- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166603459
作品紹介・あらすじ
どう書けば歴史の「真実」を伝えることができるのか、そもそも歴史は科学か文学か、歴史家は現実政治に向き合うべきではないかなど、本書が問うのは歴史に取り組む人間の根本姿勢である。その観点から著者はヘロドトス、司馬遷、イブン・ハルドゥーン、ギボン、ブローデル、北畠親房、新井白石、内藤湖南など、古今東西の主要な歴史家を取り上げ、彼らが歴史をどう捉えたか詳細に跡づける。歴史学の意味と使命を考える、歴史を学ぶ人間必読の書。
感想・レビュー・書評
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情報化された今だからこそ、歴史の作法について学ぶことは重要である。歴史家には複雑な事件の連鎖を分かりやすく総合的に説ける資質と、生き生きとした叙述を通して、事件を物語の連関の中で表現できる能力が問われる。しかし、複雑な現代社会においてこれは歴史家ならずとも誰しも賢く生きるためには必要なことであろう。
「(中略)歴史はどの君主にとっても相談相手であり、歴史はどの相談相手にとっても主人なのである。また、どの宰相をも楽しませ、どの会話にも参加する相手となる。もし問いが発せられるなら、不思議な事物のなかでも驚くべき事柄を明示しながら、たちどころに適切な答えで応じる。その事柄とは、そこから有徳の心が休養を引き出し、賢者であれ大家であれ、スルタンであれ、完璧な魂が憧れるものなのだ」(シュアイリー「近代アラブ歴史学」)
過去の人間は賢かった。今まさに、歴史軽視の顕著たる我が国に聞かせてあげたい言葉だ。
現代の人には必要ないものなのかもしれない。しかし、ふと、暇なとき、なんでもないとき、振り返るというのは思慮浅い、昨今の現状になんと耳の痛い言葉だと思う。
(2009/5/25読了) -
文庫などで読める本をなるべく引用してあり良心的。福沢諭吉やトックヴィルなどに対する評価についても少し書いてある。