不許可写真 (文春新書 652)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606528

感想・レビュー・書評

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  • 様々な理由でメディアに掲載を許可されなかった写真がたくさん載っているのかと思ったら、日中戦争から第二次大戦までのことに関しての内容であり、実際の写真はわずか。
    大部分は著者の感想、意見、憶測。

    読了15分

  • 書名に惹かれて購入した。
    基本戦争時代の検閲された写真、検閲の理由や経緯などが書かれている。
    少し文体は読みにくいが意図している事は理解できる。最後によく言われる事だが、日本の諜報システムの遅れが示唆されている。

  •       ―20080920

    第2次上海事変から日中全面戦争へと突き進んだ時代、陸軍.海軍.内務省.情報局の検閲をかいくぐり残された、毎日新聞社秘蔵の不許可写真を収録、解説する。

  • 戦時下の検閲によって公に開示することが禁じられた不許諾写真についての論考。

    戦争なので流すことが許されない情報があるのは当然なのだが、それが些細な点にフォーカスされていって論点がずれていくのがこの国の官僚的。
    著者の論考によると、重箱の隅をつつくような検閲は媒体側に自主規制を促すためだと言う。

    これは撮るなという命令が出来ても、これを撮れという命令を出すわけには行かないので、許諾する対象を取材者側に学習させ情報を統制したのだという。

    現在のマスコミにも同じ状況が訪れている。
    まさしく今は"戦前"なのである。

  • 実に観察眼の鋭い写真評論。推理っぷりがすごい

  • 新書文庫

  • 新聞記事が検閲され、都合の悪いことが載らないのは、なにも昔だけの話ではない。

  • ジャンル分けで評論としたが、筋道だった本ではない。
    縦横無尽にイメージ論や情報論、写真の持つ叙事性と抒情性について語られるスタイル。
    著者は草森紳一。先日紹介した「本の読み方」が面白かったので、この人の本をさらに読んでみた。

    言及の対象は先の日中戦争や太平洋戦争時に毎日新聞大阪本社の記者が撮影した戦地での写真など。
    同社に残っていた軍部(というのは抽象的な言い方ですが)から新聞掲載を認められなかった写真のスクラップをもとに、そこから何が読み取られるのかを読み解いた(ややこしいね)本。

    軍隊が何を相手に知られたくなくて、これらの写真を掲載不可としたのか。草森はいろいろ推察し、中には明確な理由がはっきりしているものもあるが、その真意や、効果は不透明だ。


    なにより不気味なのは、検閲の運用者にも一応の基準はあるが、いくらでも拡大解釈が可能という点。
    その検閲の妥当性を問う目は、市民にも国会議員にも与えられない。

    そもそも記者がアクセスできる段階で、それはすでに「秘」ではないだろう。問題はその写真や情報が「広く共有」されることで生じる不利益をどう防ぐかという点にあるのではないだろうか。

    特に現代では、想定された敵より、たぶん国内の人々の目に触れさせたくない、というのが検閲(情報規制)の主流になるだろう。

    報道(単なる情報ではなく、メディアや記者という情報のプロの目を通した記事)によって変動する世論を、政府や自治体がどう誘導するか。そこに検閲の主眼は置かれるのではないだろうか。

    そんなことを考えながら読了した。

  • [ 内容 ]
    見てはいけないもの。
    見せてはならないもの。
    不許可の烙印を押された禍々しい写真を次々と紹介しながら、卓越した自由な精神で、不自由な時代の残像を読みとった破天荒な試み。

    [ 目次 ]
    1 カメラの発明によって、叙事詩は生まれなくなった
    2 「不許可写真」は、一コマもののマンガである

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  • 1月30日 ~ 1月31 日

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著者プロフィール

一九三八年北海道生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。七三年『江戸のデザイン』で毎日出版文化賞受賞。二〇〇八年三月、大量の蔵書を遺し逝去。著書に『ナンセンスの練習』、『円の冒険』『絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ(全四巻)』『荷風の永代橋』『「明日の王」詩と評論』(共著)など多数。

「2018年 『本が崩れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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