- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166605620
感想・レビュー・書評
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南北戦争時、リンカーンがどんな行動をし、どんな指揮を執っていたのか、ということを中心に、この戦争がどんなものであったかを論じた一冊。
特に、当時まだ新しい技術だったモールス電信(テレグラフ)を取り上げ、リンカーンの書いた電信文から、彼の戦争への考え方を読み取る、というスタンスである。
そこには、弁護士出身で軍に精通していたわけではないリンカーンが、徐々に戦争に慣れ、戦略に長けてくる様子や、彼が行った国民や軍部への説得、宣伝、そのひとつひとつの行動の意図、などが記されている。
ゲティスバーグ演説だけを見れば、素晴らしい理念の持ち主だったように思うが、必ずしもそうした信念のためだけに動いた結果ではなく、もっと戦略的な要素が沢山あったことが、この本を読むと分かる。
南北戦争で生まれた「民主主義を守る正義の戦争」という考え方こそが、南北戦争以後、現代に至るまで、アメリカの数々の戦争を正当化する基盤になっているのではないか? この凄惨すぎるほどの戦争を経て、戦争が厭になった人よりも実は、麻薬のような戦争の魅力にとりつかれた人が多かったのではないか?という著者の指摘は、現代のアメリカを見ても、残念ながらあながち外れでもないように思える。
家族と平和に暮らしていた市井の人々の誰が、そんなことを望んだだろう?どんな理屈をつけようと戦争は戦争であり、「正義の戦争」など、キャッチコピーにすぎない詭弁であると私は思うが、そうなった現場で問われるのは庶民の倫理などではなく、説得力や宣伝力なのだろう。
そうした集団心理や物事を動かす人たちの論理、仕組みをよーく分かっておかないと、気づかず騙されて明日は我が身、ということにもなりかねないのではないか。面白いだけでなく、非常に考えさせられる一冊だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
南北戦争というテーマは日本の書籍の中ではあまりメジャーでない。本書でも冒頭に語られていたが、テーマとして未だにどう扱っていいのか評価が定まっていないからだろう。本書ではリンカーンが用いた電信に着目して戦いの歴史を紹介している。しかし分かりにくい、アメリカという広大な大地の配置や大まかな距離感がなく、軍人等の名前も聞き覚えがないために理解しにくい。
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電信という技術革新と戦争指導者の話。
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子供のころからリンカーンは偉い人だ、偉い人だと刷り込まれてきており、奴隷解放をした偉い大統領だということで子供でも知っている偉人である。しかし、なんでリンカーンが奴隷を解放したのかというきっかけが今一つ納得がいかずこの本を手に取った。結局のところ南北戦争は黒人奴隷の取り合いであり、南軍に勝つために奴隷解放宣言というカードを切ったにすぎないことが分かった。また電報が活躍した初めての戦争だということで、情報を仕事道具にしている私としては興味深かった。
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アメリカ南北戦争の入門書として非常にわかりやすい一冊。
本格的に導入された電信技術をひとつの軸にし、
そこから伺えるリンカーンの姿を読み解く。
南北戦争がアメリカの戦争観の基礎を形成したという
著者の主張も納得できる意見だった。
南北戦争が持つ意味合いについてさらに知識を深めてゆきたい。 -
リンカーンはすごい人だね。
近くの大学の課題になってたから一緒になって読んでみた。
なかなか興味深い。