週刊誌風雲録 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2006年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784166604869

みんなの感想まとめ

戦後の週刊誌の歴史と文壇ジャーナリズムとの関係を深く掘り下げた作品は、読む者に強い感情を呼び起こします。特に、週刊誌の草創期からの変遷を辿ることで、メディアの影響力や社会的な役割を再認識させられる内容...

感想・レビュー・書評

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  •  1933年生まれの超ベテラン・フリーライターが、自らが肌で知る週刊誌の歴史を活写するノンフィクションである。
     先日読んだ大下英治著『トップ屋魂』の類書だが、『トップ屋魂』よりもさらに古い時代を扱っている。本書でおもに描かれるのは、戦後間もない昭和20年代から30年代にかけての週刊誌黎明期なのだ。昭和40年代以降のことについては、サラリと触れる程度。

     黎明期の編集者やライターたちが、何もないところから暗中模索して現在の週刊誌ジャーナリズムのスタイルを築くまでの道筋を、印象的なエピソードの積み重ねでたどっている。
     中心となるのは、著者が深く親交を結び、私淑した2人の大物――草柳大蔵と梶山季之の思い出。いまでは草柳は評論家として、梶山は小説家として知られているだろうが、2人はかつて、週刊誌草創期を代表する腕利きライターであった。

     本書は、草柳と梶山の2人を主人公としたドラマのようでもある。ダンディで切れ者の草柳、シャイで人情家の梶山――タイプとしては対照的だが、ともにライターとしての能力は圧倒的で、余人の追随を許さぬスタイルを作り上げていた。そんな2人の人間像それ自体が、じつに魅力的だ。

     そして、2人に伍するほど大きな存在感をもって本書に登場するのが、『週刊新潮』の“陰の編集長”とも呼ばれた斎藤十一である。
     出版社系週刊誌の草分け・『週刊新潮』を成功させた斎藤は、辣腕編集者ではあったが冷酷な一面をもっていた。著者は本書で、その辣腕ぶりと冷酷さの両方を活写している。

     その他、戦後間もなく『週刊朝日』を100万部雑誌に押し上げた当時の編集長・扇谷正造の奮闘、『女性自身』の登場など、「週刊誌の戦後史」の節目節目が、エピソードから浮き彫りにされていく。

     著者は「エピローグ」で、スクープ合戦に血道を上げるばかりで洒落っ気を失った昨今の週刊誌に、苦言を呈する。

    《そのころ(昭和40年代半ば/引用者補足)から、私は、週刊誌は変わったなと思いはじめた。(中略)
     スクープ第一主義は立派な編集方針である。が、それが習性になると、準々スクープの類を大スクープのごとくに謳い上げる。勢い、声が大きくなる。ひとひねりしたタイトルより、そのほうが読者に与えるインパクトが強い。戦国時代に勝ち残るには、これが最強最善の策とわかれば、いよいよ声を大きくせざるを得ない。》

     なりふりかまわぬスクープ合戦の果てに、起きるべくして起きたのが、先日の『週刊新潮』「赤報隊」実行犯手記捏造事件(『週刊新潮』は誤報を認めたあとも「騙された」被害者ヅラを決め込んでいるが)である。「準々スクープ」どころか、スクープでさえないただのウソを大スクープと称して売る――週刊誌ジャーナリズムの「極北」といえよう。
     本書に描かれているのは、そんなふうに荒廃する前の、週刊誌ジャーナリズムの古き佳き「牧歌時代」である。

     『週刊誌風雲録』のタイトルにふさわしい面白さ、中身の濃さで、資料的価値も高い一冊。週刊誌ジャーナリズムに関心のある人、とくにライターと編集者は必読だ。

     ライター時代の草柳大蔵が、「草柳グループ」の若手に説いていたという「ライター心得」を引く。

    《ライターは、いい仕事をしても、切られるときは切られる。そのとき、蓄えがないと、つい、どんな仕事にも飛びついてしまう。いちど、そこにはまったら、なかなか脱け出せない。だから、最低三ヵ月は食えるだけの蓄えをしておかなければならない。三ヵ月の余裕があれば、仕事を選ぶことができる。》

  • 新書文庫

  • 2006年1月20日、初、並、帯無
    2015年4月6日、伊勢BF

  • 戦後の週刊誌の草創期からの変遷がよく判り、文壇ジャーナリズムとのかかわりについても面白く読んだ。女性自身の皇室記事には何の思想的背景もないのだということもよく判る。当たり前だが。

  • 出版人たちのドラマ。
    なかなかどうして要所要所でひきつけられるネタが入り込んでいて飽きさせない。
    ゴシップだけでない「週刊誌」という媒体の面白さを知れる本。

  • 週刊誌の黄金時代70年代を体験した著者の短いながらの回顧録。
    古本好きなら知っている「梶山季之」やノンフィクションの「草柳大蔵」
    など知っている名前も出てきて面白く読めた。
    できるなら、その後も読んでみたい

  • [ 内容 ]
    新聞社系の独壇場だった週刊誌に昭和三十年代以降、出版各社が参入する。
    そこは梶山季之や草柳大蔵など若きライター・編集者たちの梁山泊だった…雑誌の戦後史を体験を基に活写する。

    [ 目次 ]
    プロローグ
    第1章 ザラ紙・ヤミ紙からの出発
    第2章 「週刊朝日」の時代
    第3章 「週刊新潮」の登場
    第4章 開花したストリート・ジャーナル
    第5章 ブームの幕開け
    第6章 戦国時代の到来
    第7章 ビジュアル誌の先駆け
    エピローグ

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 途中だが面白い。

  • 週刊誌の歴史を書いた本。「週刊朝日」などの新聞社時代、「週刊新潮」創刊、そして各出版社の創刊ラッシュということで、昭和30年代後半くらいまでの話。出てくる人が全然知らん人なのに、絶えず面白いエピソードをちりばめるテンポのいい文章がひたすら読ませる。こういう文章書けたらいいなあと思った。

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