依存症 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2000年6月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784166601080

みんなの感想まとめ

依存症というテーマを深く掘り下げた本書は、著者の独特な視点とマッドサイエンティスト的なアプローチが印象的です。アディクション研究が嗜癖行動として捉えられ、依存症が生きること自体に密接に関連していること...

感想・レビュー・書評

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  • ちょうど先週急アルになったばかりで図らずして?現実味を帯びてしまったのだけれど、著者の書き振りにマッドサイエンティストみたいな所があってアディクション研究も一種の嗜癖行動なのだなと

  • 詫び本として貰った すごいドライヴ感だ

    「本人の生きることそのものに組み込まれた嗜癖行動が止まるのは、それこそ生きることの転換によって初めて可能なのだ。」p.177

  • 信田さよ子さんの本は2012年から7冊読みました。
    おもに母娘問題がとても勉強になりました。

    その10年以上前にこのような本を書かれていたんですね。
    さらにその5年前から原宿カウンセリングセンターにいらしたのです。

    この当時30分6000円ということでした。
    調べたら現在も同じ金額でした。
    それってスゴイですよね。
    このご時世に値上げしていない。
    しかも30年近く続いている。

    公認心理師・臨床心理士のスタッフが
    顧問の信田さん含めて12人。
    高いけど、悩みがあったらここに行くといいかも。

    ここに書かれている中心は
    私の家みたいな家族でした。
    父は昼間は勤勉なサラリーマン、
    仕事が終わってから酒を飲み、
    家族にだけ酔態を晒し、
    大きな子どもになる。
    その結果母から子への共依存的支配。
    この後、信田さんはそれらへの解決策を次々刊行されます。

    ここでの依存症も、アルコールが中心。
    大人になって酒好きになった私ですが
    断酒してもうすぐ3年になります。

    私が依存症レベルの酒好きになったのは
    遺伝的要因もあると思いますが
    きっぱり止められたのは
    父の姿を見ていたおかげがあると思います。
    (酒以外では、父を心から尊敬しています)

    信田さんは男性と女性の回復者の違いを次のように言います。
    長いけど、興味深いので参考に。

    〈男性の回復者はひとことで言うと、
    去勢されたかのようである。
    これはまだ私が若いころからずっと抱いている印象だ。
    それは一種独特な雰囲気である。
    腰が低く、決して挑発に乗らず、物静かで、
    激さず、穏やかな人たち。
    彼らが本当に酒を破滅的に飲んでいたのだろうか、
    この目の前にいる人が……
    それは信じられないことだった。
    酒をやめると人は変わるのだ、と当時は納得したのだが、
    今となってみればそのように変わらなければ
    彼らは再びアルコールを飲んでしまっていたのだ。
    つまりアルコールをやめつづけるには、
    そのように変わる必要があったのだ。
    その変化は生き残るために必須のものだったのだ。
    一方女性の回復者たちは、自己主張をし、
    いやなものはいやとはっきり断る人たちだった。
    飲んでいたころは無批判でニコニコしていた人であったのが、
    自助グループに通って何年かたって久しぶりに会うと、
    面と向かってはっきりと自己主張する人に変貌している〉

    この件について、このあと、信田さんの分析があります。

  • 何かに「ハマる」というのは「依存する」の一歩手前なのかな。何事もほどほどになしなくては。
    家族が依存症になった人たちのエピソードがしんどすぎた…。もし自分の家族が依存症になったら、そのときは尻拭いをせず、本人を窮地に追い込んで自分で回復できるように運びたい。もしものときのためにこのことを頭の片隅に入れておきたい。

  • 今から20年以上前の内容とは思えない。今でも通ずるし、今こそ必要な内容。

    アルコール依存症の歴史、そこから生まれたアダルトチルドレンの歴史、そして信田先生の歩んできた歴史を知る。
    ちょうど阪神淡路大震災、オウムの地下鉄サリン事件の年にアダルトチルドレンという言葉が日本で流行り始めたこと。
    アダルトチルドレンはコメディカルの人々が必要性を感じて作り、定義してきた言葉であること。
    何となく知った気になっていたアダルトチルドレンという言葉、それをあらためて知り、社会や時代の構造と一緒に理解していきたい。
    信田先生はほかにもインナーペアレントという言葉を作った。フロンティアなんだなぁ。ずっと臨床をされている現場の方で、経験からくる重みと覚悟が違う。
    新書なのにずっしりくる内容。

