歴史人口学で見た日本 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2001年10月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784166602001

みんなの感想まとめ

人口の観点から日本の歴史を新たに照らし出す本書は、著者の精緻な研究により、近世庶民の家族や暮らしの実態を鮮明に描き出しています。特に、江戸時代の村の離婚率や出稼ぎの実情、人口爆発の背景など、従来の歴史...

感想・レビュー・書評

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  • 著者、速水融さんの著書、ブクログ登録は、2冊目になります。

    どのような方か、ウィキペディアを見ると、次のように書かれています。

    ---引用開始

    速水 融(はやみ あきら、1929年10月22日 - 2019年12月4日)は、日本の経済学者。位階は従三位。国際日本文化研究センター名誉教授、慶應義塾大学名誉教授、麗澤大学名誉教授。経済学博士。歴史人口学、日本経済史専攻。文化勲章受章者。日本に歴史人口学を導入したことで知られる。また「勤勉革命」を唱え、世界における勤勉革命論のきっかけを作った。英文著作も刊行している。

    ---引用終了


    で、本書の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    コンピューターを駆使してこれまで打ち捨てられてきた「宗門改帳」などの人口史料を分析し、人口の観点から歴史を見直そうとするのが歴史人口学。その第一人者である著者の精緻な研究から、近世庶民の家族の姿・暮しぶりがくっきり浮かび上がってきた。例えば、江戸時代の美濃のある村では結婚数年での離婚が多く、出稼ぎから戻らない人も結構いた、十七世紀の諏訪では核家族が増えて人口爆発が起こった、などなど。知られざる刮目の近世像である。

    ---引用終了

  •  速水さんの名前は、歴史人口学の本、古い時代の人口分析の時に必ずでてくる。

     極めて明確な文章ときちっとしたデータで記述している。文系の人の本は、少ないデータをくちゃくちゃ言い回して、何をいいたいのか、別にいいたいことがあまりないのか、わからない本が少なくない。

     その点、速水先生の本はわかりやすい。

     あたらしい視点、発見。

    (1)日本が鎖国令をだしキリスト教の禁止した背景には、実は日本の中華秩序からの自立という側面がある。(p46)

     この部分は、脱線部分で、本来は鎖国令で作り始めた宗門改張が人口分析にとても役立つということの前振りだが、貴重な指摘と思う。速水さんは鎖国令のあと、日本独自の暦をつくったこともその事実を裏付けているという。

    (2)1726年から1846年の120年間で、人口が伸びた地区は、北陸、四国、山陽、山陰、九州、減ったのは、関東、東北地方。(p62)

     江戸自体は人口変動が少なかったと誤解されているが、実は、西日本を中心に人口が増えている。

    (3)都市あり地獄説。(p65)

     江戸時代には、都市は人口を引きつけるが、公衆衛生が悪く伝染病などはやるため、若死にが多く、人口が結果として増えない。同じことがヨーロッパでも指摘されていて、都市墓場説とよばれているらしい。

     江戸では、上水道が整備されていたなどと言われているが、マクロでみると、たくさんの人が死亡している死亡率の高い地域だという認識をもつべきと理解した。

     大きなマクロの統計データは貴重な資料だと思う。

  • どこかで読んだモノの中で紹介されていて興味を覚えて購入、読了。
    歴史人口学と名を打っているが、個人的には人口歴史学の方がしっくりくる気がした。ともあれ、結構ブクログにこの本を登録している人が多いので、結構話題になった本だったのだろうか。

    内容的には過去の人口調査的なデータから、その社会その社会、時間軸の経過も含めてどのような傾向があったかを導き出すというもののようだ。いわゆる社会科学というものがどういうものなのか、以下にデータを科学的に整理し、分類し、分析するかという方法が少し垣間見れる。

    元々この本に興味をひかれたのが、日本の人口が減っていくという話題が出る時、現象するのはよくないという風潮でしか話題がなく、この規模の国土でどの程度が適性人口なのかという話題がないことに疑問を持っていたせい。残念ながら、歴史人口学ではそこに答えは出せない模様。

