ローマ人への20の質問 (文春新書 82)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166600823

感想・レビュー・書評

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  • 題名に「ローマ」とあるが、過去の事だけにとどまらず、今に通じる話もちらほらあった。
    全く世界史を知らない私でも楽しく読めたが、古代ローマ史を知っていれば更に楽しく読めたかもしれない。

  • ローマ人の物語以来、彼女の本の殆どを読んでいる。
    ひょっとしてこの本も読んでいるかもしれない。
    一応読み終わったが、なんか印象が薄い。
    彼女によって歴史の面白さに目覚めたと言ってもいいだろう。
    歴史学者でも、小説家でもない、いちローマフリークの女性が書く文章は新鮮であった。
    歴史学者にも負けない史料の原語による読み込み。
    大した女性である。

    だが、正直言って、独善的な匂いが次第に強くなってきた。
    それも、彼女が年齢を重ねるに連れ、その匂いが気になってきた。

    本人はそう言われることは心外だと思うが、彼女の作品のどんな愛読家でも同じ印象を受けているのではないだろうか。

    ぼくは、一人でローマに住む時間が長すぎたことだと思う。
    自分自身も経験したが、仕事でいくら人と多く接しても、プライベートな接触が少なくなると、世間とのズレが出てくるのである。

    特に、彼女の場合、日本人の感性とかなりズレが生じているのではないだろうか。

    最近は、そういうことが感じられて、彼女の作品から遠ざかり気味なのは、ザンネンな事である。

  • 著者近影見るまで、塩野さんって男性だと思ってたら、女性だったのね。

    とりあえず、ローマをとても大切にされていて好きなんだなというのはよくわかる。

    著者が読者に想定しているであろう、
    ギリシャ時代やローマ時代のことが私にはまったくわからないが
    それなりには楽しく読めました。

    知らないことが多くてドッグイヤーばかりしたけれど。

    あくまでも当時の立場で考えること大切にしているのはとてもうかがえます。
    そのためなるほどと思う多くの事が、
    当時を考えるにあたり。

    現代の道徳や宗教観を持ち込んでは正しい判断ができないということ
    至極もっともです。

    本書はローマの悪しき部分と思われるツッコミに
    そんなことはないじゃないという流れで進むのですが、
    その一つに富の不公平があらわれます。

    これは現代も同じ問題を抱え、
    その比率が結局わかりませんが。

    やはり税の問題なんですね、
    著者はかなりのローマへの思い入れがありますので、
    富める者のノーブレス・オブリュージュをおっしゃるのですが、
    個人的感覚として富めない私は(笑)その思想は富める者の傲慢だと思う気持ちがないでもありません。

    ドッグイヤーを確認しながらこうやってレビューと思えるものを書くのですが、
    確認しているとなんで折ったかわからない部分が多数でてくるのですね、
    そんなところは大切ではなかったとスルーしちゃいましょう。

    文庫や新書など簡単にドッグイヤーしちゃうけど、
    なんだか漫画はできないな。

    多神教と一神教、人が神になる話と聖人の話とのくだりもなるほどと。

    ギリシャ人は増えないが、ローマ人が増えるのくだりもなるほどと。

    小麦法は面白い
    先日コメントした、配っちゃえ衣食住って感じでどうだろう。

    その時の生きる者の価値観によるが
    貧乏は恥ではないが、働かないことを是とすることは恥であるってのはいいんじゃないかと思います。

    誰でも小麦もらえるんだけど、大金持ちでも
    でもね、ならばなアカンから、結局面倒で行かない人は行かない、行く人は行くと
    それっていいんじゃないかと思うんですよね。

    現代ではそれを不平等だという人がいっぱいいそうだけど、

    自分が得も損もしてないのに、他人が得をすると、自分が損した気分になる大衆ってところでしょうか。

    自由について
    ユダヤ教徒は唯一神の戒律に従って生きる国家を建設すること
    キリスト教徒の自由とは信ずる者の間だけで共有可能なもの
    そして個人の人権のによりたつ自由と。
    むずかしいやね。

    ひとつ大きく受け入れられないことは
    歴史小説が好きじゃないということ(笑)