  • アルコール依存性の親が治ったと思ったら次は子供が摂食障害になるなど、親と子の関係が見えてくる。

    依存性に対して''治る''ではなく''回復''という表現を使うのはなるほどなと思った。

  •  「依存症」について長年のカウンセラーとしての活動を基に書かれた本です。これまでの病理をとらえる考え方は、は個人を対象としてとらえていました。しかし、その捉え方では解決できない問題が次ぎから次へと出現し、関係性や機能に焦点を当てた新たな考え方が必要となってきました。個人の病理を周囲の人との関係やシステムとして考えることによって、これまでとは異なる解決の可能性が生まれてきたのです。
     この本では、依存症を人間関係障害としてとらえる視点について、著者の具体的な体験を通して説明されています。個人的には、第3章の「経験から」におけるアルコール依存症患者との経験に、精神病院での自分の体験を思い出しながら読みました。そして、疑似体験として知っていて欲しいと思いました。

  • ★★★ 読めてよかった

    アルコール依存症者に専門家として長年関わってきた著者の、研究やカウンセリングの苦悩・エピソードを綴った本。専門的な話というよりも、著者自身が患者と向き合うことで気付いた、世間からの偏見と実際との違いが新鮮に描かれている。

    精神病院ではアルコール依存症者が最もまともで、専門家の権威が通じにくいという話は興味深かった。確かに論理的に考えれば酒というトリガーさえなければ普通の人間である彼らと、常に病理が付きまとう他の患者では依存症者の方が遥かに現実的に考えられることは理解できるのだが、どうしても精神病院入院患者というと一緒くたにしてしまう気持ちがあったので、目が覚めるような気がした。
    また本書では本人だけでなく、その周囲の関係にも言及されている。本人・家族双方に関わってきた筆者ならではの視点で依存症を見つめることができた。
    一般的なイメージの「酒浸りの夫」「献身的な妻」ではなく、双方が支配をしあっているという共依存・共支配の構図は恐ろしくも、人間臭く感じた。夫の飲酒を止めたいと思い行動している妻の行為が、皮肉にも夫の飲酒のトリガーになっているという、学習が起こっているそうだ。
    本人が断酒に成功した後に子どもに問題が発生するというアダルトチルドレンの話に、アルコール依存症の根深さを感じた。本人・子供ともに同時に問題が発生し、原因が解決すれば全快するのだと思っていたが、そうではなく、幼少期に両親の不仲を見せられてきた傷は長期的な影響を残すということが分かった。
    最後にはそんな依存症への対処法についても示唆されていた。
    筆者は未だ完全な対処法は不明だとしながらも、断酒に成功した例から、免責性・他者の監視が重要なのではないかと語る。これまでのダメな自分を「自責」してしまうことで、再び悪いことをした際にむしろ快感が増加してしまう。そのため、ダメな部分は「病気のせい」と「免責」することで快方に向かいやすくなるのかもしれないとのことだった。また、免責することで、過度なセルフコントロールを解除できるのではないかという仮説もあった。アルコール依存症の患者は自律性が無い人ではなく、むしろ社会のために過度に自身を抑制してしまう人なのだ。そのためそのコントロールを解除するために飲酒をはじめ、徐々に目的と手段が入れ替わってしまうことがある。だからこそその抑制を緩和させ、新たな生き方を見つけることが重要なのだという。

  • N740

  • 2023.02.07-2023.08.13

    ・責任は自由な選択を前提として成立する。しかし、我々の存在はそのような選択の結果だろうか。我々は「頼みもしないのに」生まれさせられたのである。受動的であり選択の余地などなかった。つまり、「責任はない」のである。 →イノセンス「この「自分に責任はない」と感じる自分が、ではどうすれば「自分に責任がある」と感じ責任を担う選択の主体になることができふのだろう」
    ・物が溢れる「豊かさ」こそがセルフコントロールを要求していることになる。

