歴史とはなにか (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
3.60
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本棚登録 : 450
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166601554

作品紹介・あらすじ

世界には「歴史のある文明」と「歴史のない文明」がある。日本文明は「反中国」をアイデンティティとして生まれた。世界は一定の方向に発展しているのではない。筋道のない世界に筋道のある物語を与えるのが歴史だ。「国家」「国民」「国語」といった概念は、わずかこの一、二世紀の間に生まれたものにすぎない…などなど、一見突飛なようでいて、実は本質を鋭くついた歴史の見方・捉え方。目からウロコの落ちるような、雄大かつ刺激的な論考である。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。学ぶところがたくさん。

  • 歴史の史料は、作者や作者の属している社会の好みの筋書きによって整理されている。その史料を手掛かりに歴史家の解釈でつくられているものが、我々が知らされている歴史

  • 10.6.25 石井ブログ

    【書評】歴史の創られ方が分かる本「歴史とは何か」岡田英弘 再レビュー
    テーマ:書評:歴史・社会分析

    多読書評ブロガー石井です。

    「歴史とは何か」を再度紹介します。歴史の読み解き方を教えてくれる本です。

    最初の100レビューで取り上げていたのですが、今のブログのレイアウトで閲覧できないこと、文体が今と違うことなどからリライトしてお届けします。

    今の世の中に当然のように存在している著者の言う「国民国家」というあり方について、19世紀に入って、戦争に強いという理由で急速に普及した形態にすぎず、もう制度的に限界に来ているという主張は新鮮でした。

    歴史とはなにか (文春新書)


