17歳という病 その鬱屈と精神病理 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2002年8月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784166602629

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

思春期の若者の心の葛藤を描いた作品は、著者自身の経験をもとにした深い洞察が特徴です。現役の精神科医による分析ではなく、皮肉や自虐が交錯する筆致が印象的で、読者はその誠実なスタンスに共感を覚えます。思春...

感想・レビュー・書評

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  • 現役精神科医による論理明快な若者分析、などといった期待はまずかなぐり捨てなければならない。
    思わせぶりな表題をしておきながら手に取った読者を、それ以上に筆者自身を嘲笑するような皮肉と自虐とどうにもならなさに満ち溢れた終始筆致である。
    しかし、それゆえに極めて誠実とも言えるスタンスを受け入れててしまいさえすれば、思いがけぬ共感や発見が埋もれているかもしれない。

    もともと宙吊りの理屈よりも自身の経験に引き付けて書くことに重点を置くことの多い著者だが、本書にはその核となるような繊細な部分が凝縮されているように思う。


    _思春期の若者に対して行われたロールシャッハテストの結果は精神疾患の患者と大差のないことがしばしばある。それだけ若者は混乱と混沌の中に身を置いている(...)そんな彼らに辟易したり後ずさりしたくなるほうがむしろ自然というものであろう。(p19)

    _だから彼らには彼らには言葉による表現力や伝達能力を磨くといった面倒な作業よりも、自分の感情を描写するふさわしいロックバンドを見つけ出したり(...)代弁者が必要なのである。(p35-36)

    _それはとてもミニマルな形での個人的な宗教のようなものであり、心を病んでいくプロセスをプロセスに類似した危うさが秘められていたように思えてならない。狂気には恐れとともに切ない懐かしさがある。(p42-43)


    具体的には、箱男、アメーバ、回転展望食堂、浅井健一、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩などが連綿と配置されていく。
    連想弛緩的な感性と思われるのはむしろ心外である、というようなことも述べているのだが、敢えて肖らせてもらうならば個人的には次の言葉を附してみたい。

    「僕は二十歳だった。それが人生で最も美しい年齢だなどとは誰にも言わせまい。」(ポール・ニザン)

  • 前半はひねくれつつも自己と向き合い、熟考し見出してきたであろう人生論に頭の良さを感じる。
    後半から要所々々に批判的な描写が目に付き、読んでて荒んできた。
    面白いけれども

  • 作者の屈折した人格がところどころ出ていてある意味個性的な本だった。

  • 春日武彦は割と評価していますが、これってどうなの。
    この本に限ってはあまり評価できない。

  • 自分自身が思春期の頃に感じていた劣等感、うまくいっているように見える同級生や優秀な兄弟と比較して大人になった今でも「あの頃は本当に危機的な状況だった」と感じます。
    あの不思議な年代について立ち止まって考えてみたいと思い本書を手に取りました。が、著者の少々ひねくれた?考えに要所要所で突っ込んでしまいたくなり、「一体何のためにこの本を読み始めたんだ?」と一周回ってよく分からなくなった後「こんな優秀な人でも鬱屈した思いを抱えながら年を重ねるし、大人になっても問題は解決されない事も多々ある。ただ、自分の感性を人と共有したがら日々を乗り切っていこう」と感じました。
    私には著者が最終何が伝えたいかいまいち理解しにくい内容だったのですが、素直に自分の思想を表現する勇気をいただきました。

  • 私にとって初めての春日武彦。
    本書を手にしたきっかけは確か、勢古浩爾氏の著書に引用されていた文章に興味が湧いたから。そもそも、勢古氏の怒りに満ちた態度のファンであったので、春日氏の過激な物言いの虜となってしまった。

    「人を殺す経験がしてみたい」という動機で65歳の主婦をメッタ刺しにした17歳。
    ネット掲示板で犯行を予告の上、高速バスを乗っ取り1人を殺害した17歳。
    母親を金属バットで殴打、殺害した後に自転車で逃走した17歳。

    上記はいずれも2000年に発生し、全国的にも報道された「17歳による犯罪」。
    無論この年以前にも少年犯罪はあったし、同年に陰惨な殺人事件を起こした20代も40代も60代もいる。
    それでも、自分が漠然と抱いていた「こどもはこんな事しないだろう」なんて根拠無き思い込みを粉微塵にするような、凄まじい衝撃をこれ等の事件から受けた記憶がある(斯く言う私も当時20歳の小娘だったけど)。

    この頃の社会的な風潮、雰囲気、気分みたいなものが数多くの「若者論」を生み出したし、本書もそういう文脈で綴られている。
    ただ、当時連日のようにワイドショーを賑わせていた「近頃の17歳の分析」は、幾らも離れていない筈の自分が聞いてもピンとこなかった。一番身近にいる17歳は妹だったが、私から見た彼女ともまた違う。こともあろうに、妹本人すら「え、そう?」みたいな顔をしている。

    最新の「17歳(若者)像」は、年齢を重ねれば重ねるほど益々不可解に、掴み所がなくなっていく。ならば最初から知ったかぶりなどしないのがいい。正直、大人が若者の気持ちを理解する必要も別にないんじゃないのかな、とも思うし。
    但し、無礼で傲慢で生意気で鼻持ちならなくて未熟で愚かでどうしようもない若者たちに対して大人が憤るためには、その大人自身が、無礼で傲慢で生意気で鼻持ちならなくて未熟で愚かでどうしようもなかったかつての己をガッツリ自覚してからじゃないと、片手落ちになる。

