隠すマスコミ、騙されるマスコミ (文春新書 318)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166603183

感想・レビュー・書評

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  • マスコミ報道の脆弱性と限界について、考えた。
    メディアへの情報提供をアートとして作る例が出てくる。良く出来た作品であれば、真に受けられ、報道される。誤報であることは、問題にされない。忘れ去られるものとして、誤っていても謝罪することはない。意図して情報操作には制裁がある。そしてニュースには、エンターテイメント性が求められる。美女やキャラクター(人形)がもてはやされる。ニュースとは都市伝説である。確認できないものほど良質である。所属する、シマ・ムラにより、扱いは変わり、正しい、正しくない、よりも娯楽であることが重要だ。さらにCGによる、俳優、映像技術。リアリティとは、生身体ではなく、イメージを指す。
    テロ、戦争報道では、報道の限界として示される。重要な情報は遮蔽され、国民は誘導される。9.11、大気汚染は経済影響が大きいので隠される。国際報道、自国の批判には、限界がある。
    日本では、記者クラブが存在、外国人記者には閉鎖的である。そのため、政治的報道に、外国メディアは取材参加できない。よって、(海外での)日本報道は、週刊誌化する。夜討ち、朝駆け、情報源との人間関係は、持ちつ持たれつ。足で取材する情報には限界がある。
    また、一般人でも真相に迫れる時代となった。サイバースペースに蓄えられるのは人類の歴史である。真実に迫る、淘汰され、蓄積される。

  • 今まさに、ここで書かれているようなきな臭い隠蔽工作が、国会近辺でなされていることも含め、いつの時代もマスコミのあり方は似たり寄ったりなんだな、というのが第一の感想。で、アメリカでも同じようなことが繰り返されていたりして。似なくても良いところばかり、かの国に似通ってしまうと感じられるのは、自分の穿った見方に過ぎないのでしょうか。外部からは日本の内部事情が極端に見えにくく、そのせいでどんどん相手にされなくなっていくっていう状況、まさに鎖国状態ですね。根っこの部分に鎖国精神、みたいなのが根付いてしまっているんでしょうか。もちろん人ごとではなく、自分も気を付けておかないと、っていうことなんですけどね。

  • 1章から5章までは興味本位を煽るようなくだらないエピソードが続き、これで終わるのだろうと繰っていたら6章統括と最終章国際報道の実態に至ると俄然ラディカルな取材とシリアスな問題提起を伴ってやおら内容が分厚くなる。記者クラブをめぐるレポートは中立ゆえに信頼できる。タイトルから期待したメディアリテラシーについての言及はこの二つの章で十分に補われた。

  • [ 内容 ]
    日々、国内外の出来事を伝えるテレビや新聞のニュース、巨大な証券市場を動かす経済通信電、何百万の観客を動員するハリウッド映画―現代社会は、マスメディアが構築したイメージの城である。
    マスコミの流す情報が、事実と一致しないことはわかっていても、競争社会を勝ち抜くために、また豊かな生活のためには、マスコミ情報を利用せざるをえない。
    では、その信憑性をどのように確認すればよいのか。
    イラク戦争報道からCGアイドルまで、豊富な事例をもとに、メディアのカラクリを明らかにする。

    [ 目次 ]
    第1章 マスコミ騙し屋
    第2章 ジンジャー報道―エンターテイメントとしてのニュース
    第3章 女優シモーヌは誰なのか?
    第4章 同時多発テロ事件が試した「報道の限界」
    第5章 クローン技術と呼ばないで
    第6章 総括―新しい時代のジャーナリズム
    最終章 国際報道の実態―外国メディアが作る日本のイメー

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本の記者クラブ制度がいかに日本の情報発信力、ひいては国際社会での日本の存在感を損ねているか、という指摘は重要。一方で英米メディアが以前信じられていたほど信頼のおけるものではなく(特に9.11以降)、足で稼ぐ記事(英語でもleg workって、そのまんま)が万能ではない証明もあり、どうすればいいか一概には言えず、難しいものだとも思わさせる。

  • 過熱するマスコミ報道に踊らされないために
    新聞・テレビで伝えられるニュースは事実そのものではない──あたりまえ
    だと思っていても、その実態は想像をはるかに超えている

  • 読了:
    収納:棚M1

  • 私は基本的に、マスコミに対して批判的なのですが、これを読み、あまりの惨状に、思わず応援したくなりました。マスコミとは言え、我々と同じ人間であることには変わりないのですね。

  • 題名が一時流行った「○○する××、▽▽する□□」というパターンですが内容はいたって真面目です。メディアに現れる情報と現れない情報、そのカラクリを書いた本。

  • ライターという立場から、記者クラブ問題などマスコミが抱える問題点に言及している。

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著者プロフィール

1963年群馬県生まれ。KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。専門はITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。著書に『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』(以上、講談社現代新書)、『ブレインテックの衝撃 脳×テクノロジーの最前線』(祥伝社新書)、『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか』(中公新書ラクレ)など多数。

「2022年 『ゼロからわかる量子コンピュータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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