戦争遺産探訪 日本編 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2007年7月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784166605804

みんなの感想まとめ

戦争遺産を新たな視点で探求する本書は、単なる歴史の記録にとどまらず、戦争に関わった人々の意志や意図を浮き彫りにします。著者は、イデオロギーにとらわれず、戦争遺跡を造形物としてフラットに捉えることの重要...

感想・レビュー・書評

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  • 仕事で防空壕を調査する機会があり、畑の真ん中に質の悪いコンクリートで出来た半地下壕を初めて見たことが、本書購入のきっかけ。戦争遺産というと第二次大戦が真っ先に浮かぶのだが、明治・大正期のレンガ造りの建造物も味わい深い。地元だけではなく、同じ千葉県内の戦争遺産ならすぐにでも見に行きたくなった。

  • 新書文庫

  • とかくイデオロギーでとらえがちな戦争遺跡を、フラットに造形物として見てみようというのが著者の主張。砲台、要塞、工廠、掩体壕、地下壕、トーチカなど、その時の必要性や機能性第一義を求められたそれらからは、「語られる歴史」以上に、作り手の意志や意図を語っていく。歴史は振り返った時の時代の価値観で、どうしても先入観でとらえがちだ。戦争というものの当時者の気持ちを先入観なしで考えてみるためにも、こういう遺構が保存される意味があるのだが、ネガティブな存在ゆえ保存活動も起こることなく、次々と姿を消しているそうだ。

  • 感想未記入

  • [ 内容 ]
    要塞、工廠、地下壕、トーチカ…先の大戦まで重要な役割を果した軍事史跡が今、次々に消えている。
    地図や写真、データベースを豊富に掲載し、一刻を争う戦争遺産を巡る旅へ案内する。

    [ 目次 ]
    第1部 激動の舞台を歩く(日本のいちばん長い日を歩く;館山に昭和の戦争を見にいく;千葉からアジアへ―鉄道聯隊の軌跡をたどる;そして遺構はなくなった―軍需工場地帯を歩く;一九四五 都心の接収建築探検)
    第2部 戦争遺産が語る陸海軍史(明治建軍期;日清・日露戦争期;大正軍縮期;昭和戦前期;戦中・占領期)
    第3部 戦争遺産を探偵する(かなしき要塞;掩体壕の戦後;無用の長物;隠された戦争;戦争と地図;戦争遺産の歩き方)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 読み物としても非常に面白い戦争遺産に関する書籍である。

    このジャンルの書籍はイデオロギー色が強く出る傾向にあるが、本書は純粋に戦争遺産に関して記載されている。戦争遺産に対して、イデオロギーを抜きにして純粋に興味を持ち、向きあうという筆者のスタンスに非常に好感が持てる。

    また、戦争遺産の保存手段として博物館や公園などできれいに復元している遺産よりも、町角や山野にあるがまま時を経た遺産の方に惹かれてしまうという筆者の主張には大いに賛同する。

    ただ、読み物としての要素が強いため、地図や戦争遺産の網羅性ということを求めるのであれば、別の書籍をおすすめしたい。

  • 表紙にある建物に惹かれて思わず手を取った。
    屋根が円形の不思議なコンクリート建築。トーチカじゃないか。

    以前、千葉の四街道に「遠近(とおちか)」という地名があり、実際にトーチカがあった、という話を聞いて、その姿を探し求めたことがある。下志津演習地にあったというトーチカは既になく、地名だけがその名残という。実に面白い。

    トーチカ=要塞はかつて、日本全国の海岸にあったという。島国である日本は、敵の襲来に備えて、海岸に配備したのだ。しかし、それらは一度も使われることはなかったとも聞く。つまりは無用の長物だったわけだ。

    筆者も書いているが、僕も「無用の長物」に惹かれてしまう。しかし、無用の長物は時代の必然があって、作られた。結果的には使われなかった。これもひとつの歴史ではないか。

    筆者はあとがきで、きっぱり書く。「本書は『戦争遺産』探訪を通じて、平和について学びましょうと呼びかけるものではない」。本物の遺構だけが持つ魔力に惹かれてしまったのだと正直に告白する。戦争遺産本はいくつか出ているが、その根底に流れているものが窮屈だと思ったのだという。そういった意味では、好奇心の赴くままに訪ね歩いた本と言えるだろう。

    確かに、戦争遺産を見て感じることは人それぞれ。強要する必要はないんだと思う。単なる好奇心、興味が劣るとも思わない。遺産としての価値は、学術面も大きいのだが、入り口が大事だ。「これはなんだ?」という素直な驚き。それがやがて、人々と遺産を結びつける。戦争遺産も多くは時間とともに風化していく。

    壊すのは簡単だ。しかし、残すのは難しい。まずはこの本を手にして、探訪してみるのも面白い。

  • 面白い「戦争遺産」の本。

    近代化遺産のカテゴリはあるけれど、指定された一部以外はいつ破壊されてもおかしくない状況にある「戦争遺跡」

    著者は「戦争遺跡」という言葉が既にニュートラル(中立)な「意味」を持たないと指摘し、あえて「戦争遺産」と表記している。

    従来も様々なマイナスなイメージによりなかなか保存されにくく、また一般人にとってはとっつきづらい近代化遺産を

    「いや、平和教育とか無しにもっと色んな楽しみ方があって良いんじゃない?」と提起してる本…かな(何!)


    昨年六月の出版だけど、著者の鋭い視点は賞賛出来る。

    しかし、著者の考えには大いに賛同出来るのだが、思想無き保存運動は不可能に等しいので、う〜んと唸った(著者もそれはわかってるみたいだけど)

    専門家という訳では無いけれど、著者は前著に『軍事遺産を歩く』を執筆しているのでそれなりの人物である。と、言っても良いかなと思う(こら)

    中立的に「戦争遺産」を考える上では参考になるだろう。



    「戦争」そのものを「中立的」に考える思考が完成しない限り、「戦争遺跡」は「戦争遺跡」のままだと思った。

  • もうちょっと地図があればなぁと思った本ですが(笑)
    戦争遺産の話だけでなく、ちょろちょろと出てくる話が好きです。
    上原勇作の「俺が作った砲台が飛行機ぐらいで壊れたりしない」とか、北海道東部の占領打診をアメリカに断られたスターリンが「こんなに遠慮した要求はない」とか。
    戦争が科学技術を発達させるのは、「国の命運がかかっている」からこそ、妥協も微温的な雰囲気も入り込む余地がないというのが印象的でした。…現在の仕事は妥協と微温ばっかりorz

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著者プロフィール

1963年愛知県生まれ。文筆家、歴史探訪家。
地図や鉄道、近現代史をライフワークに取材・執筆を行う。
著書に『妙な線路大研究 東京篇』(実業之日本社)、『鉄道歴史散歩』(宝島社)、『ふしぎな鉄道路線』(NHK出版)、『地図と愉しむ東京歴史散歩』シリーズ(中央公論新社)など多数。

「2021年 『妙な線路大研究 首都圏篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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