    杉亨二という明治時代に人口調査を行おうとした人の話が出るが、こういったパッションを持ち、貫く人が後世に何か残していくというのが興味深い。やっぱりパッションは重要だな。

    P.41
    なぜ「宗門改帳」は毎年つくられたのだろうか。なぜ一人一人きちんとお寺の判をつき、このものは何宗の何とか寺の檀家だということをはっきりさせねばならなかったのだろうか。私はこれは、一六世紀半ばにヨーロッパからやってきたキリスト教が、日本の天下統一を進めていた人物、つまり、信長はともかく秀吉や家康にとってひじょうに困った存在だったからではないかと思っている。(中略)日本側には根本的に一神教に対する恐れがあった。それで日本人一人一人について、間違いなく仏教徒でありキリスト教徒でないということを寺に証明させ、判をついて提出させるという一種の異端審問を行ったのである。その結果が「宗門改帳」の成立である。

    P.43
    カトリックの社会では、「聖書」を読むのは司祭の仕事であり、逆に一般住民は文字を読んではいけないとされていた。だから「聖書」は教会に置いておくべきものであり、家に持って帰ってはいけなかった。(中略)プロテスタントは逆で、全員が「聖書」を読めなければいけない。だから「聖書」は銘々が自分の家に持って帰る。

    P.64
    日本全体の傾向として、ほとんど人口変動がなかったが、危機年だけをとると、例外なく全国人口は減っている。つまり、危機を免れば場所はまずないといっていい。しかし逆に平常年だけとると、日行きを除いて人口はだいたい増えている。その人口の増えなかった地域はどこかというと、関東地方と近畿地方である。(中略)関東地方には江戸があり、近畿地方には京都・大阪があった。(中略)そこで私は、自分の造語であるが「都市アリ地獄説」を提起した。つまり都市というのはアリ地獄のようなもので、引きつけておいては高い死亡率で人を(やってきた人だけではないが)殺してしまう。だから地域全体として人口は増えなくなる。江戸っ子は三代持たないという俗説があるが、これは、江戸に住んでいる人にとっては健康なところではなく、農村から健康な血を入れないと人口の維持ができないということを意味している。(中略)ヨーロッパでも同じ現象に目をつけて、「都市墓場説」ということがいわれるようになった。つまり、各種インフラストラクチャー、公衆衛生、医学、病院などの近代科学技術が適用され、死亡率が低くなる以前は、歳の方が農村より死亡率が高かったし、出生率は低かったので、人口を歳以外から吸い込む必要があった。

    P.94
    ヨーロッパ型の農業発展は、人口に対して家畜の数が増えていく。そこで、いちばん初めに土地を掘り起こす犂は、一頭が曳いていたものが増え12頭曳きまでいく。(中略)しかし日本では、とうとう一頭曳きのものしかできなかった。しかも、日本は家畜を増やさ亜ず、だんだん農業に家畜を使わなくなっていく。(中略)家畜数が現象したということあh、それまで家畜のやっていた仕事を人間がやるようになったことを意味する。(中略)家畜がいなくなってその仕事を人間がやる。畜力から人力へというエネルギーの代替が起こるわけである。

    P.96
    それではこの時代に農民の生活水準は落ちたのかというと、落ちていない。(中略)衣食住すべての面において生活水準が上がっている。(中略)家畜は別名キャピタル、つまり資本である。経済学では生産要素としてふつう、資本と労働を考える。資本部分は大幅に増えて労働は節約する。つまり資本集約・労働集約というのが近代の産業革命、あるいは農業革命である。けれども日本の場合はそうはいかなくて、労働集約・資本節約、つまり資本が減り、投下労働量は増えるという方向で生産量が増大することになる。視野を日本とヨーロッパというように広げた場合、これは日本型とヨーロッパ型の対照となる。(中略)問題は、それによって農業に携わる人々の労働時間や労働の強度が大きくなっていくことである。いままで一日六時間ですんでいたものが、八時間、十時間働かなければならないとか、いままで家族全員が働かなくてよかったのが、こんどは全員が働かなくてはならないというようになってくる。
    そうなった場合に、農民のそういう状況に対する対応はどうであったのかというと、これは日本独特だが、日本人はそこに労働は美徳であるという道徳を持ち込んでしまった。(中略)日本の場合は、宗教ではなくて実際の生活の中で勤労は美徳であるという考え方ができあがる。江戸時代にたくさんの農書が出されたが、そこには必ず、一生懸命働くことはいいことだと書かれている。

