歴史の作法―人間・社会・国家 文春新書 (文春新書 345)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166603459

作品紹介・あらすじ

どう書けば歴史の「真実」を伝えることができるのか、そもそも歴史は科学か文学か、歴史家は現実政治に向き合うべきではないかなど、本書が問うのは歴史に取り組む人間の根本姿勢である。その観点から著者はヘロドトス、司馬遷、イブン・ハルドゥーン、ギボン、ブローデル、北畠親房、新井白石、内藤湖南など、古今東西の主要な歴史家を取り上げ、彼らが歴史をどう捉えたか詳細に跡づける。歴史学の意味と使命を考える、歴史を学ぶ人間必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 普遍的な真理を探求する哲学が盛んだったギリシャでは、歴史学は個別事実の収集にすぎないと低く見られ、発展しなかった。アリストテレスも、哲学、詩学を高いものとし、歴史学を低く見た。古代中国でも同じ。

  • [ 内容 ]
    どう書けば歴史の「真実」を伝えることができるのか、そもそも歴史は科学か文学か、歴史家は現実政治に向き合うべきではないかなど、本書が問うのは歴史に取り組む人間の根本姿勢である。
    その観点から著者はヘロドトス、司馬遷、イブン・ハルドゥーン、ギボン、ブローデル、北畠親房、新井白石、内藤湖南など、古今東西の主要な歴史家を取り上げ、彼らが歴史をどう捉えたか詳細に跡づける。
    歴史学の意味と使命を考える、歴史を学ぶ人間必読の書。

    [ 目次 ]
    序章 こだわりと疑念―なぜ歴史を考えるのか
    第1章 天道、是か非か―歴史のメッセージ
    第2章 ヒストリーとストーリー―科学と文学の間
    第3章 危機における歴史―歴史家の使命
    第4章 広がる歴史―文明の接触と衝突
    第5章 世界史と日本史の出会い―構造の転換
    終章 リアリズムと理想主義―現代歴史学の志

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    [ 参考となる書評 ]

  • 情報化された今だからこそ、歴史の作法について学ぶことは重要である。歴史家には複雑な事件の連鎖を分かりやすく総合的に説ける資質と、生き生きとした叙述を通して、事件を物語の連関の中で表現できる能力が問われる。しかし、複雑な現代社会においてこれは歴史家ならずとも誰しも賢く生きるためには必要なことであろう。

    「(中略)歴史はどの君主にとっても相談相手であり、歴史はどの相談相手にとっても主人なのである。また、どの宰相をも楽しませ、どの会話にも参加する相手となる。もし問いが発せられるなら、不思議な事物のなかでも驚くべき事柄を明示しながら、たちどころに適切な答えで応じる。その事柄とは、そこから有徳の心が休養を引き出し、賢者であれ大家であれ、スルタンであれ、完璧な魂が憧れるものなのだ」(シュアイリー「近代アラブ歴史学」)


    過去の人間は賢かった。今まさに、歴史軽視の顕著たる我が国に聞かせてあげたい言葉だ。

    現代の人には必要ないものなのかもしれない。しかし、ふと、暇なとき、なんでもないとき、振り返るというのは思慮浅い、昨今の現状になんと耳の痛い言葉だと思う。


    (2009/5/25読了)

  • 文庫などで読める本をなるべく引用してあり良心的。福沢諭吉やトックヴィルなどに対する評価についても少し書いてある。

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著者プロフィール

一九四七(昭和二二)年札幌に生まれる。
現在、東京大学大学院総合文化研究科教授、学術博士。中東調査会理事。
最新著書として、『岩波イスラーム辞典』(共編著、岩波書店)、『歴史の作法』(文春新書)、『帝国と国民』(岩波書店)、『歴史のなかのイラク戦争』(NTT出版)など。

「2004年 『イラク戦争データブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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