臆病者のための株入門 (文春新書 514)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605149

作品紹介・あらすじ

ふつうの人でも、あらゆる株必勝法のインチキを見破り、カモられずにお金を増やせる方法がある!株をやらないつもりの人でも思わずやりたくなる、クールで知的な株入門。

感想・レビュー・書評

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  • この本は現在でも廃刊になっておらず現役だが、もう発行から15年も経っている(2021年現在)本のため、書かれている内容はさすがに時代を感じる。

    1円で誤発注されたジェイコムの株で20億円を超える利益を得たジェイコム男、ホリエモンのライブドア事件、デイトレ、平成の花咲爺、など懐かしい話が例に挙げられ、話が展開されているので、古いなぁと感じる。

    だが結論としては、下記の3つの投資法が導き出されており、これはしばらくの間は変わることがなさそうだ。

    1)トレーディング(デイトレードを含む)

    2)個別株長期投資(バフェット流)

    3)インデックス投資(科学的に最も正しい投資法)

    娯楽を求めるなら1番の方法、投資家を目指すなら2番の方法、仕事をしていて、余裕資金を運用しようとしているなら3番目の方法を選べばいい。


    この本の発行後、数々の投資入門書が出ているため、これから株式投資を始めようとしている人の1冊目としてはおすすめできないが、新書で読みやすく、また損をしてしまうようなことは書いていないので、2冊目以降に読んでみてもいいのではないかと思う。投資入門者には姉妹編の「臆病者のための億万長者入門」の方が幅広い内容で書かれているため、おすすめである。

    「黄金の羽」シリーズや、「臆病者のための億万長者入門」など橘玲の本を読んだことのある人であれば、ファン以外はいまさら読まなくても良い内容だと感じた。

  • お金についての不安。
    シングルであろうが、世帯持ちであろうが、若者であろうが、老人であろうが、この問題はついて回る。

    ましてはこんな世の中。
    政府は滅茶苦茶な政策ばかり、年金不安も拭えない、金融機関はお金に働いてもらいましょうとあおってくる、ネットを見るとFIREとかlierだかこれまた自分が遅れているような気になる。

    ではどうするかというと、やっぱり身近な本を読んでみて、考えてみて、時間があれば検証して、そして行動する(あとはPDCA)、これしかないと思います。

    そして、お金に関しては私は橘氏の洞察をかなり参考にしています。

    ・・・

    本作は、筆者による投資心構えと言ったテイストの内容です。
    ただ、世のビジネス書と違い大いにシニカルさを(そして一部には落胆さえ)もたらす結論となっています。

    その要旨と言えば、
    1. 投資はゼロサムゲーム(負ける額と勝った額は同値)
    2. 値動きは予測できない。他人の投票を予測しながら投票する。
    3. 結論として株式インデックスファンド一択。
    ということです。

    この中でいわゆるファンダメンタル分析の有効性、テクニカル派の言い分、CAPMとかベータなどの株式分析の話、デイ・トレーダーの没落、ウォーレン・バフェット氏の投資方針、金融機関(ファンドマネジャーの劣位、金融機関の欺瞞)等々が語られます。

    私はこれまで金融機関で15年くらい業務に従事していましたが、氏の意見には概ね同意できます。自助努力と世間は言うのですが、良い顔をして寄ってくる金融機関と話す前に自己勉強が必要だと思います。

    一つなんともゆかしいのは筆者は最後に個別銘柄への投資を否定しているわけではない点でしょうか。投資はギャンブル性(筆者的にはギャンブル)があり、その楽しみを否定していない、換言すれば人の非合理的な部分はそれはそれで取り除かれるべきではない(残しておかれるべき)と主張しているように思えました。

    ということで、10数年ぶりに読みましたが、再読しても面白かったです。私なぞはつましい(貧しい)老後が見えているのですが、わずかな手持ちで最適な準備をしたいと思いました。

    投資の準備をしたい人。投資をもっと勉強したい人。金融機関に興味がある方、関係がある方等々に参考になる本だと思います。

  • 橘玲さんの著書。
    資産運用をお金を増やす手段ではなく、将来の予期せぬ経済的な変動(主に損失)から自分や家族の生活を守る手段としてみた場合に行うべき行動と避けるべき行動をまとめた一冊。