    そういう意味で、本書は非常に真摯な「若者論」であると感じる。

  • かつて17歳以降は余生だと思っていましたが、その余生のほうが長くなり、17歳の息子を持つに至りました。17歳って、たしかに病とも思えるほどの精神の鬱屈があったように思います。家族がそういう「病」なのだとしたら、少しでも思い出し、理解しておこう、という動機から手にとったのですが…。
    17歳の精神分析というよりも、著者が17の頃はこんなにハズカシカッタ、という内容に紙面が多く割かれています。スリリングだった導入部から、著者の17歳時代に移り、文体も次第に毒舌になっていく。思っても見なかった方向に進んでいく本でしたが、僕の当初の読書目的には十分応えてくれました。「些細なものごとがいきなり黄金に変わったり、毒の結晶へと変化しかねない」その言葉が象徴しています。

  • 未成年者(特に高校生)による凶悪犯罪が頻発していた頃、
    何が彼らを凶行に駆り立てるのか、
    その問題は当該世代特有のものなのかを分析する試み――
    のはずが、
    なんだかブッ飛んだ面白い読み物になってしまっている(笑)
    「宇宙怪物メーバア」のエピソードでお茶噴いた。

  • あんまりおもしろくなかったです。
    なんか若者像が一昔前…?
    と思ったら、9年前に出版された本でした。

  • 17歳のときに読んで、首肯できる部分がまったくなかった、らしくない、17歳でした。

  • やはり春日先生は過激だねえ。文章がところどころで「飛ばしている」というか「暴走している」。そこが魅力ではあるが。
    第1章では、若者と狂人(使ってはいけない言葉らしく、ワープロで変換できなかった)の共通点として、異常なくらい論理の整合性を求めながら、結局は論理を弄んでいるに過ぎないと語る。
    第2章では、パーソナルスペースを縮小するという、ヒトの防衛本能と、世の中の空気から、若者のひきこもりを読み解く。
    第3章・第4章では、春日先生自身の青春時代を、「とりかえしのつかなさ」と「懐かしさ」の間を揺れ動きながら振り返る。
    精神科になったことは、春日先生の自分自身の青春時代に対する懺悔のようにも感じるし、そうならざるを得なかった必然のようにも感じる。
    第5章では、人間として言語感覚を磨くことの重要性を説き、それを欠いた若者と、そいういう若者を育てた大人への怒りが爆発。
    怒り過ぎているためなのか、確信犯なのか、「ムカつく」という言葉を批判しておきながら(160ページ)、ある本に対して「むかつくんだよ」と言い放っていたり(151ページ)。
    先生、感情のヒダにやすりがかけられてしまいますよ。
    よけいなお世話ではあるが、こんな過激な本を書いて、本業の精神科医の仕事に支障がないのだろうか?
    この本を読んだ後では、自分はちょっと春日先生の診察を受ける気にはなれない。だって、内心ムカつかれそうなんだもん。

  • [ 内容 ]
    些細なものごとがいきなり黄金に変わったり、毒の結晶へと変化しかねない不安定な季節は、おそらく青春といった特異な時期の他にはないだろう。
    自分が子供であった頃や若者であった頃を想起しつつ、その記憶から普遍的なものを引き出してみたいといった願いを抱いて、本書を著した。

    [ 目次 ]
    第1章 若さと狂気との類似性について(その男、狂暴につき 口をあけた男 ほか)
    第2章 選択肢としての「ひきこもり」(正方形の詩集 緑色の壜 ほか)
    第3章 言葉遊びと駄洒落(透明なもの アメーバ綺譚 ほか)
    第4章 懐かしさから遠く離れて(意外性指向 ノスタルジーのツボ ほか)
    第5章 不穏な彼ら(キレる若者、という伝説 まことしやかな説明 ほか)

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 子供を育てるのは,本当に大変.

  • 私は未だにこの「病」を引きずっているかもしれない。
    「あとがき」が一番共鳴しました。

  • 筆者も書いているが、偏見と怒りに満ちた文章が面白い。

  • タイトルが放つ「解説本かな」という予測とは裏腹に,むしろ著者の心の闇を吐露しつつ癒しを探っていくというような,面白い作風。個人的にはこの著者のファンで,期待通りの読み応えだった。

  • 春日武彦の17歳という病を読みました。精神病治療の第一人者の若者論です。人間のあらゆる言動に一貫性を保とうとするのは若者と狂人だけである、などと言う指摘は自分の若い日を思い出すと首を縦に振りながら納得してしまいます。また、自分の気持ちを表現するための語彙が貧弱であることが若者のキレる原因になっているのではないか、という指摘もそうかもしれないなあと思わせます。4章までは落ち着いて読めるのですが、5章は文章の中で筆者がキレてしまいます。これはこの著者にしては妙だなあと思いましたが、この本を読むだろう若者向けにキレて見せているのではないかと思いました。

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著者プロフィール

春日 武彦(かすが・たけひこ):1951年、京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医を経て、精神科医に。都立精神保健福祉センター、都立松沢病院、都立墨東病院などに勤務。多摩中央病院院長、成仁病院院長を経て、同名誉院長。著書に『ロマンティックな狂気は存在するか』(大和書房→新潮OH!文庫)『問題は、躁なんです』(光文社新書)『精神科医は腹の底で何を考えているか』(幻冬舎新書)『臨床の詩学』(医学書院)『奇想版・精神医学事典』(河出文庫)『屋根裏に誰かいるんですよ。』(河出文庫)『恐怖の正体』(中公新書)『無意味なものと不気味なもの』(文藝春秋→中公文庫)『自殺帳』『自滅帳』(ともに晶文社)ほか多数。

「2026年 『怪談の真髄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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