    P.155
    脚気は当時、流行病と考えられていた。海軍の場合、かつて遠洋航海をすると脚気患者がたくさん出ていたが、ムギ飯やパンを食べさせると患者は出ないということを経験的に知り、それ以来海軍では兵食をムギ飯ないしはパン食にした。もっとも、いまではみなパンを食べるが、明治期に農村から徴兵されて海軍に入った人たちにいきなりパンを食べろといっても食べられず、みな海に捨ててしまい、カモメがよって来て、捨てたパンに群がった、というようなことが記録されている。

    P.170
    ドイツにはユニークな史料がある。それはナチス時代に、それぞれのドイツ人の先祖にユダヤの血が入っているかいないかを調査した記録、つまり家系・系図のようなものである。

  • 学生時代私は法学部だったが、経済学部の友人の口から速水先生のお名前は何回か聞いたことはあった。でも他学部の先生だし、速水先生のことをその時に詳しく知ったとしても、他学部の専門科目をわざわざ履修しようなんて発想はなかったよなと思う。
    それから数十年、速水先生のお名前を、磯田道史氏の師匠として再び聞くようになり、いずれ何か本を読んでみようと思っていたら、2019年に先生は鬼籍に入られてしまった。そしてさらにそれから2年半経過して、やっとこの本を読んだわけだが、なぜもっと早く速水先生の本を読まなかったのかと後悔するくらい、とても面白かった。速水先生がご存命のうちに講義を聴きたかった。この本では、速水先生の研究の一端が垣間見えるにすぎないので、研究結果がまとめられた本をじっくり読んでみようと思う。

  • まえがき
    第一章 歴史人口学との出会い
    第二章 「宗門改帳」という宝庫
    第三章 遠眼鏡で見た近世
    第四章 虫眼鏡で見た近世
    第五章 明治以降の「人口」を読む
    第六章 歴史人口学の「今」と「これから」
    歴史人口学史料・研究年表
    参考文献

  • (~2004大学時代の本@202012棚卸)

  • 図書館本。過去の人口を探る方法とか全然知らなかったので、面白かった。

  • 江戸時代、人の移動と信仰を管理する為、全国の寺社に「宗門改帳」という戸籍に近いものを作っていた。この宗門改帳がまとまった年数分みつかっている諏訪、濃尾、美濃などの宗門改帳を分析し、江戸時代の人口動態がどうだったかを分析する興味深い本。

    北日本、中央日本、南日本で日本は婚姻、出産の文化がまるで異なり、分析対象の中央日本は、大家族から核家族化することにより人口が大爆発した。(普通は逆に思うかもしれないが、大家族の場合、次男、三男は妻帯できないことが多かった)食いきれない若者は早い段階で周辺の大都市(京都、大阪、名古屋)に出稼ぎに出されるのだが、大半がそのまま都会から帰ってこず(死亡ないし都会で定住)、それで田舎の人口は保たれていたらしい。