    序盤は資産運用を始める前に知っておきたい知識として、貯蓄だけで億万長者になる方法・年金問題を最も簡単に解決する方法が説明されている。つまり、この2つについてはわざわざリスクある資産運用をせずとも達成できるので、資産運用をしないという手段もあるということを言っている。
    中盤は株式投資・為替(FX)・不動産投資についての仕組みと損をしたくない人に向けた投資戦略が書かれている。これにはマイホームについても書かれ、いかにマイホームがリスクが高い買い物かが書かれている。
    終盤はこれからの日本の未来についての経済的な不安とその不安にどう対処するかが書かれている。

    本書が特出しているのは、如何にして資産を増やすかではなく、資産を守るかに重点をおいていることにある。本書は購入者が知らず知らずのうちに損をする可能性が高い投資商品を網羅的に解説しているので、本書を読むことで買うだけで損をする罠を避けることができるようになる。
    お金を守る力を育てたい人は一読してみることをおすすめする。

    ただ、読んでいると著者の皮肉めいた表現が不快に思う人がいるかもしれないのでそこをご容赦願いたい。たとえば、本書のあとがきのタイトルは「金融リテラシーの不自由な人に感謝を」である。このように少々表現が過激なところがあるが、内容は勉強になるものが揃っている。

    本書のキーフレーズ
    資産運用は金儲けの手段ではなく、人生における経済的なリスクを管理するためにある。

  • 鴨となりネギを背負って市場に突入してはや20年。
    ものの見事に株式市場の美味しい出汁となり、落ちるナイフを全力で掴んでしまうわ、硬度10のダイヤモンドで出来た天井で買ってしまうわ、料理人としてではなく常に食材になっている私がこのコロナ禍を気に初心に帰ろうと言う思いで読み上げました。
    まあ、当たり前なんですが長年食材役をやってる身としてはほぼ知ってた内容ではありまして、改めて自身を反省する教材としては非常に読み易く、また分かり易く、是非今から真剣に株でも買って、札束風呂におねーちゃん2人を連れて入浴しようと意気揚々としている方には是非読んで現実には札束風呂は無い事を理解して下さい。

    銀行さん、証券会社さんらの甘言には騙されず、きっちりこの本に書かれているような基本を守って運用すれば、電車を止めるような事は無いと思います。
    何せ、お金持ちさんが利用するプライベートバンクでのスペシャル運用が、日経平均のようなインデックス投資に負けているのですから。

  • デイトレ、長期優良株投資、インデックス投資についてバランス良く意見が述べられている。

    この通りにするのがリスクとリターンを考えたときに効率的ということはよくわかる。

    ただ最後のあとがきで著者も書いてる通り、じゃあ自分がそうしているかと言うとしていないらしい。それは人には正しくないことをする自由があるからだ、と。

    まさにこれだなー、と思った。

    正しいことは頭ではわかってる。
    でもいろんな誘惑や情報に踊らされて極端な投資をしてしまう。その度にこの基本に立ち返ってやっぱり王道が一番と思う。でまてしばらくしたら余計なことに手を出したくなる…この繰り返し。

    この本は手元に置いておいて定期的に読み直そうと思った。

  • どこまでも合理的で正しい投資手法が書かれていて大変勉強になった。

    読み終わってほぼ全員が思うこと。

    「私自身はこのような「合理的な投資法」は実践していない。ひとには、正しくないことをする自由もあるからだ」

    お前はやっておらんのかい!

    教えてくれて感謝。

  • 竹田和兵さんという存在をこの本で初めてしりました。

  • 投資はゼロサムゲーム。
    勝つ人の裏には負ける人がいる。個人投資家は、多くが負ける。
    手数料を稼ぐ証券会社は、必ず得をする。
    手数料安く、長期で運用するように。

  • 株投資はインデックス投資をせよ。この一文に要約できてしまうというある意味恐ろしい新書。
    知識をえるという意味では有用。個別株の投資方を勉強したいひとはさようなら。
    ターゲットを選びます。

  • 後に小説家となられる著者だけあって小説を読むように楽しめましたかね…ただ、時々株のこと何も知らない身にとってはわけわからん用語が出てくるのが困りましたが…それ以外は割かし読みやすかったかと思います…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    これ一冊では何とも心許ないところですけれどもアレですね、株の世界って儲けている人・損している人両者で成り立っているんだなー…というのが何となく想像できましたかね。得する人の陰で多くの人が涙を飲んでいる…

    ↑そんな光景が垣間見えた本でした。おしまい…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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