麻原彰晃の誕生 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2006年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166604920

感想・レビュー・書評

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  • 麻原彰晃の誕生

    時間軸や麻原や関係者の発言。
    その発言がなされた理由や証言がしっかりしている。著者の「主観」があまりなく
    取材協力者の「視点」が重なりジグソーパズルのように「麻原彰晃」「オウム」の実態が浮かび上がってくる。


    物質によりすぎた80年代後期の日本の「シャード」としての麻原彰晃の誕生。

    どういう時代の空気が麻原彰晃を産み出し繁栄させたのか。

    捨てられた子と自称する麻原彰晃と生きる理由をなくした人間の
    「救われたい」と言う気持ちが生んだ世紀末の「フォリアドゥ」なのないかと感じる一冊。

  • 麻原彰晃の生い立ちが詳細な聞き込みや調査に基づいて書かれている。
    麻原本来の姿が見えてくるようだった。

    ただタイトル通り麻原の生い立ちにポイントを絞っているので、テロを決意する所についての記述は少し薄いようにも思う。テロ前後についての麻原についてももう少し知りたかった。テロを実行したことで麻原彰晃という人物が完全に完成されたようにも思うから。

    加えてどう考えても無謀なテロに身を投じたのも、よく分からなかった。幾ら麻原が攻撃性を孕んでいても、教団を終わらせてしまうようなテロは起こさないと思うのだが。

    本書内で麻原は矛盾を孕んだ人物と記述されているが、教団の教えについてどう思っていたのだろうか。心から信じていたのだろうか。

    元来の性質かはわからないが、他者に対する心が欠けている。しかしそれ以外の要素は大なり小なり皆持ち合わせていると思う。自分に当てはまる様な記述も多かった。

  • ちょっと間違っているかもしれないが、「Breaking Bad」だなあ、と思った。麻原彰晃も全くのインチキだったわけでなく、ある程度の能力も持っていたけれど、生来の性格と生い立ちがその道を歪めてしまったのだと思う。
    特にこの本の前半部分の話を読んでいると、自分が同じ時代に生きていたとして、オウムに入らなかったとは言い切れない。あの事件以後、完全に日本は新宗教アレルギーになってしまったけれど、新宗教ブームだった当時ならなおさらだな、と。
    しかしダンテス・ダイジの話は一切出てこないのも不思議だな。

  • オウム事件は、私自身少年期に報道され広報担当の方が連日TVに出演され、また幹部の方がTV放送中に刺されたりして、衝撃を受けたことを覚えています。当時教祖の風貌を見て、私の感覚では異様としか言いようも無かったのですが、医師を始め高学歴の取り巻きがいる事に驚きを感じました。その教祖の成り立ちに興味を持ち本書を取ったのですが、幼少期の境遇は不幸なところもあったように感じますが、その後は一時純粋な取り組みもあったようですが、利己的な狂気に満たされ、それに巻き込まれた人々の悲しみと理不尽さは、想像に耐えません。
    現時点ではご自身と取り巻きの方々は刑に処されていますが、だからこそ繰り返さないため、今これからと考える必要があるかと感じました。

  • 麻原の生い立ちがよく分かった
    麻原が捕まってから多くの人に取材をしているはずだから、彼を良く言う人は皆無だなって思いながら読んだ
    後半の話は面倒で飛ばしながら読んでしまった

  • 平成史に残る怪物、松本智津夫死刑囚の生い立ちから『麻原彰晃』が出来上がるまでを丹念に追ったルポ。
    『麻原彰晃』からしか見たことがなく、世の報道も多くはそこにしかスポットを当てていなかったので、とても興味深く読めました。
    内容も、批判・糾弾するのでもなく、正義感を振りかざすのでもなく、淡々と事実を情報として記述しているのがとても良かった。
    平成が終わるタイミングで、課題に一区切りをつけるべく死刑が執行された今、改めてあの事件・怪物を見つめ直すために手に取ってみることをお薦めします。

  • 思わず一気読みしてしまった

  • オウム以前の話は余り他では読めないのかな。船橋の頃のエピソードなどそれなりに興味深い。ヒヒイロカネの話は余分なような。

  • 松本智津夫死刑囚の幼少時代からの経緯を伝記的に描いたものであるが、
    自分が強く思わされたのは、
    「誰でも麻原彰晃になりうる可能性がある」ということである。

    松本智津夫は、親に捨てられ、盲学校に入れられたという不幸な過去を持ち、
    あたかもその心の空白を埋めるかのように、自分を高め他人を利用しようとする。

    智津夫にとって、幼いころから、社会は自分の敵であった。

    そんな智津夫と同じように狡猾で、他人を傷つけ、自分が悪いくせに、勝手に被害者意識を作り出して、自己保身に一生懸命で、自分の殻に閉じこもってしまい、さらに他人に嫌な思いをさせつづける人間というのはみなさんの周りにも一定の割合でいるかもしれない。

    はじめは、小さくてささやかであった「オウム神仙の会」も、「オウム真理教」になるにつれ何かの狂気に取り付かれたように「ハルマゲドン」の被害妄想を持ち始め、ついにはあのような事件に至ってしまったのである。

