コメを選んだ日本の歴史 (文春新書 505)

著者 :
  • 文藝春秋
3.17
  • (1)
  • (4)
  • (11)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 65
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605057

作品紹介・あらすじ

イモ、雑穀、獣肉…。さまざまな食物のなかで、どうしてコメだけが聖なる地位を獲得できたのか。コメの魔力と味覚の虜になった日本人の思考と心性のあり方をひもとく。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 古代における米の日本への流入過程・拡散過程は、他に一層詳細分析の書があり、その方が良(纏まっている本書は悪くはない)。ただ、そもそも本書はの意図は網野史観の超克、すなわち米作農民以外に存する海民・山民を重視すべきという網野史観へのアンチテーゼにある。◆しかし、的外れか。◆網野史観の根本的疑問の一は、日本史(特に近世前期)において、なぜ米の生産高が軍役負担の基準、税負担の基準、さらに貨幣代用物と化したか。いくら他の生業の価値を述べようと、米が日本史上の担税の基礎単位であり続けた意味は何かという点だ。
    中世に重きを置く(専門だから)網野氏へのアンチテーゼとしては、期待外れである。①貨幣経済の進捗度合、②金銀の一国二通貨に近かった江戸時代における貨幣制度、③担税根拠(現代なら基本は金銭の流通過程の把握)に関する日本史的な変遷(特に中世の荘園公領制)、外国との比較などが欲しい。税徴収の基準は何かを考えないと、歴史的に米がその役割を果たしてきた意味は到底つかみえないはず。2006年刊行。著者は国士舘大学21世紀アジア学部教授。
    PS.消費量に関して、肉が魚介類を逆転したのが1988年(昭和63年)という指摘は余りにも意外であった。その他にも、新奇な情報としては幾つかあるので、そういうネタ拾いという意味では読んで役立つ面があるかも。

  • 縄文から弥生にかけて、日本人が稲作に出くわす過程が最も興味深かった。さて、食の形態は変われど、やはりコンビニの王様はおにぎり。カリフォルニア米騒動も何だったのか、高くても日本のブランド米が人気。コメはこの先も日本と共にある(少しあやしい)

  • 日本人とお米の関係を、歴史的・文化的切り口で紹介している書籍。全体の流れが把握しやすくて、非常に面白く読むことが出来た。

  • 「コメ」を主軸にした、先史から現代までの日本の通史。食糧として見たコメの歴史も面白いが、日本史的な視点でみると、コメには別の意味合いが見てとれる。近世まで続いた、コメ本位制ともいえる経済活動の主役として機能してきたのは日本だけだろうし、近代以降、つい最近の自由化までは、国家管理下にある主食だったわけで、これもまた世界でも類を見ない例だ。つまり、コメはいつの世も日本の文化・経済・政治の一翼を担ってきたといえるのだ。純粋な通史というものは飽きてしまいそうだが、本書のように、特定のテーマから歴史をみるのも、変化があって面白い。

  • [ 内容 ]
    イモ、雑穀、獣肉…。
    さまざまな食物のなかで、どうしてコメだけが聖なる地位を獲得できたのか。
    コメの魔力と味覚の虜になった日本人の思考と心性のあり方をひもとく。

    [ 目次 ]
    序章 コメの力と起源
    第1章 日本列島へ―縄文と弥生のコメ
    第2章 社会システムを変える―弥生の戦争とクニ
    第3章 統一国家を築く―古墳から古代国家へ
    第4章 社会の主役へ―中世の社会とコメ志向
    第5章 経済の根本を担う―石高制社会の成立と性格
    第6章 西洋的近代化のなかで―国家と食生活の基礎
    第7章 政治と文化の狭間で―コメ政策と食文化の変容

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 7/22

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

一九四九年・栃木県生。明治大学大学院博士課程中退。博士(史学)。現在国士舘大学21世紀アジア学部教授。著書『中世村落の景観と生活』(思文閣出版、一九九九)、『歴史のなかの米と肉』(平凡社、一九九三)、『食をうたう』(岩波書店、二〇〇八)他。

「2016年 『日本人はなぜ、五七五七七の歌を愛してきたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

原田信男の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×