「唱歌」という奇跡 十二の物語 讃美歌と近代化の間で (文春新書)

  • 文藝春秋 (2003年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784166603466

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  • 明治から大正の時期に12の唱歌が生まれた背景の謎を解いていく興味深い本です。明治初めのキリスト教の導入と讃美歌が大きな影響があることは当たり前のことながら、国づくり目的で天皇、父母、師、故郷などへの尊敬・愛着を根付かせるために国・社会が利用したことを痛感します。だからこそ唯一東洋で西洋音楽が定着した例外の国たり得たのでしょう。「海ゆかば」が2つあり、私たちが知っている曲とは別の1つが「軍艦マーチ」に転用され残っている、「君が代」も実は2つあったものが、今の曲だけが残った。「1月1日」は太陽暦導入がキリスト教暦として反発された時代に進められた、「シャボン玉」が讃美歌「主われを愛す」に酷似している理由等々。裏話は楽しい物知りネタ本になります。明治初期には「葬儀は神官僧侶がする」との政府通達があり、キリスト教式の葬式をすると拘留されるなど、今では考えられないことです。この他、「むすんでひらいて」「蛍の光」「蝶々」「数え歌」「さくら」「法の御山」「故郷」「真白き富士の根」なども興味深々でした。

  • [ 内容 ]
    キリスト教に基づく近代教育は圧倒的な力でアジア太平洋地域を席捲した。
    各地の歌謡も讃美歌を歌うことで近代化、西洋化された。
    それは逆にいえば、長い伝統をもつ、それぞれの地域の歌舞、詩歌が根絶やしにされるということでもあった。
    その中で唯一、讃美歌を換骨奪胎して生まれた“ミラクル”が、日本の「唱歌」だった…。
    「むすんでひらいて」「蛍の光」「蝶々」「さくらさくら」など、十二の愛唱歌に秘められた歴史のミステリー。

    [ 目次 ]
    1 「むすんでひらいて」
    2 「蛍の光」
    3 「蝶々」
    4 「数え歌」
    5 「海ゆかば」
    6 「君が代」
    7 「さくらさくら」
    8 「法の御山」
    9 「一月一日」
    10 「故郷」
    11 「真白き富士の根」
    12 「シャボン玉」

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    [ 参考となる書評 ]

  • 讃美歌と唱歌の意外な背景と秘密が隠されていた!

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著者プロフィール

1948年山口県生まれ。1974年国立音楽大学大学院修士課程修了。2001年より奈良教育大学教育学部教授。2013年定年退職し現在奈良教育大学名誉教授。専門は、19~20世紀の環太平洋地域の音楽文化の変遷について。2001年放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、2005年社団法人日本童謡協会日本童謡賞・特別賞を受賞。主な著書に、『バイエルの謎 日本文化になったピアノ教則本』(音楽之友社、2012年)、『『バイエル』原典探訪 知られざる自筆譜・初版譜の諸相』(音楽之友社、2016年)などがある。

「2021年 『バイエルの刊行台帳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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