    国民国家及び民主主義は、観念上のものであって、現実ではありません。

    そのひずみは、今の社会で起きている種種の問題に結びついているのではないかと感じました。

    そして最後には国民国家という基盤が終焉するのではというところまで言及されています。

    経済の行き詰まりを解説した本は多数出てきていますが、歴史の推移を正面から分かりやすく解説してくれている本はなかなか出合えないのでオススメします。

    【学んだこと 内容メモ抜粋】

    ■イスラム文明

    神の言葉は不変。人間は変わり、うつろうもの。

    未来に「必ず」とつけるのは、神の意識より、自分の意識を優先させる不遜な態度。

    ■中国文明

    「正統」の歴史←司馬遷「史記」の歴史観

    正統を証明するために事実を捻じ曲げる。

    皆わかってるから国家は信頼されない。

    ■日本の歴史

    GHQの指導で、「神話」が削除され、考古学である縄文・弥生時代からになった。

    ■世界史の時代区分は「現代」「古代」のみ

    マルクス主義的段階進化は存在しない

    ■アジア

    19世紀に入ると国内史料だけの時代から、海外の史料も対象になる。

    ■地球規模

    18世紀末のアメリカ独立・フランス革命による「国民国家化」

    日本:1868年の明治維新

    ■モンゴル:世界史の誕生

    ユーラシアとアジアが、13世紀、元の征服により繋がった。

    モンゴルからの継承政権:中露印、アラブ諸国、中央アジア各国

    モンゴルが陸を押さえた。

    欧州各国は、新たな利権を求め海へ進出した。

    ■君主制

    嫁入りのやり取りにより、所有地は分断され、「領土」の線引きが大変。

    戦争に強い:無数に多数の兵士を動員でき、自分達の「国」を守るモチベーション。

    ■国民国家と民主主義

    民主主義は欠陥だらけの制度。明白な「虚構」平等主義に基づいている。

    ■共和制の国家

    アメリカでは、大統領が変わる度に、国の「性格」が変わる。

    ■君主制は人格(文化の伝統と権威)が伝承される。

    国民国家が現れる19世紀までは、皆君主制か自治都市だった。

    ■日本が国民国家に簡単に転換できた理由

    (1) 領土が明確:四方が海。

    (2)鎖国の方針を歴史的に堅持。域内に外国の領土もなかった。

    (3)外国人がいないため、誰が「日本人」か明確

    ■中国

    日清戦争に負けて日本に追随することを決めた。

    ■現代中国語

    日本語を例に作る。

    ■国民国家の終焉の理由

    広域統合の動きが出てきたのもその一環だが、まだ序章

    (1) 国民国家は観念上のもの。理想であって、現実ではない。皆が皆を所有するはない。

    (2)国民国家の統合の象徴である「国語」も人工的に作り出されたもの。

    フランス語もドイツ語も人工的に作り出されたもの。

    (3)種族の問題:同じではない。同じ言葉を話しても違う民族だと自分で認識する。



    元の【備忘録 内容メモ全体】も参考までに載せておきます。内容的には重複している所が多いです。


    ・人は、今を生きており、時間を直接的に認識することはできない。
      →時間の感覚や歴史は人が便宜的に創っている。文学、目指した目標、狙った効果がある。
      →ヒストリーの語源は、「調査研究」byヘロドトス:最古の歴史家
      →大切なのは、史料の矛盾をつきつめ、最もありそうな説得力のある解釈を作り出すこと。
         →道徳的判断や功利的判断は避けなければいけない。善悪の判断は両面。
         →良い歴史解釈は、意図を持って創られた歴史と利害衝突を招きやすい。

    ・イスラム文明:神の言葉は不変。人間は変わり、うつろうもの。
      →未来に「必ず」とつけるのは、神の意識より、自分の意識を優先させる不遜な態度。
      →歴史という文化には、ローマ帝国の抗弁に対抗するために、取り入れた
      →本来的に持っているものではないから、交渉に弱い。

    ・アメリカにとっての歴史はヨーロッパの歴史のみ、他は地域研究
      →アメリカ自身にも、アメリカ研究のみ、伝記の効用は歴史より自己啓発
      →アメリカは、憲法だけによって作られた国
      →皆、ゼロから出発する=アメリカンドリーム

    ・中国文明とは、「正統」の歴史←司馬遷「史記」の歴史観 →日本にも影響している
      →正統を証明するために事実を捻じ曲げる。→皆わかってるから国家は信頼されない。
      →中華思想:支配の権限を持たない「漢人」が悔し紛れに作った思想。
      →朝貢:独立者からの贈り物のやりとりを、自分の権威を強めるためのPRに使っていた。

    ・地中海文明とは、地球上で最初の歴史を書いたヘロドトス「ヒストリー」語源は「調査研究」
      →二つの勢力が対立し、最後に正義は勝つ世界観←ゾロアスター・ユダヤ教の影響
      →ユダヤ教が残って、自分のアイデンティティを保てたのは一神教だったから。

    ・日本文明の成立事情
      →日本書紀が主張する「正統史観」:中国へ対抗するため。
         →創作なのだから、天皇のルーツをたどる研究はナンセンス。
         →GHQの指導で、「神話」が削除され、考古学である縄文・弥生時代からになった。
      →鎖国が日本のアイデンティティを作った。朝貢は独立のしるし。
      →歴史認識の混乱は、明治維新から始まった。西洋の歴史に「正統史観」を当てはめた。

    ・世界史の時代区分は「現代」「古代」のみ マルクス主義的段階進化は存在しない
      →アジア:19世紀に入ると国内史料だけの時代から、海外の史料も対象になる。
      →地球規模:18世紀末のアメリカ独立・フランス革命による「国民国家化」
      →日本:1868年の明治維新

    ・モンゴル:世界史の誕生 ユーラシアとアジアが、13世紀、元の征服により繋がった。
      →モンゴルからの継承政権:中露印、アラブ諸国、中央アジア各国
      →金時代に華北で発生した資本主義経済:銅がなくて紙幣を使い、信用経済が発達した。
         →アメリカが1971年に行った不換紙幣を、モンゴルは13世紀に使っていた。
         →13世紀、モンゴルの取引相手だったヴィネツィアで、世界最初の銀行できる。
      →モンゴルが陸を押さえた。→欧州各国は、新たな利権を求め海へ進出した。