    全く本を読む時間がない時期もあり、読了までに時間がかかった。
    学生時代の私が「ゲームへの課金がやめられなくて買った」本だったが、今読むことで自分自身や、他者との付き合い方を改めて見直すきっかけになった。
    「依存症」というのは個人だけが苦しむ物ではなく、また時代の特徴によって発生する場合も多くある。
    環境という箱がある限り発生する資本や自分やそれ以外の誰かに対する欲求とどう共存していくかが、このループから少しだけ距離を取る手段かもしれない。


  • 「巷で言われるように依存症の人たちは決して意志が弱い人たちなのではなくて、とことんまで意志の力を発揮し自分と戦った人たちなのである。

    それは繰り返しになるが資本主義社会が我々日本人に要請したことの忠実な実践なのであった。」



    本の中でも述べられている通り、近代社会がもたらした物質的な豊かさによって、私たちは「生きる」という大きな目的を失いました。

    現在、AIなどの最新技術の発展で、社会はますます便利で、効率的になっていくと思います。

    しかし、その新しい社会には、今まで以上の人間の幸せが本当に待っているのか。

    依存症の問題とも向き合いながら、真剣に考えなければならないことだと感じました。


    依存症とジェンダーの問題が結びつくという視点も、自分にとって新鮮なものでした。


    正しい愛情とは何かについても、考えさせられます。おすすめです。

  • P130
     私はアダルトチルドレンを「現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人」と定義づけている。この定義には3つのポイントがある。
     第一のポイントは「親との関係」という点である。(略)
     自分、もしくは社会という二極のいずれでもなく「親との関係」に起因すると認めることで、「わたしが悪いわけではないのだ」と免責される。この免責性が「ACとわかって楽になった」という理由なのだ。(略)
     親子関係が支配関係であったと疑う、一種のタブーを越えてまで自分の生きづらさのルーツをたどる必要があると感じる人がACなのだ。
     第二のポイントは「起因する」という点である。
     (略)現実の親がどうであったかという事実ではなく、自分の親との関係を問題にするのである。
     第三のポイントは「認めた人」という点である。(略)症状の有無、チェックポイントによって他者が判定したり診断することではない。

    P137
     ・日本的ACとは
     何度振り払っても、不幸そうな顔をした母親が自分の人生に寄生してくる、侵入してくるという苦しみを訴える人は多い。

    P147
     フェミニズムが長年かけて構築してきたものとアダルトチルドレンは一つの流れにつながる。近代家族の持つ権力性をともに鋭く衝くという点でつながっているのだ。

    P152
     自分の欲望をコントロールすること、同じことを繰り返さないでよりよく進歩していくこと、現代社会ではこれが価値あることだ。(略)
     しかし、このような言葉(飲むためのいいわけ)アルコールがいかに彼らのセルフコントロールに役立っているかを表している。眠りにつかせ、食欲を刺激し、思ったことがいえるようになり、寂しさを紛らわし、いらいらを静め・・・なんて便利で都合のいいものなのだろうか。

    P156
     依存症というと悪や病気というマイナスのレッテルで捉えられることが多いが、当人にしてみれば問題解決であり、望ましい状態の実現なのである。自分ひとりで、自分の感覚を変えることで行う「自己治療」なのである。(略)しへき行動の持つ「自己治療」という機能は彼らが生きるために必要なものという理解がなされなければならない。

    P161
     それほどまでに(拒食症の人が行う)ダイエットを開始するまでの人生が過酷であったということなのだ。その過酷さに比例して、同じダイエットをしても摂食障害になるかならないかの可能性が高くなる。

    P173
     ・自責感
     しへきは目前の快(アルコール、ギャンブル、買い物など)に束の間没入することによって
    もたらされる自己治療として人々に機能するということは、すでに何度も述べてきた。この快はそれへの禁止が強ければ強いほど強烈に感じられるのだ。禁止は他者からはもちろん、自分で自分に対する禁止もある。(略)つまり自分を責めることは次のしへき行動を起こすエネルギーを補給しているようなものなのだ。

    P180
     ・男の回復者、女の回復者
     男性の回復者の印象はひとことで言うと、去勢されたかのようである。(略)
     一方女性の回復者たちは、自己主張をし、いやなものはいやとはっきり断る人たちだった。
     この一見対照的な回復者像の違いは何だろう。(略)
     (依存症者は)過剰な適応が不適応になってしまったのだ。
     とすれば、回復とはソノパラドックスを解かなければならない。男らしさ、女らしさの追求をやめることなのだ。
     男の回復者は「男らしさ」を自ら捨てたように思われ、女性のそれは「女らしさ」を捨てたように思われたものこのように考えればよくわかる。