    とまあ、こんな感じで日本各地の人口動態の特徴が書かれているので、江戸時代好きの方はぜひお読みください。

  • 半分くらいは学史と自分史のような気もするが、それも含めて面白い。

  • こういう学問があるとは。歴史とデータ分析という古さ新しさの交わりがその可能性を広げているといえるかも。

  • 学生時代に一度読んだ本。宗門改帳からここまでわかるなんて、すごい。

  • 出産、死亡、分家、出稼ぎ……近世の庶民の一生が姿を現した。
    都市は出稼ぎを集めては殺す蟻地獄だった、小作の娘ほど晩婚だった等、新しい学問が明らかにした近世庶民の生まれてから死ぬまで。(2001年刊)
    ・まえがき
    ・第一章 歴史人口学との出会い
    ・第二章 「宗門改帳」という宝庫
    ・第三章 遠眼鏡で見た近世
    ・第四章 虫眼鏡で見た近世
    ・第五章 明治以降の「人口」を読む
    ・第六章 歴史人口学の「今」と「これから」

    肩肘の張らない、これぞ新書という内容である。文春新書らしく読み易い。著者が、ヨーロッパに留学し、歴史人口学と出会い、日本の各地に残る「宗門改帳」をもとに、研究を進める様子は、歴史人口学史と重なり、興味深い。歴史人口学の概念を判りやすく解説している。

  • 2001年発行。あまり期待はしていなかったけど面白かった。著者の歴史人口学との出会いから「宗門改帳」などの史料の分析、明治以降の「人口」などについて。この本を知るまで歴史人口学という言葉を知らなかった。この分野の成立以来まだ半世紀にも達していないらしい。

  • 歴史人口学について分かり易く書かれており、読みやすかった。

  • 宗門改帳などを利用して、社会動態をミクロとマクロから探る。学問の発生点、メソッド、現在の状況など、とても詳しく述べてあり、学生には大変重宝されそう。この人の留学ネタがもっと読みたい。
     宗教と統計は深い関係にある。日本ではキリスト教弾圧のため宗門改帳が作られ、南欧(イタリア)ではカトリックの慣習から教会に来る人の記録が取られた。カトリックでは聖書は司祭のみが読むべきもので識字率は低かった。北欧(スウェーデン)はプロテスタントであり、信徒は聖書が読めるよう指導され識字率は高かった。これがグーテンベルグの活版印刷に繋がる。
     江戸時代、人口は通じて2600万人プラスαだったとされる。これは元の数字が各藩それぞれの統計基準によるものであり、差が大きいと見られるためである。αが争点となるが、著者は500万人程度としている。江戸時代、享保(虫害(うんか)、主に西日本)、天明(冷夏→稲が分蘖せず、収穫減+浅間山大噴火による日照不足)、天保(よくわかってない。病気?)の3つの飢饉があった。この時期、1200~1850年ほどまでは、世界的にも小氷期であり、不作飢饉が見られた。江戸時代、全体数としては人口に変わりはなかったが、都市では人口が減少し、農村部では増えるという「都市蟻地獄」とも呼ぶべき状態があった。農村部で人が生まれ、都市に流入し、そこで死ぬという図式である。これはヨーロッパでも「都市墓場説」として見られる現象である。
     吉田東伍は江戸初期の人口を、太閤検地の全国石高1800万石に合わせて考え、1800万人と考えたが、この一人一石というのは、熊本での資料から無理があるといえる。そこでは一人0.5石ほどであり、他の資料を鑑みても0.6~0.7石ほどであった。江戸時代ではその後、大幅な人口増加が見られている。
     宗門改帳は諏訪で特に多く見つかっている。これからは世帯規模が縮小し、住地域が地域として広まっていることがわかる。また、濃尾地方の宗門改帳では、耕地が増加する一方家畜が減少し、人的労働力が用いられ、労働集約的になったことがわかる。これは勤勉革命とも呼ぶべきものであり、ヨーロッパの産業革命とは質的に異なる。出稼ぎ方向の動態もわかる。
     明治に入り、マクロな統計は数を増す。ここで大きな役割を果たしたのが杉亨二である。適塾で学び、徳川慶喜の治める静岡藩で国勢調査を行い、後に明治政府に招かれ全国的な統計を作成する。後、共立統計学員を作るが、潰れてしまう。しかしこの生徒たちが、児玉源太郎、後藤新平統治下の台湾で国勢調査を行った。
     人口学のキーワードに「人口転換」があるが、これは疫病の歴史とも関連するものである。
     宗門改帳から、日本は縄文型の東日本型、弥生型の中央日本型、西南日本型があることがわかる。
     今後、歴史人口学では質・量ともに研究を重ねていくことが重要である。

