強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書 663)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606634

感想・レビュー・書評

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  •  金融機関にお説教をしている1冊、というともっともしっくりくると思う。

     金融機関が暴走した理由は、人の「欲」である。
    今回、損をした金融機関というのは、金融機関の「サービス業」の部分をすべて破棄し、自己の利益の追求にのみ経営資源をすべて投入したからだと説く。

     言っていることはとても正論だと思う。が、何かしっくりこない部分がある。おそらく、情緒的な部分が多いからだろう。金融危機はどうして起きたの??と期待して読むと、「えっっ」となるであろう。まあ悪い本ではないが、わざわ買うか?といったら少し疑問な本。

  • ●未読
    ◎「世界金融崩壊七つの罪」p.59で紹介
    【「コニャックの空き瓶を売るテクニック」:ファースト・ボストン銀行のM&A部門で稼ぎ頭だったブルース・ワッサースタインとジョー・ペレラという投資銀行員が独立して「ワッサースタイン・ペレラ」という投資銀行を設立する。やがて優秀な投資銀行家たちがやっている銀行だというので、ドイツのドレスナー銀行が買収したいと言い。交渉の末に成立、「ドレスナー・クラインウオート・ワッサースタイン」という新しい名前まで決まった。ところが、いざ業務を始めようとした時には、ワッサースタインもペレラも退職して他の投資銀行に移ってしまった。この二人(コニャック)が抜けた銀行:「空き瓶」を買わされたドレスナー銀行は泣く事に。】

  • ベストセラーになったという情報を得てから購入したため、中身の少ない読み飛ばし可能な本かと思っていたが、実際には非常に重厚な内容であった。ウォール街の論理が過去何十年の間、強欲とモラル無視、如何に真面目な人々にババを押し付けるか、というものであったこと。サブプライムの原因もそこにあることが、筆者自身の経済界での経験を踏まえて重みをもって語られている。

  • リーマンショックが何故起きたのかがわかります★

    日本もいい加減アメリカを追いかけるのはやめようぜ。

  • 怖い怖い怖い。世の中のことをきちんと学ばなくては。

  • 発行日 2008/10/20
    読了日 2009/03/15

    ●GMのリチャード・ワゴナー会長の独占インタビュー記事が掲載されていた。この記事で同会長が話していることには、疑問を感じることが多々あった。極めつけは「どうしたら世界一であり続けられるか」との問いに対する答えだった。
     彼は、「企業としての至上命題は、株主への利益の還元であり、収益性やキャッシュフローが非常に大切です。当社は昨年、米国でレンタカー向けの販売を大幅に削減しました。採算が合わなかったからです」などと語っていた。
     この発言を読んで、私は「GMもこんな人に経営されていては、トヨタに勝てるわけはない」と感じた。間もなく、世界トップの座をトヨタに渡すことになった。自動車会社の最大の使命は、消費者が必要とする車をつくることだ。企業は顧客のために働くことこそが至上命題で、この命題に果敢に挑戦して初めて売り上げの伸びという目に見える形で報われるのだ。<中略>レンタカーに限らず、「利益の上がらない車」しかつくれないことがGMのそもそもの問題であるはずだ。利益が上がらなければ、コストをカットすれば良いというウォール街流のやり方がアメリカ企業に蔓延している証拠でもある。P50〜P51

    ☆何事もバランスなんだろうけど、第1がこれで、第2がコストカットなのだろう。要は、売上げをのばして、コストをカットするだけやもんね。

    ☆全体的にアメリカ流の経営、新自由主義を信じてたら、酷いことになるよっていうことを感情的に書き散らしていて、エッセイみたいな感じ。お客に対してきちんとしていたら、ええねんみたいな人が一生懸命書くとこんなんになるねんで、きっと。データとかもないし、あんまりおもしろないわ。これが新書大賞2位とは。。。イマイチ。

