21世紀への手紙―ポストカプセル328万通のはるかな旅 (文春新書 208)

著者 :
制作 : 文藝春秋 
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166602087

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  • 1985年に茨城県つくば市で開かれた
    国際科学技術博覧会(つくば万博)の会場に、
    タイムカプセル郵便のポストが設置されていました。
    そこに投函された手紙は大切に保管され、
    16年後の2001年の元日に配達されました。
    その数は328万通に及んだそうです。
    手紙を書いた人たち、受け取った人たちには
    悲喜交々のドラマが待ち受けていました。

    16年という年月の重さを感じないわけにはいきません。
    もうこの世にはいない人から手紙を受け取った人もいました。
    肉筆は紛れもなくその人が生きていたことの証。
    その人の温もりを感じることができるものです。
    受け取った人の気持ちを想像するだけで涙が出てきます。
    エミリー・ディキンソンの言葉「手紙は滅びない命」を
    思い出しました。

    本書を読んでいると、亡くなった人の手紙が
    残された人の慰めになることがよく分かります。
    私が死ぬときも、金銭的な財産は残せなくても
    手紙なら残せるかなとふと思いました。
    ただ手紙は相手があってこそ書けるもの。
    死ぬときに手紙を残したいと思う相手がいるかどうかは
    また別の話。生きている間、私がどのように人と
    関わっていくのか、それが肝心なことだと
    言われているようにも感じました。

    今また16年後に手紙を届けてくれると言われたら、
    私は誰に手紙を書くのかしら。
    考えさせられます。

  • [ 内容 ]
    20世紀に投函され、16年間眠っていた328万通の手紙が、21世紀が始まるまさにその日に届けられたとき、静かな感動はやがて日本中にひろがってゆきました。
    亡くなった息子が4歳のときに書いた元気いっぱいの葉書。
    16年前に落とした涙がそのまま残る手紙―親を思い、子を思う人々のこころは、時空をこえて、愛する人のもとに届きました。
    この手紙の中から聴こえてくる声は、私たち日本人に、明日を生きる希望と勇気を与えてくれます。

    [ 目次 ]
    第1部 20世紀の私から21世紀のあなたへ(22歳のあなたに;真愛は今0歳です;お母さんが生命をかけて生んだのが、悦ちゃん、あなたです ほか)
    第2部 16年の時をこえて(最後のプレゼント;古いアルバムのなかの私;夢とともに生きた娘に ほか)
    第3部 ポストカプセル328万通のはるかな旅(2001年1月1日;人生の分かれ道に立って;昨日と明日のあいだで)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 気持ちのこもった手紙をもらった人は幸せだ。16年の時を経て届いた手紙にその人達の人生が重なり涙してしまう。

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著者プロフィール

岩手県生まれ。早稲田大学文学部日本文学専修卒業。佛教大学大学院仏教文化専攻修士課程終了。ノンフィクション・ライターとして、人物インタビューやルポ、書評などを執筆。『実践する!仏教』(すばる舎)『共に在りて』(講談社)ほか。児童書に写真絵本『マリモを守る。』『お月さまのこよみ絵本』(理論社)『大切な人は今もそこにいる』(理論社)は読書感想画の指定図書に選ばれる。

「2023年 『遠くの人と手をつなぐ SOSの届け方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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