     宮本常一・網野善彦らとも繋がる。大変興味深い。自然要素も考える必要がある。この学問の成果だけで物事を説明するわけには行かないが、重要な要素の一つで有ることは疑いがない。もともと宗門改帳を一つ一つまとめるという超アナログな研究が、ココまでの成果を出しているということは感動的ですらある。著者は何かひょうひょうとしてこの作業をこなしてきたように感じられ、尊敬の念を抱く。

  • NDC分類: 334.2.

  • [ 内容 ]
    コンピューターを駆使してこれまで打ち捨てられてきた「宗門改帳」などの人口史料を分析し、人口の観点から歴史を見直そうとするのが歴史人口学。
    その第一人者である著者の精緻な研究から、近世庶民の家族の姿・暮しぶりがくっきり浮かび上がってきた。
    例えば、江戸時代の美濃のある村では結婚数年での離婚が多く、出稼ぎから戻らない人も結構いた、十七世紀の諏訪では核家族が増えて人口爆発が起こった、などなど。
    知られざる刮目の近世像である。

    [ 目次 ]
    第1章 歴史人口学との出会い
    第2章 「宗門改帳」という宝庫
    第3章 遠眼鏡で見た近世―マクロ史料からのアプローチ
    第4章 虫眼鏡で見た近世―ミクロ史料からのアプローチ
    第5章 明治以降の「人口」を読む
    第6章 歴史人口学の「今」と「これから」

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本の医師需給についての調査のために読了。歴史人口学についての提唱。第五章三で、感染症による死亡が述べられており興味深い。

    世界でいち早く高齢化社会を迎える日本の今後の未来予測を行っていただきたいところ。

  • 「宗門人別帖」に代表されるような歴史的な人口調査書を現代の統計学を駆使して読み解くと、その時代の社会が見えてくる、という比較的新しい学問「歴史人口学」の入門案内書。ヨーロッパにおいては先行の研究もあったが、日本においては博士が先途に提唱した学問であるので、その研究史を紐解くことはそのまま博士の学問履歴を振り返ることになる。一研究者の回顧録的な側面もある一冊。

    いわゆる”コロンブスの卵”的な、なるほどと感心させられること多々あり。ミクロ的視点からマクロ的見地へと次々と新しいアイデアを盛り込んで既存資料から全く新しい社会像を読み取っていく様は、大いに知識欲を刺激される。
    歴史研究かくあるべし、と。

    但し。学問分野の先駆者であった著者にとっては見出した一つ一つが新しい発表となり得たが、それらを踏まえた今後は更に深く、広く、複合的かつグローバルに検証していく必要が出てくる。二番煎じはそうそう続けられるものではない。
    日々進歩するコンピューター時代にあって、データの解析もかなり微細なところまで可能になっている。データ件数の多さがものをいう学問だけに、基礎となるデータベースの充実が学問的発展には不可欠となるだろう。
    その一方基礎的なそういうところには予算がつかないのが貧弱な日本の学問事情。この分野の後進研究者にはかなり厳しい話かもしれない。

    ヨーロッパにおける歴史人口学研究の大家曰く、
    「今後のこの分野に求められていくのは、古文書の読解能力があり、数学的統計学の知識を身に付けていて、最低5ヶ国語に堪能である人物」だそうな。
    言ったご当人が「そんな人は世の中にいない」と笑っているが、要するに学問それぞれを分ける隔壁のようなものが取り払われつつあるということなのだろう。

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著者プロフィール

慶應義塾大学・国際日本文化研究センター・駒澤大学名誉教授

「2014年 『西欧世界の勃興[新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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