  • 文春新書 「ローマ人への20の質問」 古代ローマ人の人間像が見えてくる本

    ローマ人の特質
    *自分たちだけですべてをやろうとしなかった〜政治、軍事、経済政策、インフラ整備以外は 被支配者に任せた

    *たとえ敗者であろうと、生存の理由と喜び、人間社会に必要な仕事とそれにふさわしい報酬を与える

    *悪の根絶を目指すのでなく、悪と節度ある共存を目指した

    *広大な帝国にローマによる平和を確立し維持していくのに、安全保障と生活水準の向上に努めた

    *ローマ人が考える市民とは、志をともにする者〜同化とは、市民権を共有すること


    人間の行為の正し手を
    宗教に求めたユダヤ人
    哲学に求めたギリシア人
    法律に求めたローマ人

  • 強大な国家を築き、艦隊を育成し、後の世に残る建築物や芸術作品を生み出したローマ。世界史を学んだ方なら誰しも聞いた事があるカエサルやオクタヴィアヌスなどの英雄たち。法律や都市を整備しパックス・ロマーナの平和の時代を謳歌し、やがて周辺の蛮族たちによって滅亡していく。その間、ローマは共和国から帝政へと体制をシフトし、東西に分裂する。なお東ローマはビザンツ帝国として西ローマ滅亡後も長く国家を維持していく。イタリアの主要都市や地中海を囲むヨーロッパ、北アフリカの大都市を多く抱え隆盛を誇った西ローマがその後どの様に衰退の一途を辿っていくのか。本書はローマ史の大家である著者が、ローマ人に対して質問をぶつけていく形で進められていく。何故それまでの強国であったギリシアに勝てたのか、三次にわたるポエニ戦争でカルタゴの英雄ハンニバルを撃ち破る事ができたのか、如何にして平和な時代(パックス・ロマーナ)を迎えるのか。五賢帝の時代を経てローマの都市や法律の整備、人々の暮らしや宗教観、奴隷との関係性など、ありとあらゆる角度からローマ人へ質問し、その回答を頼りに本書は進められていく。
    本書を読み進めると周囲の風景がローマの美しい街道や平和な世で暮らす人々の生活に囲まれていき、次第にローマ世界へ誘われていくのを感じる。
    世界史に興味がない方も、指導者たちの国づくりや戦争への備えなどビジネスリーダーにとっても役に立つ内容だ。制服地を無理にローマ化せず、その土地に融合し人心を安定化させながら拡大する。無理なプロジェクトを頑なに進めて決めたことは中々変えられない様な仕事の仕方をする私達にとって学ぶべきところが非常に多い。
    本書最後の滅亡に進んでいく部分は、筆者の都合によりあまり触れられてはいないものの、寧ろそこを詳しく記載しない事で、読者に何故滅びてしまったのか、今度はこちらに質問を投げかけられている様に思える。それを考えることは、実は現代人に上手な幕引きとは何か、平和で安定した時期に何をすべきかを問いかけている様だ。
    筆者はビジネスリーダー向けにも多くの書籍を書いているが、是非本職であるローマ史から読み始めてみるのはどうだろうか。筆者のこうだったのではないか、そうだったら歴史は面白いな、細部はこうだったかもしれないと、読み手に次々と想像するタイミングをくれる文章に引き込まれていくのではないかと思う。

  • 若干逃げ方がきたないなぁ、まだ勉強の最中だからって。
    だったらローマ礼賛の今の主張はどうなるんじゃい、ってな気がするけれども、まぁ学者じゃないんだから仕方ないのかねぇ。
    こういう新書にすると、若干説教臭がするだけに余計にそういうアラが目立ってしまうのかも。
    それがなければ博識でもあり、面白いとは思います。

  • 「ローマ人の物語」8巻までの状態で、
    「古代ローマってどんな感じ?」を20の質問に対する答えと言う形で
    書いたもの、かな。まあ「ローマ人の物語」読んでたら答えは書いてあるので、
    簡単にまとまったものを読みたい人向けかな。

  • ローマ帝国はなぜ滅びたか?国家にも寿命があるのか?歴史家の誰もが持つ疑問。’92年時点で8巻まで進んでいる『ローマ人の物語』が自在に引用される。共和政ローマで英雄が次々出たのは成長の時代であったから、保守の時代にはそれなりの人材が必要。ローマ帝国は多民族を摂取し彼等の神も寺院を建て崇めることを許す包容力があり、奴隷も自分を買い戻して解放奴隷となり出世して元老院議員(任期1年の護民官が引退後就き終身)までなることも可能だった。一神教であるキリスト教を採用したことで不寛容になったが彫像好きなのは変わらなかった

  • ギリシア時代と比べ哲学との関わりが浅いローマ時代だが、現代の政治と深く結びついているはずなのはローマである。著者による大作「ローマ人の物語」も時間ができればぜひ読んでみたいと思わせるローマ帝国のガイドブック。

  • 「ローマ人の物語」の雰囲気の紹介本とでもいえる。
    美味しそうなところをいくつか見せてくれる。

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