桜の文学史 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2004年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784166603633

みんなの感想まとめ

日本の文学における「桜」の表現の変遷とその深い意味を探る本書は、古代から現代に至るまでの多様な桜に関する作品を紹介しています。著者は、桜が日本人の美意識や感受性にどのように影響を与えてきたかを詳細に分...

感想・レビュー・書評

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  • 様々な作品を挙げながら、日本の桜観とはどのようなものだったかを述べている。
    のだけど、割と品種の話が多くて、もっとどんな風に描かれてきたかの方の体系的な話が読めたら良かったな、と。
    やや流し読み。
    ただ、取り上げられている作品は豊富で魅力的なので、参考文献に惹きつけられる。

  • 上代から現代まで多くの文学作品と、桜への深い造形に裏打ちされた労作。ただそこに示された筆者の感想は特に新鮮な刺激を与えてくれるものではなかったので、☆4つで。

  • 日本の文学表現に連綿とつづく「桜」に対するさまざまな想いがこの本に綴られ、日本人の桜に対する美意識の変遷の歴史が一覧できる。
    なぜ日本人は、特に「桜」に思い入れがあるのか。その表現がどのように変化してきたのか。この本の詳細で多岐にわたる引用によって、日本人が桜によって豊かな感受性を育んできたことがわかり、そして、現代の私たちの桜への想いは、先人から大切に受け継がれてきたということが、理解できる。

    記紀時代から現代文学までの日本文学史上、実に多様な桜についての表現が出てくるので、読者それぞれが自分の好きな表現を自由に選ぶことも可能だ。
    私が好きなのは「夕桜 家ある人は とくかえる」という一茶の俳句。江戸の桜の名所で多くの人が花見に訪れるが、夕暮れとともに人々は家路に急ぎ人影がひいていく情景を見て、十五歳で故郷の信濃を離れて長く江戸に住む一茶が、故郷を思う自分の孤独感と重ねあわせた表現が心に残る。

    なお、著者の年齢などの制約から、現代文学といっても渡辺淳一あたりまでしか追えていないのは残念。
    最近ならば文学作品だけでなく、ポップスにおいて、桜を題材にした歌をたくさん聞くことができる。男性によるものならコブクロの「桜」などがあるし、女性シンガーならば渡辺美里の「さくらの花の咲くころに」が私は好き(年代がバレますな)。(でも私が個人的に一番好きなのは、実は「夜桜お七」(歌:坂本冬美 作詞:林あまり)だったりするが・・)
    文学史から発展して、ポップスの歌詞にある桜観を追うのも面白いかもしれない。
    (2010/3/22)

  • 「わたしたちのさくらは、繰り返し繰り返し、日本文学の続く限り、その作中に咲き続けることであろう…」
    古事記から現代の渡辺淳一まで、桜がどのように文学上のモチーフを形づくってきたか…継承され変容した豊穣な桜の文学史をたどります。

    お花見する目線が少しでも肥えればいいなと思い読みました。毎年「きれい!」って何回も言ってるけど、いろんな表現の知識があれば、またその美しさも一層深いところで知覚できるかなと。
    読了して、文学的な引き出しは増えたけど、恥ずかしながら読んだことのないもの・存在さえ知らなかったものが多すぎて…まずは紹介されていた歌・小説を読んでみないとね。来年の桜の時期までに何冊か消化しよう。

    面白かったのは、さくらは不思議に過去をおもいおこさせる、ということをよく表している堀内幸枝の詩「桜の散る頃」が、A.E.Housmanというひとの桜の詩を彷彿とさせること。
    国が違えば桜の種類も咲く環境も違うだろうけれど、短い命や過ぎ去った時間、みたいな詩的な映像の材料として愛される花であるのは、海外でも一緒なのかしら。

  • [ 内容 ]
    桜と深いかかわりを持つ日本文化。
    桜がどのように文学上のテーマ、モチーフを形づくってきたかを、古事記や日本書紀、万葉集から現代の渡辺淳一まで丹念にたどりながら、日本人の心や文化に、梅や菊とも異なる、大きな影響を与えるに至った経緯を解き明かす。
    紫式部、西行、世阿弥、豊臣秀吉、松尾芭蕉、本居宣長、与謝野晶子、ハーン、萩原朔太郎、そして梶井基次郎をへて、谷崎潤一郎、水上勉、中村真一郎らへと継承され、変容した豊饒な桜の文学絵巻。

    [ 目次 ]
    さくら讃歌-序にかえて
    古代に咲く=飛鳥・奈良時代
    王朝絵巻のさくら=平安時代(前)
    薄明に咲く=平安時代(後)
    さくら美の完成者たち=鎌倉時代
    さくらのドラマツルギー=室町時代
    聖から俗へ=桃山時代
    新しいさくら文化の開花=江戸時代
    文明開化とさくら=明治時代
    さくらの歌びとたち=大正時代〔ほか〕

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著者プロフィール

日本近代文学研究者、文芸評論家
昭和五年(一九三〇)─平成二十六年(二〇一四)。東京生まれ。栃木県宇都宮市出身。明治大学専門部文芸科卒業。栃木県公立高等学校教諭、昭和女子大学短期学部助教授を経て、文筆に専念。長く明治大学文学部兼任講師も務めた。若き日に詩誌「地球」同人。元文藝家協会会員。日本近現代詩を中心に、堀辰雄、中村真一郎、三島由紀夫、高橋和巳ら作家についても研究。また、桜の文学史・文化史(『桜の文学史』文春新書など)をはじめ、時代小説、東京学、刀剣などに関する評論多数。

「2015年 『詩の読み方 小川和佑近現代詩史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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