  • 依存症チェックの三段論法で誰が困るのかを明確にする。
    ドーパミン関連遺伝子の話も興味深い。
    アダルトチルドレンもわかりやすい説明。

    断酒できている方々について
    男性は腰が低く挑発に乗らず物静かで穏やか
    女性は自己主張し嫌やものは嫌とはっきり断る
    男らしさ女らしさの追求をやめることなのでは、よりよく生きようとする市政の延長線上にある
    とあった。
    先日初めて断酒会に参加したが、感じたことをそのまま表しているようで納得。

  • アルコール依存症を中心に「嗜癖症」に関する概論。全体像を理解するには有用でした。個々の「嗜癖症」に悩む人には少し物足りないかもしれないけど・・・

  •  依存症の土壌が、モノが豊かになったから、というのは切ない。(もちろんそれだけではないけれどね)

  • 様々な「依存」について書かれているけれど、特に印象的だったのは「親と子」に関わる部分。

    この人のご専門は、基本的に母と娘との関係における親子論だと思うのだけれど、この関係はおそらく家族介護でも最も厄介なものなのよね。

    私の母はさほど「介護」を必要とする間もない状況で逝ってしまったので、私自身はそういう「娘介護」の葛藤には無縁だった。ところが周辺を見るとまあ母娘介護の「うわああああ」事例の多いこと多いこと。

    東京で『ケアラーズカフェ・アラジン』を主催する牧野さんにお話をうかがった時「介護者の中でも特に娘さんの気持ちというのはとても煮詰まっているの。このカフェでも定期的に『娘の会』というのを催しているけれど、そこでは皆さんほんとうにぎりぎりの状態だということがわかるわよ。」と言っておられたのがとても印象に残っている。

    この本の中にも『親を一番見ているのは子ども。だって子どもは『生かしてもらっている』ということを言われなくともわかっており、親の自分に対する感情をどうコントロールすればいいかを必死で考えているのだから』といったような描写がある。

    言い換えれば、子どもを『生んだ』ということで『育てなければ』ということを義務感のように思っている親の下では、同時に子どもも『生かしてもらわなければ』という責務を感じてしまうのだ、ということ。

    親が常に自分に対しても子に対しても『〜なければ』を課している状況、それはつまり親は子に対して『貸し』を作っているということ。『あなたのために「してあげて」』いるということは、子にとって『借り』を作らせているということ。

    旧弊な社会ではそう思うことが当然であり、その『貸し』のことを『親の恩』、その債務を返済することを『親孝行』と言った。

    でもそれは、是非論はおいといて、現代社会では馴染まない。個人は生まれるべき権利があってそこに存在するのであり、親の都合云々は二の次、と私たちは学んでいるのだから。

    著者の言うには、子どもを育てることについて「無理をしないで楽しむこと」がいいのだと。育てる過程において、なんらの貸借状況を作らないこと。

    至極、もっとも。

  • 患者と接するのが面白い。
    女医はなめられるが反骨心でやっていった。

  • 著者の若かりし頃の臨床を垣間見れ、勉強になったと同時に、自分の一歩を振り返ることができた。

    2013.7.19

  • とってもわかりやすく書いてある。そしてよくわかりすぎるのであった。

  • 依存症の正体を非常に平易な文章で解説している。おそらく特別な知識がなくても理解できるだろうと思う。
    依存症については多少知っているつもりだったが、本書で初めて目にする情報も多く、特に依存症者の家族の観察から社会学的な視点に論を発展させていく手法には驚かされた。
    ルポルタージュのようでありながら著者の経験を時系列的に語ることで、読み進めれば自然と著者の思考の足跡を辿れるようになっている。

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著者プロフィール

信田 さよ子(のぶた・さよこ):1946年、岐阜県生まれ。公認心理師・臨床心理士。原宿カウンセリングセンター顧問。お茶の水女子大学哲学科卒、同大学院修士課程児童学専攻修了。著作に『母が重くてたまらない』『家族と国家は共謀する』『暴力とアディクション』など多数。

「2025年 『なぜ人は自分を責めてしまうのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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