ネット時代の反論術 (文春新書 531)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605316

作品紹介・あらすじ

近年、話が通じない人が異常増殖中。そんな現状に歯がゆい思いをしているあなたに、この一冊を。「反論するなら目的意識を持て」等、論戦必勝のコツを伝授します。

感想・レビュー・書評

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  • そもそも「学校」というものに縁遠く、哲学については素養のない自分にとっては、社会学・哲学系人物のネット上での言動は不可解なことが多いのだが、様式美すら感じる彼らの発言の意図がなんとなく理解できた気がする。
    38ページ、矛盾を指し示めすことについて「限界づける」と表現している箇所は自分にしっくりきた。

    若い頃を振り返って「もう少し言葉の力なるものを信頼していた」というのがなんとなく寂しそうに感じてしかたがない。

  • 自己啓発
    思索

  • 【簡易目次】
    目次 [003ー008]
    始めに [009ー011]

    第1章 反論するなら目的意識を持て 013

    第2章 見せかけの論争 059

    第3章 論理詰めのパターン 099

    第4章 人格攻撃するケース 149

    第5章 土俵が違う場合にどうすればよいか 197

    終わりに(二〇〇六年八月十六日 盆休み中の金沢大学角間キャンパスにて) [214ー216]

  •  多くの思想関係の著書を持つ仲正氏の本音が覗ける。「相当あちこちで叩かれてるんだろうなぁ」という印象。論客である以上多くの反論があるのは当然なのだが、その相手は議論の作法を弁えている人間とは限らない。そういう人は相手にしなければいいのだろうが、名の知れた知識人ではそうもいかないだろう。こうした事態への対処法も人によっていろいろ。仲正氏の対処ポリシーの一端が本書において理解できる。

     口語の論調も相まって強い皮肉が感じられる。著者の経験談を読むとそうなってしまうのも理解できなくはないが少々感じが悪い。他の著書の内容の印象がよいこともそれに拍車を掛けている。とはいえ、やはり百戦錬磨の論客。議論の技術は熱心にレクチャーしてくれている。「絶対負けない」とはいかないが、提示されている方法を実践したり意識したりすれば、非常に有効かつ具体的な論争のノウハウは身につくだろう。

     思想は人それぞれ。その一つ一つを相手に対して理解してもらうように説明する方法も「人それぞれ」と言いたいところだが、そこには最低限万人共通のルールはあるように思う。それは誰が決めるということではなく、慣習的に「こうするのがよい」というものである。「相手に不快感を与えたって構わない」と言わんばかりの議論をする人間もいるが、それで「相手を説得する」という結果に結びつくはずもない。それともそうした人達は「相手の納得」を望んでいるのではなく、相手を脅迫じみた言論でねじ伏せるということが目的なのだろうか。そういう人は身近にもいるし、テレビなどを見ていても時々目につく。仮にその人の言っていることに一理あったとしても、多くの人達は「従いたい」という気持にはなれないのではないか。「一理あるのに従わないのは論理的ではない」という人も時々見かける。おそらく、そうした人達が相手に求めているのは「理解」ではなく「屈服」なのだろう。

     議論というものは物事を少しでも良い方向に持って行こうとする人間にとって必要不可欠の行為である。結果がどのようになっても、最後は「気持ちいい」状況で完結したい。そうでなければ、議論というものを行う人間がますます減ってしまうように思う。「意見交換は我々がやるから君達は黙っているのがよろしい」と考えている人間もいるのかもしれない。「もっと気楽にお話し合いを」という傾向は贅沢な希望なのだろうか。