    「麻原も社会から排除された被害者である」ということはある程度は言えるかもしれないが、
    決して同情はしない。
    そして、決して同情などしてはいけない。

    しかし、麻原彰晃、オウムを求め、作り上げていったのは
    ほかならぬ、同じような心に空虚さを抱え、現実を超えた世界に救いを求めようとした信者でもあったのかもしれないし、社会でもあったのかもしれないし、時代であったのかもしれない。

  • オウムとはなんだったのか改めて振り返る第2弾

    麻原の生い立ちについての本
    「オウムは雑誌に広告を多く掲載することで、連載企画を持ち、信徒獲得に使用した。」んだってさ

  • 小説みたい(作者はノンフィクション作家)なので、読みやすい。
    タイトル「麻原彰晃の誕生」の通り、あの地下鉄サリン事件までは題材となっていません。地下鉄サリンとか、その他の殺人・殺人未遂事件をするに至るまで、という感じ。
    これ読む前に上祐氏の「オウムの教訓:上祐個人の総括」を読んでて、上祐さんの総括は時系列だし簡潔にまとまっていてとても分かりやすかったのだけど、ヴァジラヤーナ活動に入る以前の事に記述が無かったり(どこか他のページにあるかも)、あくまで視点が上祐さんの視点だったりで(上祐さん、頭良いから視点が中立的すぎて、読んでて疑問感じたりとか感情沸かないんだよなw)もっと根元の部分を知りたいなと思ってたので、ページ数も多くなく、新書なので表紙が仰々しくなく、とても自分の知りたいことに沿った本だったな。
    麻原が惹かれた「ヒヒイロカネ」という石、その石が私の故郷のひとつである岩手県釜石市で採れていたこと、それに関する研究がそこで個人的に行われており、オウム信者も麻原逮捕後もそこに石を採りに行ったという話に驚き。作者も実際行ったときのことを書いてるけど、なんだか少し虚しい感情が残る。
    結局途中までという点が-1。この人の文章でもうちょっと知りたかった。

  • やっぱ感覚が違う。人間らしい所も一瞬見える。

  •  最近やっと、心理的に、オウム真理教について冷静に考察しようとしている。本書には、麻原の幼年時代や盲学校時代のエピソードがわりと詳しく書かれている。あれだけの人物について、私は何も知ろうとしなかったことに驚いている。解脱をめぐる修行に関しては、天才的な心理的詐欺師であったであろう。解脱を求めて彼に群がった青年たちを笑うことができない。そして、政治や集団の権力を求めた彼らを、日本の国民はその根本において批判できないのではないか。本書の後半は、麻原の心理的な源泉や人間性の考察に充てられている。むしろ、麻原をめぐる人々の、実際の行動の記録の方が、彼らの矮小さや歪みを正しく伝えるのでは。そんな本を読む気力もわかないと思うのだが。

  • 麻原彰晃は幼少期から教団を持つに至るまで、どのような人生を歩んできたのか非常によく調べられています。特に麻原が盲学校に通っていた時期の記述は非常に興味深いものがあります。
    ただ、オウム真理教や麻原彰晃について勉強したいのであれば、他の本を読んだほうが良いでしょう。全体的に分析が底が浅いのが難点。

    文章は読みやすいですし、悪い本ではないと思います。

  • 麻原は多くの人にシャクティーパットを施したというが
    彼自身はそれによる解放を味わったことがあったのだろうか
    気持ちよかったのは信者だけで
    麻原本人は不感症だったんじゃないか
    あるいは、自分以外にきちんとした使い手がいなかったために
    なにがいいのか、本人だけがよくわかってなかったんじゃないか
    ということを少し考えた

  • 麻原彰晃の過去がわかる本。麻原がそれまでの自称超能力者と違っていたのは、それまでの人々がグッズ販売や能力を見せることのみに終始していたのに対し、麻原は、解脱への方向性を示し、自分と高みへ昇ろうと説いたところにあるらしい。それを説いた時代というのが、ある種、物質主義的価値観の頂点に達していた時で、それとは対極にある精神的な価値観を求めて浮遊している人々をひきつけた。麻原の狂気が、そうした世相のデリケートな部分に触れてしまったのだろうか。

  • 2008年の1冊目。余り語られることの無かった、松本智津夫から麻原彰晃ができあがるまでを描いた作品です。

  • 麻原の生い立ちに関して読みやすく描かれている。

  • 彼の最近の裁判に関するまとめを書いている際に、たまたま見つけて読んだ本だが、通勤中に読める長さで内容もしっかりと手抜きが無い。狂気もまた正常の発露、という後書きが特に印象深い。

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著者プロフィール

1958年、宮崎県高千穂町生まれ。法政大学文学部中退。2000年、『火花―北条民雄の生涯』(飛鳥新社、2000年)で、第22回講談社ノンフィクション賞、第31回大宅壮一ノンフィクション賞を同時受賞。著書に『水平記―松本治一郎と部落解放運動の100年』(新潮社、2005年)、『父を葬(おく)る』(幻戯書房、2009年)、『どん底―部落差別自作自演事件』(小学館、2012年)、『宿命の子―笹川一族の神話』(小学館、2014年)、『ふたり―皇后美智子と石牟礼道子』(講談社、2015年)など。

「2016年 『生き抜け、その日のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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