東アジア「反日」トライアングル (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
3.28
  • (6)
  • (10)
  • (35)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 132
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166604678

作品紹介・あらすじ

中華思想の本家・中国。小中華の韓国。遊撃隊国家の北朝鮮。彼らの「国是」である反日の起源をたどり、各国の主張を実証的に説得力をもって論破。東アジアに共生共存の可能性をさぐる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中国、韓国、北朝鮮の反日思想、各国家の歴史的背景、史実の研究論争など。現代における、反日感情がどうして起こるのか?分からないことが多い。歴史、特に先の大戦での日本の行為を批判することが多いように思う。大国により作られた史実により攻撃される日本に進むべき道はないのか?考えさせられる。過去からの歴史的論争に頼らざるをえない東アジア諸国は、自国の独自の発展をするべく努力することが必要なのではないか?
    付論として、1,2がるが、これはゴシップ的な読み物として
    とても面白かった。こちらのほうをよく読んでしまった。

    175
    靖国問題の解決アプローチ
    1 東アジアとの霊魂感の相違を明らかにすること
    2 戦争犯罪、戦争責任の解釈
    3 祈祷施設の再考、見直し問題。これは分祀合祀等の問題もはらんでいる。

  • 中・韓・北の国が「近代」「中世」にあるとして
    日本は大国として三国に接するようにすべし、とか。
    3カ国は日本に対して道徳的優位性をもっており、それ自体が日本
    に対する差別観につながっているとする。一見すれば偏見にあふれて
    いる気がするが、6年も在籍していた人なので真偽不明。

  • 中国、朝鮮における近代化、国家の正当性、中華思想、宗族主義、などなど非常に腑に落ちる話が展開されていて納得納得。

  • 韓国も中国(共産党政権)も日本軍に勝利して独立した国家ではない。「要するに正面から戦っていないので、自分たちで自分自身を解放できていない。」
    よって、その正当性を問ふ為に、問はれるたびに、反日騒動(歴史、領土問題)を起こす。
    本書は、日本人としてその因果、歴史を理解し、国家理性を確立して立ち向かふ事を訴へてゐる。
    「靖国神社に中韓の売国奴の合祀を」との提案も興味深い。

  • [ 内容 ]
    中華思想の本家・中国。
    小中華の韓国。
    遊撃隊国家の北朝鮮。
    彼らの「国是」である反日の起源をたどり、各国の主張を実証的に説得力をもって論破。東アジアに共生共存の可能性をさぐる。

    [ 目次 ]
    第1章 侮日の伝統
    第2章 終わりなき「反日」
    第3章 東アジアの近代の超克
    第4章 東アジアの「過去からの攻撃」
    第5章 永遠の東アジア歴史論争
    第6章 北朝鮮―カルト国家の起源と実態
    付論1 シャーマン化する「在日」文化人
    付論2 靖国神社と東アジアの霊魂観

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • あくまでも、客観的に冷静に東アジアの3国を斬った本。
    日本を含む各国の中華思想や北朝鮮の政権の正統性など内容も興味深いものだった。あと、筆者の語彙の多様さや文章の上手さにも惹かれた。

  • 面白いし、ちゃんとした研究本なんですが。個人的には韓国の反日なんて深い戦略もない恒例行事みたいなもんなんで、さして問題視することもないのではないかと思うのですが。

  • 著者は、韓国で日本語教師を務められていた。現在は筑波大学教授を勤められている方である。靖国神社と東アジアの霊魂觀は、筆者にとってよく理解できた説明であった。韓国の宗族(そうぞく)、同一性を信じる一族、始祖との血縁的なつながりがある一族、の「排他性」によって他の宗族の墓まで暴くという霊魂觀が、韓国に根付いている。この霊魂觀に、近代国民国家の持つナショナリズムが、反日として結びつき、根拠なき異常なまでの反日觀が生まれているとする。確かに中国は中華思想と著者によると「宗族」の排他的霊魂觀によって、かつて親日であった英雄の墓まで暴いて、骨を焼き払うなどという暴虐、蛮行が平然と行われるのである。■著者は、神道の「祓い」の観点から、靖国をみる。仏教もこの「祓い」の影響があるとする。例えば親鸞の「悪人正機説」。南無阿弥陀仏と唱えれば、どんな罪業も消える。「祓い」は日本のメンタリティーの非常に深いところで成立していいる。親鸞はこの後、修行の甲斐がないことに気が付き?、修行した者の極楽としていない者の極楽と「天国」を二つに分けた。■北朝鮮にある金日成の独裁は、かつての日本の「国体」思想の共産的非近代の焼き直しであるとする。韓国の社会の70年から80年代そして90年代の日本、あるいは日本人の捉え方が大きく変わってきたことが「実証」的、在韓経験から、習俗的な根っこのある言辞として述べられる。それゆえだろうが、説得力のある「思想」が展開される。韓国のナショナリズムは国家のそれから、民族のナショナリズムにへと移行し、反米へとその力点を変えている。このナショナリズムの下締めは、「道徳志向性」にある。道徳志向性は道徳性のことなどではなく、自らがのっけから道徳優位性に在ると宣言し、他者が非道徳であることを強制し、封じ込めようとする戦術のことを言う。■中国、韓国のナショナリズムのあり方とその批判を旨としている著者である。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1953年、横浜市生まれ。慶應義塾大学文学部史学科東洋史学専攻卒業、慶應義塾大学大学院文学研究科東洋史専攻修士課程修了。ソウル大学大学院国語教育科に留学。博士(法学)。韓国の延世大学・漢陽大学の日本語講師、下関市立大学経済学部専任講師、筑波大学社会科学系助教授を経て、2000年から筑波大学社会科学系教授を務め、2019年に退官。2003年から2005年には第1回日韓歴史共同研究委員会委員、2007年から2010年にも第2回日韓歴史共同研究委員会委員幹事を務めた。東洋政治思想史や東アジア文化論、韓国社会論、北朝鮮政治を専門にしながらも、西洋の哲学・思想をその独自の視座から読み解く著作も発表。著書に『悲しみに笑う韓国人』(ちくま文庫)、『東アジアの思想風景』(岩波書店。1999年度、サントリー学芸賞)、『東アジア・イデオロギーを超えて』(新書館。2004年度、読売・吉野作造賞)、『ヨーロッパ思想を読み解く』(ちくま新書)、『使える哲学』(ディスカバー・トゥエンティワン)ほか多数。

「2020年 『旧約聖書の政治史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

古田博司の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×