうしてできたのだろう?その中でも「佐藤さん」「鈴木さん」たちが多いわけは?徳川家康はなぜ「源朝臣家康」なのだろう?身近でありながら疑問だらけの名字のルーツ。古代の「姓」から「名字」が生まれてくる過程を、武家支配と「家」の誕生という中世日本史のダイナミズムにからめて詳述する。

感想・レビュー・書評

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  • 名字と日本人―先祖からのメッセージ。武光誠先生の著書。名字には自分のルーツが宿っており、自分の先祖からのメッセージが込められている。だからこそ名字は大切で価値がある。夫婦別姓や事実婚を選択するカップルが増えつつある日本。夫婦別姓や事実婚を選択する理由は人それぞれだと思うけれど、名字を大切に思っているという点は共通のはず。子孫たちが名字を大切にしていることに、ご先祖様は喜んでいるのかもしれませんね。

  • 明治の戸籍法から初まりと解釈されがちな名字だが、武士のみならず農民も脈々と名字を受け継いでいた事実。興味深い内容だった。

  • 「名字でわかるあなたのルーツ」より学術的な内容。
    「先祖探しと名字」と1章割かれているので、ルーツを探そうと考えている人には参考になると思います。

  • たいした事書いてない。が、そこそこ楽しめる。

  • 自分はどこからきたのか。

    誰しも一度は感じる疑問ではないだろうか。先祖といっても、せいぜい知ってて曾祖父母まで。それよりもっと前の祖先はどんな人だったのだろうか。明治時代の祖先、江戸時代の祖先・・・。名字がもつ性質や、名字のつけられ方などが地方別にのっており、自分のルーツに興味をかきたたせられる一冊。

  • 名字と苗字は発音も同じでありどちらも同じ意味だと思っていましたし、姓との違いを意識したことがありませんでした。そのような私にとって、この本にめぐり合えたのは新しい世界を見ることができた良い経験でした。

    私の名字はありふれたものですが、家系図を見たところ10代以上遡ることができると昔、祖母に聞いたことがあります。先祖からのメッセージである”名字”を大事にしようと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・江戸時代に庶民の屋号が適当に帰られたうえに、「苗字必称令」により名家の名字を勝手につけることができたので、今の名字はあいまいなものになっている(p11)

    ・名字とは、平安時代末に武士のあいだで生まれた通称である、北条時政は名字が「北条」で、姓は「平朝臣」平安時代半ばから「かばね」である朝臣が省略されるようになった。姓は、公式文書において用いられた(p14)

    ・明治11年における華族474家の中の上位5位は、1)藤原氏、2)清和源氏、3)桓武平氏、4)宇多源氏、5)村上源氏、で386家であり約81%となる(p19)

    ・熊野大社の分社をまつるようになった武士は、自分の名前を鈴木に改めて、支配下の農民にも同じ名字を与えた、鈴木の名字は熊野大社の末社の分布が濃い東海・関東地方に多い(p27)

    ・田中の名字は、鈴木や佐藤の名字が広まらなかった近畿から北九州にかけての地域に多い(p30)

    ・名字は地名から作られるのが原則、地名から発祥した名字は全体の70%前後になる(p37)

    ・名字が発生した平成時代末より前は、夫婦は生活をともにせず、夫が夜に妻のもとを訪れて夜明けに帰っていく「通い婚」が一般的(p52)

    ・藤原忠通の祖とする、五摂家(九条、二条、一条、近衛、鷹司)が摂政・関白となることができた(p69)

    ・源頼朝時代の守護で鎌倉時代末までその地位を保ったものは、下総(千葉家)、常陸(小田)、近江・出雲・隠岐(佐々木)、筑前(少弐)、薩摩(島津)、上総(足利)、下野(小山)、豊後(大
    友)がある(p87)

    ・徳川家康は、京都の加茂神社の神紋と同じ葵の紋を使っているので、京都の加茂神社の布教者(御師)の子孫であると考えられる(p125)

    ・豊臣秀吉は、豊臣の姓を多くの大名に与えている、例として、前田利家・宇喜田秀家・池田輝政・京極高次・蒲生氏郷等に与えている(p127)

    ・松平の姓をもらった大名も多く、島津・池田・伊達・前田・蜂須賀・黒田等、だが、明治元年に出された令により、新政府は大名が松平の名字を用いることを禁止している(p128)

    ・農民が名字帯刀を許されたのは、町年寄・庄屋・宿場の本陣役についている場合等があった(p132)

    ・徳川家康は、三河統一をなしとげた松平清康の6代前までしか系譜を把握していなかったので、捏造するしかなかった(p143)

    ・明治3年(1870)に、農民町人も名字を用いることを許す太政官布告がだされた、さらに同年、旧官名を通称にすることを禁止、明治4年に帯刀自由、9年に帯刀禁止令(p151)

    ・明治5年に通称と実名を併称することを禁止、同年8月に名字を改称してはならないという法令をだした(p151)

    ・ヨーロッパでの名字のつけ方は、1)父親の個人名、2)身体特徴、3)職業、4)村落内の小地名、家のそばの地形があった(p156)

    ・明治初年の3000万人のうち、都市にいたのは400万人程度、現在の日本人の87%は農村にいた(p184)

  • 明治なって、農民や町人に名字がついた、と思っていたけれど、違うのね。
    昔の人はいろいろな呼び名があって、驚いた。
    あと、登録時の間違いで、とか(^^;)

  • 日本の苗字(名字)文化は奥深い。江戸時代の農民だってみな、苗字を持っていたのに、時代劇ではなぜか苗字がない。そして、武士は偽りの苗字を名のるなど、適当なものだったらしい。

  • 日本人の名字の数は、予想以上に多く、歴史的にも複雑な拡がりを見せているという。さらに地方によっても名字の歴史は様々なので、水平方向の多様性と垂直方向の複雑さが絡まり、本書の内容は相当密度が濃く、消化不良ぎみ。名字、苗字、姓、氏…これらの言葉はは、ほぼ同義語と思っていたが、歴史的にはそれぞれの意味を持っていることを知った。

  • 日本人学生と留学生にPCを教えている。文章の書き方のようなところで、名前をどう書けばいいのかという説明をした。

    なんで日本人の名前は鈴木や佐藤なのか。劉とか李とか源じゃないの?
    なぜ天皇には姓も名字もないのか。
    なんで日本人はJakcy・田中とか名乗らないのか。
    「ジョージ・マイケル」と書くくせに、なぜ「毛・沢東」と表記しないのか。

    日本人の名前のルールがあって、それを準用して外国人の名前を表記している。ではその日本人の名前のルールってなに? というわけだ。
    だいたい知っているのだが、いちおう確認のために読んだ。

    ちなみに上のネタは受けが悪かった。来年はやめとこう。

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著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大大学院博士課程修了。文学博士。元明治学院大学教授。専攻は日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想・文化の研究に取り組んでいる。著書に『律令太政官制の研究』『日本古代国家と律令制』(ともに吉川弘文館)など専門書のほか、『歴史書「古事記」全訳』『古事記・日本書紀を知る事典』(ともに東京堂出版)、『古事記と日本書紀 どうして違うのか』(河出書房新社)など多数。

「2022年 『古代史入門事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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