  • 金融資本が主役となってしまい本来主役であるはずの実業を営む企業が支配される側の資本家の奴隷となってしまった、1つの時代1つの資本主義の終焉が到来した、規制を受けない投資銀行は大きなBSを使うことができた、ゴールドマンはウォール街で世界最大のヘッジファンドと呼ばれる程にやってしまった、ファンドの人間は皆同じような考え方(不確実性を伴う成長は考慮せず自分達でできるコストカットしか見ない)で同じような数字しか提示しない、利益が上がらなければコストをカットするというウォール街流のやり方が全米企業に蔓延している、モノ作りができなくなったアメリカで発展したのが金融業でいまや中心産業(40%)、日本人がモノ作りを忘れて金融事業に没頭するのは日本人が日本人を止めるに等しい、アメリカは世界中に垂れ流したドルを還流するために金融に注力せざるを得なくなった、グローバルスタンダード=アメリカにとって自分達のルールを採用してくれるほど自分達の商圏支配力は増す(ボリューム→束ねる)、エクイティーが値上がっている時は借入すればするほど大きく儲ける、金融業で最も大きなリスクは「人」と「人の持つ欲」、バブルが形成して崩壊するパターンは同じだがテーマが変わるたびに損失規模は大きくなり被害も広範囲に、株主を裏切る会社と発展する会社の大きな違いは経営者の姿勢にある、PER50倍は50年分の利益、アメリカの実態のない「売るための会社」はSOX法により終息(行きすぎと規制強化はいたちごっこ)、良いアドバイスを得たければそれを期待できる投資銀行家と長期的人間関係を築くこと、ウォール街の連中は安く買い叩いてコストを削って見せかけのCFを増やして売り払う事しか考えていない(しかも他人の金で)、プレイベートエクイティーFの報酬体系(運用金額の2%&キャピタルゲインの20%)のせい、企業が将来どれだけのCFを生みだすかを「企業価値」そこから負債を引いたものが「株主価値」と考えるのが欧米流=新商品開発や未知の市場開拓ではなく「目に見える現金」=「経費の削減」しか信じない、ファンドのためだけに働く人と経営者が結託し「むしる人」それ以外全てが「むしられる人」、サブプライム問題の本質は「強欲資本主義」が貧乏人から金を巻き上げるために生み出したシステム、銀行の融資は基本的には期間5〜10年の中長期で調達は1〜3ケ月の短期資金でその金利差で収益を生む仕組み、利益を削ってでも中長期の調達に勤めBSの安定を目指すのが健全経営、長銀は公的資金注入で国有化されリップルウッドに売却された(ババは納税者負担のシステム)、ウォール街から高級官僚になるとタックスホリデーの恩恵(政治権力と金融権力の結託)、米金融部門の利益は稼ぐ前に借りて消費するという消費行動やノンリコローンに拠るもの、不良資産というババを最後に引かされる連銀→ドル価値の低下→ドル還流の停止→アメリカの破たん、ブラックストーンに投資した中国政府は株価半減により大損、資源環境の制約を認識し低所得者層に配慮し保守的な価値観を尊重し小さな政府を目指し政治を国民の手元に取り戻すならアメリカはまともに生まれ変わる可能性がある、ウォール街は徹底して追い詰められておりこのままの形では存続できない

  • 本の内容はウォール街で働く筆者が、投資銀行モデルの説明を中心に、強欲資本主義化してきた資本経済の起こりから終焉までについて語っている。
    読みやすく、分かりやすい。

    そしてホントに考えさせられた。

    これまでの「流行の」ビジネスモデルは
    稼ぐ前に借りた金で実態のないモノに投資をして、売り抜き、不良債権化したら、他人に押し付けて逃げる。
    売るための会社つくり。モノをつくらない(つくれない)。どんどん消費させろ。
    というものだった。

    しかし、信用の輪は切れ、更に各人各企業各国の借金依存・アメリカに依存した浪費主体型経済の崩壊&終焉を迎え、

    これまでの外資系投資銀行をはじめとした金融中心型のビジネスモデルはもう崩壊した。
    今回の金融危機はその明らかなる兆候だ。

    小泉竹中ラインにより加速した新自由主義もと、ホリエモンを見て育った私は、
    自然と「勝ち組」になりたいと思い、早稲田に入り、投資サークルに入った。
    この本にあるように価値感は強欲資本主義化したと思う。
    一番成長しやすい時期にこの価値感に染まってしまった。

    だが、早稲田に入って多くを学んだ。
    いろいろあるが、「志」と「誇り」だ。

    なんのために存在し、なんのために生き、なんのための今の努力や学びなのか、なんのために自己の成長を強く求めるのか、全ては「志」につながり。
    高い志を持つこと。

    早稲田で学び、成長した「誇り」を持ち、誇れる場所を裏切る事ない自分であり続けること。


    個人的には、きっかけは不純でよいと思っている。
    人間は性悪説であり、不純なものこそがモチベートとなり、エンジンとなる。
    そして己で純化する努力をすべきである。
    「志」と「誇り」の2つをもって、強欲資本主義の価値感を純化する事こそ
    これからの世界をつくっていく私たち大学生に求められているものだと思う。

    小谷征央

  • クレジットデフォルトスワップ(破綻リスクの裏保証または再保険のチェーン)が抱え込んでいる問題。
    この裏保証再保険の規模は、推定63兆ドル(六千三百兆円)ときわめて巨大だ。

  • リーマンブラザーズの破綻以来、世界大不況に陥り、日本も個人的にも大きな打撃を受けている。さまざまな解説、評論家の意見が新聞・テレビで報道されているが、2008年9月以前にはどれだけ出ていたのだろうか・・・と思うのだが、多分少なからずアメリカ発の世界恐慌を警告する見解も出されていたのだろう。本書の著者もその一人であろう。受けての側が軽視し、見逃していたことになる。

    金融のグローバリゼーション・・・誰の心にも寄生している、限りなく大きくなってしまった人間の「強欲」、「強欲資本主義」の広がりと市場の自然浄化「崩壊」の必然性。

    ウオール街・・・お金に取り憑かれ、友情も信用もお金にならないと考える人間で満ち満ちている。
    「人間にとって最も大切なものの多くはお金では買えない」

    サブプライム問題の本質は、「強欲資本主義」が貧乏人からカネを巻き上げるために生み出したシステムであること。

    アメリカの強烈な格差社会(賃金格差・健康保険に入れない人が4千万人・必要な予防注射を受けられない子供たち)を見れば、現代の資本主義は決して人間を幸福にするシステムではない。

    「文明史の研究家によれば、上位1%の人に富の30%が集中するとき、大きな崩壊が起こる臨界点となる。現代のアメリカはこのレベルに達している。」

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著者プロフィール

ロバーツ・ミタニ・LLC会長

「2008年 『さらば、強欲資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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