ピアニストが読む音楽マンガ ボクたちクラシックつながり (文春新書 622)
- 文藝春秋 (2008年2月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166606221
感想・レビュー・書評
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ピアニストで文章も書く著者が、ピアノの森やのだめカンタービレといったマンガをテーマに著述。プロの音楽家の実際、ホンネといったところがなかなかに面白い。
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のだめカンタービレや森のピアノ(主にのだめ)を例に、クラシック奏者、特にピアニストにまつわる様々の話を綴っている。
クラシック界の懐具合の現実とか、ちょっと驚き。 -
のだめ~はかれこれ15年くらい前のまんがだったと思う。当時今1つピンと来なかったのは、基礎知識(楽典、曲)だけでなく、音大の独特の雰囲気や、学生の習性に関する知識がなかったから。本書でようやく少しその一端を見れた。
本書の各章冒頭にあるようなQは自分は特に持っていなかったが、面白い回答で良かった。一方、所詮芸術、特に音楽は金持ち?の道楽なのかねえ、とか思ってしまった。不良債権とはとても言えないが、現実的な話を読むと、つい・・ -
のだめを読みたくなった。
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「のだめカンタービレ」「ピアノの森」などを通して、クラッシックの世界がわかりやすく解説されていた。著者の音楽への愛が感じられた。
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『のだめカンタービレ』や『神童』、『ピアノの森』を導きの糸に、クラシック業界のあれこれを紹介する本。
ピアニストの登竜門は、もはやコンクールが主流ではないとか、世界最高の音楽学校は、パリ音楽院でもないとか、なかなか面白かった。
青柳さんほどの音楽家でも、オーケストラや指揮のことだと難しいこともある(ドボルザークの交響曲で、いくつかわざと通常の演奏と違う音やパートに変えた演奏は、聞き取れない)ということも、驚き。
暗譜のプレッシャー、演奏旅行での消耗、孤独、経済的困難。
こういった、厳しい現実がありながらも、音楽でつながっている幸福を示して本書は締めくくられる。
この結末に納得できるかどうかは、読者次第かな。 -
「のだめカンタービレ」と「ピアノの森」を題材に、それぞれの作品の中で取り上げられたトピックを専門家の立場から解説を試みている。意外にそれらの描写がそれなりに的確であることが分かる。もちろん全てのトピックを取り上げている訳ではないだろうし、たまたま整合の取れるものだけを選んだのかも知れないのだが。
演奏する曲の選び方、コンクールにまつわるもろもろ、演奏家とその周辺の人々、話題に事欠かない。とても興味深く読むことができる。
最終章、ピアニストは本当に不良債権か?でしょう。のだめの弟の発した言葉がこの章のきっかけになっている。音楽活動にまつわる費用、収入などなど。あまり魅力のある業界ではない、と言っていいのか。年収300〜1000万円のグループにN響以外のオケのメンバーが含まれる、という記述があるがN響のメンバーはそれ以上貰っているのか? -
のだめなどを用いて、分かりやすく説明されていた。色々な裏話が分かって楽しい。
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のだめやピアノの森など
クラシック音楽漫画のピアニストから見た感想、補足などなど。
クラシック音楽家なんてものは、
一般人が考えるよりはるかに非経済的。
精神的にも肉体的にもかなり消耗するくせに自立して生活できるかできないかトントンな非経済性。
それでも多くの人がプロを目指すのは(或はアマチュアとして活動するのは)
音楽があまりに魅惑的(麻薬だと言う人もw)だから。
私もそう思う。 -
クラシック音楽関連の雑誌やら著名な演奏家の著作をいくつか読んでいる KiKi にとってさほど目新しい話題は書かれていなかったのですが、1つ1つの章で書かれていることに関しては「うんうん、そうだよね~」とか「そうそう、そんな話、どこかで読んだか聞いたことがあるよ」となかなか楽しくサクッと読み進むことができました。
読んでいく中で意外に思ったのは第1章の中の「初見と暗譜の方程式」のところで、「初見が得意な人には、暗譜が苦手な人が多い」と書かれていたこと。 KiKi は真面目にレッスンしていた頃にはどちらも得意だったんですよね~。 でもね、年齢を重ねるにつれ、どちらも苦手になっていった・・・・そんな気がしていたんですよ。 特に暗譜に関しては間違いなく大人になるにつけダメになっていきました。 で、これは記憶力の低下 もしくは 「あがる」という心理と密接に関連しているんじゃないかと思っていたんですよね。
(全文はブログにて)
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内容はタイトルのままで、ピアニストで後進の指導もされていて執筆もこなすという青柳さんが、のだめやピアノの森を読んで、そのセリフやシーンなどから感じたことなどを書くというコンセプトの本です。
でも、単にマンガの感想というよりは、ピアニストとしてクラシック界のあれこれを、マンガを引用したりマンガと比較したりしながら語るという内容になっています。サブタイトルを見るとマンガがメインのような感じですが、マンガの引用は最小限でした。
なので、マンガ作品を知らなくても面白く読めます。ピアニストが演奏だけでやっていくのがどれだけ大変かとか、留学やコンクールの位置づけとか、非常に興味深い内容でした。
マンガを知ってるとより楽しいのも確か。のだめのコンクールやコンサートの選曲について書かれている箇所は、実際にやっている人から見たらそうなのかーと感心しきり。のだめの作者の人も色々苦労して選んでいるんだろうなと、改めて思いましたね。
クラシックを知らない人でも面白いと思います。ところどころ読めないところはあると思いますが。アシュケナージとホロヴィッツの音楽に対するアプローチの違いとか言われたって、興味ない人には「???」でしょうし。本文中にたくさんのピアニストのお名前が出てくるんですが、私も知らない人がたくさんいて、「???」ってなっていました。でもそういうとこはすっとばして、わかるとこだけ読んでも楽しい本だと思います。 -
この本は、名だたるピアニストがクラシック漫画(のだめカンタービレ、ピアノの森、神童)を読んで、「そうだね」と思ったり「これはないでしょう」と思ったりしたことを書いたもの。
漫画ファンが読んでもクラシックファンが読んでも面白いと思います。 -
音楽家の人から見た音楽漫画の世界。特にピアニストからみた世界で ピアニストのかたの実生活が描かれている。暗譜するのが大変なプレッシャーだとか生活が厳しい 成功するのはほんの一握り など 華やかな音楽生活の面しかみていなかった私にとっては驚きの内容。のだめの弟が言った"不良債権"発言は的を得ているという。2008年4月読