日本の技と美と魂 日本刀 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2007年5月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784166605712

みんなの感想まとめ

日本刀の歴史とその美しさについて深く掘り下げられた内容は、複雑で多面的な理解を促します。一般的な見解に対して新たな視点を提供し、状況に応じた解釈を示すことで、読者に考えさせる力を持っています。豊富な知...

感想・レビュー・書評

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  •  日本刀は好きだが専門的な知識はないので、ちょっと勉強してみようかなと思い手に取った本。結果、私のようにちょっとだけ日本刀を知っているような人が少々背伸びして読める本、というある意味抜群な選書であった。ただ、日本刀について体系的に語ったものではなく、本書「おわりに」にあるように「今までの刀剣書とは別の角度から」「思いつくままに」記されたものなので、やや散文的に感じられ読みにくくもある。私のような、初心者に毛が生えた程度の者が気負って知識を入れにいくならば、傍らに図版や写真の豊富な刀剣入門書があった方が有意義に本書を読み進められるのではないかと思う。

     散文的ではあるが、著者の相当な知識量と日本刀への愛は存分に伝わる。定説を語ったうえで持論を展開する親切さも、読者に「伝えよう」とする熱量ゆえだろう。膨大な知識が語られつつも、第四章で「余計な知識はモノの本質を捉える精神を衰弱させるのでは」とあるように、芸術に対峙したそれぞれの感覚を一層大事にすべきという主張も見え、思想としてバランスがよい本に思えた。
     
     芸術に対して抱いた感動を他人と共有したいと願うのは、人として当然の欲求であろう。だからこそ先人たちは言葉を尽くしたのである。鉄の武器を語るうえで「梅花を付たるごとく」「雪のむらぎえ」などという言葉が飛び交う、刀剣世界のなんと奥深く美しいことか。それらが初心者における刀剣の鑑賞・評価を難解にしている側面もあれど、「地金が冴える」「沸よくつく」「湾れ」という言葉たちにさえ私は美しさと心地良さを感じる。このような感覚こそ「日本的」と言えるのではないかと、本書を読んで漠然と思った。

     改めて「日本刀についての知識がついた!」とは口が裂けても言えないが、それは私の能力不足なだけで、本書は文句無しの良書である。また知識が更新された数年後に読み返しても面白いかもしれない。

    はじめに−−武士の魂というが
    『三河物語』から『葉隠』へ/山本有三『米百俵』/単なる戦さの道具ではなかった日本刀

    第一章 荘厳なる日本刀のかたち
    日本の神と刀剣/皇室と刀剣/守刀/節刀/幕末に復活した節刀/社寺への奉納/武家と刀剣/下賜・献上/政治の舞台で重要な役割を果す

    第二章 刀剣目利
    世界に類を見ない歴史/能阿弥の刀剣目利/『古今銘尽大全』の発刊/本阿弥の刀剣折紙/謎の喜阿弥本/本阿弥による目利の独占/研礪・浄拭・目利が本阿弥の家職/刀剣の研磨/剣相

    第三章 刀鍛冶の名前
    唐大刀から日本刀へ/古備前友成/古備前正恒/組織的な技術集団/襲名制度のはじまり/受領名/ 日本鍛冶惣匠の出現/江戸時代の襲名/家督相続の困難/真偽鑑定を難しくする襲名制度

    第四章 正宗出現
    正宗の美/正宗の系譜/新藤五国光/「一代之名人候」/「正宗十哲説」/貞宗と相州鎌倉/正宗と対峙する/正宗周辺の鍛冶たち/「正宗抹殺論」

    第五章 鉾と槍と薙刀
    古代日本の鉾、槍/蒙古軍が用いた直槍/刀鍛冶とは別だった槍鍛冶/天下三名槍/蜻蛉切の槍/加藤清正息女の嫁入りの槍/『雑兵物語』の槍合戦/宝蔵院流槍術/『信長記』では約六メートル/薙刀/『源平盛衰記』では童が薙刀を持つ

    第六章 刀狩りと新刀
    太刀から刀へ/室町から桃山へ/刀狩り/長船鍛冶と関鍛冶/新刀鍛冶の始祖−−埋忠明寿/金工埋忠家/「桃山的意匠」の結実

    第七章 刀装
    飾太刀/黒漆太刀、革包太刀、糸巻太刀/拵で性格を言い当てた秀吉/刀子/小柄、笄、目貫の三所物/漆塗の技術的発達/江戸時代の帯刀作法/刀の差し方/朱鞘/大小拵/町人の脇差と無頼の徒の大小

    第八章 長曽祢虎徹
    虎徹を生んだ江戸の街/江戸の刀工/長曽祢興里とその一族/虎徹を評価した試刀家/虎徹の作品/寛文延宝の江戸鍛冶と大阪鍛冶

    第九章 奈良刀と切れない刀
    鈍刀、粗悪刀/奈良刀/刀剣の既製品/名刀は原材料を選ぶ/切れない刀/木刀、木太刀

    第十章 幕末と明治以降の刀剣
    水心子正秀/強い刀と道場の繁栄/明治以降の刀剣/装剣金工の悲劇と「中央刀剣会」/昭和刀/日本刀の将来

    おわりに

  • 日本刀の歴史が、ここまで複雑で、しかもわかっていないことだらけだとは知らなかった。

  • 良書。
    「一般的には××といわれている▽▽だけど、その時の状況を考えると○○ではないか」とう書き方が多かった。

  • 相当な知識量を前提とする上にわりと内容が散らかってる印象。手を出すには早かったか。それでも学ぶことは多かったのでいつかリベンジしたい

  • 地元図書館で借りた

    難しい 2割くらいの理解
    図はわかりやすい。
    刀の差し方が面白い

  • 所在:展示架
    資料ID:10700633
    請求記号:756.6||O22

  • 歴史から在り方から。お役立ち。

  • この本や他の日本刀に関する本を読んで興味がわいた私はたまたまやっていた展覧会にまで足を運びました。この本がとても参考になったと同時に日本刀の「奥深さ」に少々参りました(笑)しかし、一本一本違う刀の美しさとその裏に秘められた思いや歴史に深く感じ入ったものです。おそらく誰が書いても少々難しいものだと思いますが、入門書としては非常に正統派なものだと思います。

  • 日本刀のおこり、日本刀の意、そして日本刀の美について熱く書かれた一冊。
    時代劇が好きな人や、日本史が好きな人にはお勧めです。
    日本刀といっても様々な種類があり、その種類ごとに細かな説明が書かれています。また、制作過程での鍛冶屋の思いや、日本刀の歴史、日本刀の使われ方なども書かれている。だが、内容が内容なだけあってか少々グロく生々しい表現もあるので、苦手な方は注意して下さい。

  • 日本刀について、本当に好きで、なおかつ研究している著者が書いたんだなと読後に感じさせられる。
    日本における刀が持つ精神性などについて書かれた後、有名な名刀について時代や見るべきところの解説が加えられてある。

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