  •  世の中ネットだけでなく反論させられる場があまりにも増えすぎた。自分がすべて正しくなくとも何故すべてに近い他人の言動を支持していかなければならないのか。

     そこから無能な争いが生まれてくるそれをうまくはぐらかすには自分を守るか、正しく戦うか、相手を攻撃するかその3つしか方法はなさそうだ。

     著者は無能な反論はしない方が得だというがそれがかなえば一番なのだろう。いかにそこに持ち運ぶかがカギとなるのだろう。

  • ツイッターでは意外と評価がたかくて「そんなもんなんだ?!」と思ったけど、ここの皆さんのレビューは筆者に負けず劣らず辛辣ですね・・。
    哲学がご専門ということで、「知っていなきゃならないはず」の哲学的な単語とか出てくるのですが、残念ながら学校卒業してずいぶん経つ身としてはついていくのがやっと・・という部分もありました。
    それにしても、少し離れて眺めてみると、結構、あちらこちらでたたかれた方なのか、恨みつらみ・・を本にしました・・という感じの部分もなきにしもあらず。とはいえ、それが大いなる皮肉であったりするのですが。
    結論から言えば、無駄な議論はしないほうがいいってことなんでしょう・・。
    まあ、もともとネット上でのさまざまな論争には最初からかかわらない・・というのが私のスタンスではあるんですが・・。

  •  「話が通じない相手に対しての論争」のことが書かれている。かなり皮肉で辛辣な内容だが、理想とする「論議」はよほどの条件が整ってないと不可能なことだと考えると、実際的だ。
     似たような内容の本『なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論』と同じかと思ったが、同じような箇所もあるしちょっと違う部分もある。
     相手を説得するのは無駄だから観客を味方にするべきとか。ぶった斬り加減があけすけで笑ってしまった。社会的に相手よりも上の立場になれとか身も蓋もないんだが。
     ただし、いつもの毒が回った言い回し、アイロニーに満ちた言い方をするので、そのまま受け止めるのはちょっと違うと、この著者の本を数冊読んだ人は分かるはずだ。
     『たいていの場合、こだわっている理由はどうでもいいようなものばかりで、どうしてもやらなくてはいけない論争なんて、この世にはたぶん、ほとんどありません』

  • まぁ面白い本ですね。

  • [ 内容 ]
    近年、話が通じない人が異常増殖中。
    そんな現状に歯がゆい思いをしているあなたに、この一冊を。
    「反論するなら目的意識を持て」等、論戦必勝のコツを伝授します。

    [ 目次 ]
    第1章 反論するなら目的意識を持て(一方的に「批判」を受けていると感じること、ないですか メディアの進歩と「ブログ」炎上 ほか)
    第2章 見せかけの論争(「見せかける」ほどのものがあるのか? 相手にまともに答えない ほか)
    第3章 論理詰めのパターン(私はほんとうに「論争」したいのか 西欧的な「論争」の原型と限界 ほか)
    第4章 人格攻撃するケース(自分の評判を気にしないで相手だけを叩く 永田メール問題の失敗 ほか)
    第5章 土俵が違う場合にどうすればよいか(それぞれの目的が一致しない可能性もある 何とか相手を自分の土俵に誘いこむ ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ネガティブな議論をしている場合の対処法について、タイプ別に記述された本。
    「○○としては一流だが、人間としてはクズな人」を相手にするときにいいかもしれない。

    議論タイプ
    ・見せかけ
    ・論理詰め
    ・人格攻撃
    ・土俵が違う場合


    参考になった点
    ・本音をぶつけても真実が見えないこと

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著者プロフィール

哲学者、金沢大学法学類教授。
1963年、広島県呉市に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻研究博士課程修了(学術博士)。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。難解な哲学害を分かりやすく読み解くことに定評がある。
著書に、『危機の詩学─へルダリン、存在と言語』(作品社)、『歴史と正義』(御 茶の水書房)、『今こそア ーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『集中講義! 日本の現代思想』(N‌H‌K出版)、『ヘーゲルを越えるヘーゲル』(講談社現代新書)など多数。
訳書に、ハンナ・アーレント『完訳 カント政治哲学講義録』(明月堂書店)など多数。

「2021年 『哲学JAM[白版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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