    ・「国民国家」とは何か
      →君主制:嫁入りのやり取りにより、所有地は分断され、「領土」の線引きが大変。
      →フランス革命→市民革命→王族の領土を争い→ナポレオンが統一→「国民国家」
      →戦争に強い:無数に多数の兵士を動員でき、自分達の「国」を守るモチベーション。
      →爆発的に拡大したが、戦争による疲弊で、その役割に限界がきている。

    ・国民国家と民主主義
      →民主主義は、欠陥だらけの制度。明白な「虚構」(平等主義)に基づいている。
      →共和制の国家:アメリカでは、大統領が変わる度に、国の「性格」が変わる。
         →君主制:人格(文化の伝統と権威)が伝承される。
         →国民国家が現れる19世紀までは、皆君主制か自治都市だった。

    ・日本が国民国家に簡単に転換できた理由
      (1)領土が明確:四方が海。
      (2)鎖国の方針を歴史的に堅持。域内に外国の領土もなかった。
      (3)外国人がいないため、誰が「日本人」か明確

      →中国は、日清戦争に負けて日本に追随することを決めた。
        →現代中国語→日本語を例に作った。
        →日本へ来た留学生が持ち帰った革命思想→辛亥革命:清が滅ぶ
      →それまで政権を握れなかった漢人が支配することで中華思想が強まり
        →チベットの弾圧。文化を弾圧し、言葉を教えない。
        →日本は鮮やかに成功しすぎた。

    ・国民国家の終焉の理由
      (1)国民国家は観念上のもの。理想であって、現実ではない。皆が皆を所有するはない。
      (2)国民国家の統合の象徴である「国語」も人工的に作り出されたもの。
         →フランス語もドイツ語も人工的に作り出されたもの。
      (3)種族の問題:同じではない。同じ言葉を話しても違う民族だと自分で認識する。

      →広域統合の動きが出てきたのもその一環だが、まだ序章にすぎない。


    歴史を捉える上での大局観が見事にわかりやすく解説されており、歴史を学びなおしたい、世界史の流れを捉えるようなことをされたい方にオススメします。

  • “史料は、第一に、作者や、作者が属している社会の好みの物語に筋書に従って整理されているものだ。第二に、作者あるいはその社会が、記録する価値があると思ったことだけ書かれている。第三に、史料はすべて、なにかの目的が合って記録されてものだ。
     以上のような制約が、史料にはつきまとう。歴史家は、こうした制約を、常に前提条件として注意しながら、歴史叙述しなければならない。”

    歴史は、歴史的史料によって書かれている。

    歴史とは
    そもそも

    勝者にとって
    都合のいいものが選ばれ
    都合の悪いものは消され

    その上で、物語として
    脚色されている。

    それはあなたが書く
    日記も同じだろう。

    そこには、自分が見返す価値があると
    判断したものが残されているはずだ。

    歴史は「人間がつくる」
    当たり前のことだが、
    その当たり前の発想を意識していないと
    未来のために歴史は活かせない。

    間違った前提のものからは
    間違った未来しか生まれないからだ。

    「史料に対して疑いの目を持つこと」
    それは、歴史的真実に対する
    誠実なあり方である。

  • ・日本書紀は、七世紀末から八世紀のはじめにかけてのあいだ、ちょうど日本国の建国の時期に、日本の建国を正当化し、天皇という世襲制の君主の正統性を裏付ける目的で編纂された。

  • 一般的によく知られている歴史に対する否定的な解説は色々と思うところがある内容だった。
    しかし、歴史の定義については納得がいくような内容が書かれていた。特に歴史の史料に関してのどうしても著者の主観や当時の政治に配慮した記述となる事を注意する必要があるという事には確かにその通りだなと思った。
    この本を読んでいて考えた事だけど世界中で普遍的な歴史があるとすれば、発生した出来事を淡々と記述され、当時の個々人の考え等を排除したものになるのでは無いだろうか?

  • 最悪の書である。民主主義を否定し天皇を中心とした立憲君主制を唱えている。この様な人が今の世にいたとは!

  • -368

  • あまりいい出来ではないな

  • OH1b

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著者プロフィール

東洋史家

「2018年 『真実の中国史[1840-1949]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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