ハリウッド・ビジネス (文春新書)

  • 文藝春秋 (2001年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784166602100

感想・レビュー・書評

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  • 2002年刊。著者は米国カリフォルニア・ニューヨーク州弁護士。

     映画の都ハリウッド。華やかな映画ビジネスは、それに関わる人々の欲望をストレートに反映させる。そこは、アイデアや創作物を生み出した者の知的な価値を保護しようという牧歌的な著作物保護とは大きくかけ離れた世界。その著作権ビジネスに関する争訟や交渉を専門にする著者が描き出す実像は人の欲望の生臭さが臆面もなく広げられている。 
     書かれるのは、①著作権に関する著名な争訟、②業界人のスキャンダラスな在り方、③成功と失敗が背中合わせの企業間競争の実際である。

     その本書で心に掛かるのは、何よりも動く金の巨大さ、成功した場合の巨額の実入りである。この資金集めや責任の分配の方法論は、例えば邦画やアニメーション業界にも妥当するかもしれないが、ここまで巨額なのはハリウッドならではだろう。
     そして困ったら、即座に訴訟に、というのも米国らしい。まあ動くお金が巨額だからというのも大きいとは思うが…。

     一方で、笑えないものとしては、製作委員会のタックス・シェルターの利用。たとえそれが、域内の雇用増を来す撮影誘致の目的であってもだ。また、興行失敗の損失回避の目的で広がった過誤保険も同様。これが映画の質という意味でのモラルハザードを生んでしまう事実。駄作の大量生産という事実を突きつける点も驚愕と納得とが相半ばする印象である。

     そして、著作権問題は避けて通ることはできない問題だ。
     その知的営為を称え、かつ知的営為に人々を促す目的で設定された独占権の一方、著作物の宣伝を考えると、著作権侵害を伴う拡散を
     ただ、ここで挙げられるのは、独占権云々ではない。ミッキーマウスに代表されるように、確かに著作権とは、金を生み出す独占権であるが、著作者死亡から70年間も保全される場合がある。それはその生前から考えると1世紀以上も特定の企業や人物に独占させることになるのだ。
     が、果たしてそれでいいのだろうか。どうにも座りが悪いと思うのは私が映画関係者ではないからだろうか。

     ちなみに、あの「Xファイル」の主演・デビット・ドゥカプニーの降板経緯は初めて知った。20世紀フォックスもそれじゃあ駄目だなあと。

  • 衛星放送は地上波やケーブルが届かない地域にテレビ番組を供給する。
    プライムタイム24はディレクTVなどの衛星放送にテレビ番組を提供する卸売業者。プライムタイムが供給する番組の画質はデジタルなので、地上波放送よりも鮮明だった。

  • [ 内容 ]
    訴訟大国アメリカの、映画の製作現場でくりひろげられる驚くべきドラマの数々。
    著作権をめぐる複雑な権利争いにはじまり、スターと製作会社の虚々実々のかけひき、巨額の製作費の調達と二重帳簿のからくり、メディア企業の合併や独立系製作会社の誕生など、一本の映画ができるまでの過程と映画産業の新しい流れを、新旧の傑作映画にかかわる裁判を具体例として豊富にあげながら解説する。

    [ 目次 ]
    第1章 ハリウッド映画とスタジオ(メジャー・スタジオとは;一本あたりの収支決算 ほか)
    第2章 映画の原作・著作権(映画と原作権の値段;原作権―「アミスタッド」裁判 ほか)
    第3章 ハリウッドを騒がせた人々(アイズナーとカッツェンバーグ―ディズニーの帝王対ドリームワークスの創始者;クリント・イーストウッドとソンドラ・ロック―男と女が別れる時 ほか)
    第4章 収支決算と企業間バトル(映画の収支決算;ネット収益― 「星の王子ニューヨークへ行く」裁判 ほか)
    第5章 資金調達と運用の戦略(リスク分散;スプリット・ライツ ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • アメリカのエンターテイメントビジネスの中で弁護士として活躍してきた著者が語る、ハリウッドを取り巻く訴訟とお金。

    すごいー、ハリウッドこわいー(涙)。
    私のような小市民には、こんな感想しか持てません。「生き馬の目を抜く」という慣用句がありますが、ハリウッドはまさにそんな世界らしいです。
    こういう世界を渡り合ってる渡辺謙さんとか菊地凛子さんとか(あれ、菊池だっけ・・・?)、本当に度胸と勇気のある人たちなんだなぁと思います。二人とも、お世辞にも英語が上手い人たちじゃないのに。

    誰もが知っているような有名な俳優や映画にまつわる訴訟エピソードも多く載っているので、楽しく読むことが出来ると思います。

    いやはや、しかし。出てくるお金の額がハンパ無いです。
    私が一生かけても手にすることがないような大金を、みんな一本の映画や一回の離婚でサラリと手にしてるのね。。。(後半はどうかと思うが)

  • 2001年秋時点のハリウッド勢力図がうかがえる。著作権ビジネス弁護士のウェブが既存メディア侵食しはじめた時期の生々しいエンターテイメントビジネスの著作権を中心とした訴訟例の数々。08年の今、読んだ方が面白いじゃない!

  • 周防正行「Shall we dance アメリカを行く」に、アメリカというと契約社会でしっかりしているようだが、実際は訴訟件数を見てもわかるようにトラブルも多く、日本式の口約束の方が信用できる形態かもしれない、というくだりがあったけれど、ハリウッドではその口約束も信用できない、そのときどきの力関係次第ということらしいです。カリフォルニア州では口約束も法的拘束力を持つにも関わらず、というかだからこそ、か。権利関係の調停は、結局きちんとした判例というより和解で決着することが多いから、ますますややこしい。
    イーストウッドがソンドラ・ロックと手を切る時のセコいやり方の暴露は、日本人で女性の著者だからできたことでしょう。

  • 本書最大の収穫は、洋画「バトル・フィールド・アース」や「隣のヒットマン」など、何でこんなしょーも無い映画にトップスターが出てるんだ? 作らせるか普通!? みたいな映画を連発している製作会社「フランチャイズ・ピクチャーズ」社の成り立ちと、その資金調達のテクニックの片鱗を垣間見る事が出来る点だ。飲み屋の経営で小金を貯めたエリー・サマハというおっさんが勘違いしてでっち上げたこの会社の特徴は、配給会社からほとんど資金提供を受けない独立採算系の会社でありながら、役者本人が持ち込んだ企画を主に採用しつつ、それを条件に出演ギャランティなどのコストをカット、場合によっては役者本人からの出資を条件に製作を行うからこそ、A級キャストが出演するラジー賞ノミネート常連製作会社はアイタタな映画を連発し続けるのである。「ドリブン」とか。<br>
    ハリウッドビジネスは今や、銀行融資や完成保障ビジネス、ドイツ系投資家らのマネーが暗躍し、裁判が横行するシビアな世界である一方、金回りに迷惑と文句が出なければ、何作っても許される世界でもあることが、本書から見えてくる。<br>
    本書は三分の一が映画関係の裁判事例や歴史紹介、三分の一がトリビア系マネー事情、その他、ここ数年のハリウッドの勢力地図や代表的な資金分配の経路が解りやすく紹介されており、映画について作文するときに脇に置いておくと心強い一冊に仕上がっとります。

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