井関隆子のエスプリ日記 旗本夫人が見た江戸のたそがれ (文春新書)
- 文藝春秋 (2007年11月20日発売)
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感想 : 17件
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784166606061
みんなの感想まとめ
幕末の動乱を背景に、旗本の妻である井関隆子の日記が描く江戸時代の社会情勢は、非常に興味深いものです。隆子は、息子や孫から得た政権内部の情報を元に、当時の出来事を詳細に記録し、その視点は現代にも通じる鋭...
感想・レビュー・書評
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江戸時代随一の才女、井関隆子の天保11年から15年までの日記。天保11年は西暦1840年すでに幕末である。
天保時代の出来事には、7年大飢饉発生、8年大塩平八郎の乱・モリソン号事件、10年蛮社の獄、12年天保の改革、また老中の水野忠邦は14年に罷免されるなど幕府の威信が大きく揺れ始めた頃である。
8年に大御所第十一代将軍家斉が死去、あとを家慶が嗣ぐ。12年には6歳の家定が京都の—光格天皇の娘とも言われる—公家の娘と結婚する。この御台所のあとに篤姫が嫁ぐことになるが、それは日記には出てこない。
15年には大奥からの出火で江戸城本丸が全焼し、多くの女性が犠牲者となる。
こういう社会情勢の中、九段に住んでいた旗本の妻で、すでに夫をなくしていた井関隆子には、息子や孫が幕府中枢の要職—秘書室長のようなもの—についており、彼らから上記の事件についても政権内部の話を聞き取り、事細かに日記に認めている。
もともとかなりの読書家であり、紫式部を思わせる才女でもあったので、その批評眼も時代を超えて本質を衝いており、また幕府の公式記録である『徳川実紀』とは異なる真実を現代に伝えている。
批評の一端を書き留めると、
「全て世の中のものは、時の流行によって、それほどでないものも、必要以上にもてはやされ、価値のあるものでも、流行に合わなければ、ないに等しい扱いを受けるのは、昔も今も変わらない」 200年も前の文章とは思えない。
この本は、隆子の日記からエッセンスを集めて解説したものでとても読みやすいが、同一著者は隆子の日記全文を翻刻、『井関隆子日記』として上中下の3巻を前世紀に刊行している。 -
この人に関する本を、以前にも読んだことがある。
…はずなのだが、詳細を思い出せない。あるいは本書であった可能性すらあって、もう本当に歳はとりたくないものだが、あえて言うなら何度でも読みたくなる興趣に満ちている。
アッパーミドルの家に生まれ、望まぬ結婚生活を長々と強いられることなく、出戻っても好きな勉強に打ち込めるだけの自由があった。そして老境に至り、(義理の)息子や孫に傅かれながら、悠々自適で好きな著述と酒を楽しむ。
そういう余裕ある人が、(それまでと比較して)余裕が(できつつ)あった近世の大都市に生まれつき、おかげでさまざまな物事を記録にとどめるに至った。近世都市社会ならではの貴重な産物には、たいそう「読ませる」ものがある。歴史好きにおすすめである。
2019/9/17〜9/18読了 -
将軍家のそば近くに仕える家族を持つ旗本夫人が残した重要な歴史資料といいえる日記を軸とした本書。
「近代の眼差し」をもち「常に冷静な判断力を失わない」武家の御夫人は、ミーハーで、涙もろく、くいしんぼで、ご近所づきあいになやみもする。今の奥様方とかわらない。とはいえ今の私では書けないですな。精進して、こんないじわるばあさんになりたいものです。
がんばる。 -
生々しい政治劇が展開されます。
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世は天保の頃、御広敷御用人を勤める旗本井関家の未亡人井関隆子による日記である。この人は、なかなかの教養人であり優れた批評者として、世の中を見つめている。これがめっぽう面白い。水野忠邦による改革に対する批判とか江戸の風俗が楽しめる。
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エスプリかどうかはさておき、一人の隠居した旗本婦人(いわば有閑マダム)が江戸の町でどんな生活をしていたのか。とても面白く読んだ。
こういった資料を他に知らないので(勉強不足なのだけれど)、「旗本婦人という人」の生活そのものに興味を持った。
詳細に知るには、筆者がいうように本編である『井関隆子日記』を読まねばならないのだろうが、入門編として重宝する本。
ご多分に漏れず、親戚、ご近所を含めた武家同士のお付き合いというのが生活の中で多大なウェイトを占めている、そんな一旗本家の年中行事を含めた生活の様子。なさぬ仲の息子たち孫たちとの意外なほど暖かなやり取り。
大好きな酒にまつわる家族内エピソードも、巷で流布している下世話な噂話も、幕府の行う天保の改革に対する批判も同じように書く。
それらを逐一彼女らしい筆致で書き留めたその教養の高さ、深さには驚くばかり。当然歌も読めば、絵も描く。
とても自然体な、いっそ羨ましいほどの有閑マダム生活がそこには展開されている。
これが彼女だけに特別のことだったのか、それとも大まかに「旗本婦人とはそういうもの」だったのか。
他の女性たちの様子も是非知りたいものだ。 -
守備範囲が広く考え方もあの時代にはめずらしく合理的で面白かった。
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2008.3.18
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幕末期に生きた聡明な旗本夫人の日記というのに惹かれ、読んでみました。
著者が『井関隆子日記』の本文を現代訳したものに、解説および考察をつけてるというスタイルで、前半あたりまでは興味深く読み進めましたが。。
解説および考察というより著者の感想みたいで、『日記』自体の現代語訳を読んだ方がおもしろいのでは、、と思ってしまいました。
本書では、井関隆子の直筆の日記やイラストも掲載されていて、かな書きの手本のような美しい書体や生き生きとしたイラストの筆使いには教養の高さを感じずにはいられませんでした。
新書としての満足度はあまり高くなかったのですが、日記自体の満足度は高かったので、間を取って☆3つ。
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離婚し、再婚。血縁なき家族との円満な暮らし。幕政批判、創作、大の酒豪。こんなに近代的な女性がいたなんて…。充実の生涯を送ったスーパー才女の克明な日記から、幕末の真の姿、近代の知性の芽生えを探る。
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