依存症 (文春新書 108)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166601080

感想・レビュー・書評

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  • 何かに「ハマる」というのは「依存する」の一歩手前なのかな。何事もほどほどになしなくては。
    家族が依存症になった人たちのエピソードがしんどすぎた…。もし自分の家族が依存症になったら、そのときは尻拭いをせず、本人を窮地に追い込んで自分で回復できるように運びたい。もしものときのためにこのことを頭の片隅に入れておきたい。

  • アルコール依存性の親が治ったと思ったら次は子供が摂食障害になるなど、親と子の関係が見えてくる。

    依存性に対して''治る''ではなく''回復''という表現を使うのはなるほどなと思った。

  •  「依存症」について長年のカウンセラーとしての活動を基に書かれた本です。これまでの病理をとらえる考え方は、は個人を対象としてとらえていました。しかし、その捉え方では解決できない問題が次ぎから次へと出現し、関係性や機能に焦点を当てた新たな考え方が必要となってきました。個人の病理を周囲の人との関係やシステムとして考えることによって、これまでとは異なる解決の可能性が生まれてきたのです。
     この本では、依存症を人間関係障害としてとらえる視点について、著者の具体的な体験を通して説明されています。個人的には、第3章の「経験から」におけるアルコール依存症患者との経験に、精神病院での自分の体験を思い出しながら読みました。そして、疑似体験として知っていて欲しいと思いました。

  • 2023.02.07-2023.08.13

    ・責任は自由な選択を前提として成立する。しかし、我々の存在はそのような選択の結果だろうか。我々は「頼みもしないのに」生まれさせられたのである。受動的であり選択の余地などなかった。つまり、「責任はない」のである。 →イノセンス「この「自分に責任はない」と感じる自分が、ではどうすれば「自分に責任がある」と感じ責任を担う選択の主体になることができふのだろう」
    ・物が溢れる「豊かさ」こそがセルフコントロールを要求していることになる。

    全く本を読む時間がない時期もあり、読了までに時間がかかった。
    学生時代の私が「ゲームへの課金がやめられなくて買った」本だったが、今読むことで自分自身や、他者との付き合い方を改めて見直すきっかけになった。
    「依存症」というのは個人だけが苦しむ物ではなく、また時代の特徴によって発生する場合も多くある。
    環境という箱がある限り発生する資本や自分やそれ以外の誰かに対する欲求とどう共存していくかが、このループから少しだけ距離を取る手段かもしれない。

  • アルコール依存症を中心に「嗜癖症」に関する概論。全体像を理解するには有用でした。個々の「嗜癖症」に悩む人には少し物足りないかもしれないけど・・・

  •  依存症の土壌が、モノが豊かになったから、というのは切ない。(もちろんそれだけではないけれどね)

  • 様々な「依存」について書かれているけれど、特に印象的だったのは「親と子」に関わる部分。

    この人のご専門は、基本的に母と娘との関係における親子論だと思うのだけれど、この関係はおそらく家族介護でも最も厄介なものなのよね。

    私の母はさほど「介護」を必要とする間もない状況で逝ってしまったので、私自身はそういう「娘介護」の葛藤には無縁だった。ところが周辺を見るとまあ母娘介護の「うわああああ」事例の多いこと多いこと。

    東京で『ケアラーズカフェ・アラジン』を主催する牧野さんにお話をうかがった時「介護者の中でも特に娘さんの気持ちというのはとても煮詰まっているの。このカフェでも定期的に『娘の会』というのを催しているけれど、そこでは皆さんほんとうにぎりぎりの状態だということがわかるわよ。」と言っておられたのがとても印象に残っている。

    この本の中にも『親を一番見ているのは子ども。だって子どもは『生かしてもらっている』ということを言われなくともわかっており、親の自分に対する感情をどうコントロールすればいいかを必死で考えているのだから』といったような描写がある。

    言い換えれば、子どもを『生んだ』ということで『育てなければ』ということを義務感のように思っている親の下では、同時に子どもも『生かしてもらわなければ』という責務を感じてしまうのだ、ということ。

    親が常に自分に対しても子に対しても『〜なければ』を課している状況、それはつまり親は子に対して『貸し』を作っているということ。『あなたのために「してあげて」』いるということは、子にとって『借り』を作らせているということ。

    旧弊な社会ではそう思うことが当然であり、その『貸し』のことを『親の恩』、その債務を返済することを『親孝行』と言った。

    でもそれは、是非論はおいといて、現代社会では馴染まない。個人は生まれるべき権利があってそこに存在するのであり、親の都合云々は二の次、と私たちは学んでいるのだから。

    著者の言うには、子どもを育てることについて「無理をしないで楽しむこと」がいいのだと。育てる過程において、なんらの貸借状況を作らないこと。

    至極、もっとも。

  • 患者と接するのが面白い。
    女医はなめられるが反骨心でやっていった。

  • 基本の基本。ほぼ専門書だけど。

  • 読書中。

著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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