世界がわかる理系の名著 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606856

感想・レビュー・書評

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  • ファーブル、ガリレオ、ダーウィン、ニュートン、アインシュタインなど著名な科学者の人物像、そして著作、書いた当時の社会の雰囲気などをコンパクトにまとめて紹介。そして関連するその後の書籍紹介まであり、愉しみながら気軽に読むことができた。

  • 超ド文系にやさしい本。
    理系の名著のガイド本だが、内容として本当に整っている。
    その本に何が書かれているかの解説と、ちょっとだけ本文が載っている。
    と同時に、その本の真価を理解させるために、著者の人生、その研究分野の同時代の状況、その本の後世へのインパクトまでが説明されているのだ。

    一つ印象的だったのが、アインシュタイン。
    アインシュタインが学生としては劣等生だったエピソードは有名だが、この本ではこれまで見たものとは違う解釈がされていた。
    一般的には、天才を見抜けない教育の敗北というか、常識に囚われている教育界の頑迷さを物語るエピソードとされている気がする。
    でも、この本では、アインシュタインが、クリエイティヴィティの高い仕事をするために、他のものをばっさり切り捨てていた、という。
    実際、大学時代、数学に惹かれながらも、自分が一生かかっても結果が出せないかもしれないと数学を避け続けたという話も紹介されている。
    むしろ、アインシュタインの決断力の偉大さを読む込むべきエピソード。
    認識が変わった。

    ところで、「理系」の名著でありながら、この本ではなぜ数学の名著が取り上げられないのだろう?
    いずれ、続編が出るのかな?

  • 歴史に残る発見をしたような科学者の人生に迫りながら、その著書について解説する読書案内。
    その後の世界での名著の解説もあり、現代に至る科学の発展と課題についても学ぶことができる。

  • 文系の人間にも理系の学問の楽しさを教えてくれる良書。アカデミックな世界に浸れるのは学生の特権。

  • 世界の歴史を変えてきた名著を紹介しているんだけど、そうなんだとは判った程度。

    息子よ
    読む必要はない

  • 最終学歴は理系の学部ということになってはいますが、恥ずかしながら、この本で紹介されている14冊はどれも読んだことがありません。そんな私にとって、人類の価値観を変えたとされる理系の名著のポイントを解説してあるこの本は有りがたいものです。

    著者である鎌田氏は、この1冊の本を書くのに膨大な文献を読んで多くの時間を費やしたと予想されますが、その成果物を数時間で与えてもらうなんでなんと幸せなことかと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・種の起源を読んだ一般市民は、「優れたものは劣ったものを駆逐する」という優勝劣敗の思想として受け取り、これによりベストセラーへ押し上げられていった、キリスト教思想を覆すような思想なので非難が起きた(p16)

    ・ファーブル昆虫記の売れ行きはあまり良くなかった、19世紀のフランスでは、大部分の昆虫は悪魔がつくったものであると信じられていた、食べ物を荒らすアブラムシを食べる「テントウムシ」と燭台に使う蝋燭用の蜜蝋をつくる「ミツバチ」以外は悪者(p29)

    ・ファーブルの最大の功績は、わかりやすい表現で自然を伝えることに成功した点、難しいことを難しく書く学者のステータスを捨てた(p32)

    ・メンデルの法則(遺伝現象の法則性と遺伝物質の存在)が載せられた論文は、当時の研究者の目にとまらず、1900年までの34年間も埋もれてしまった(p40)

    ・ロザリンド・フランクリンは、ノーベル賞選考前に37歳で亡くなったため、DNAの構造解析に関してノーベル賞を受賞できなかった、規定に生存している人物という制限があったため(p63)

    ・1900年頃は物理学を基盤とする実証主義科学が中心であり、ユクスキュルの独創的な考え方(動物たちは各々が独自の環境を持っている)は完全な異端であった、動物を取り巻く時間や空間は、物理学が説明するように一意的に決定されたものではなく、動物によってすべて異なる(p73、74)

    ・それぞれの主体によって、意味のあるもののみが存在するというのが、環世界の姿(p76)

    ・パヴロフは消化器を動かす神経に関する業績で1904年にノーベル生理・医学賞を受賞した、有名な条件反射の発見でもらったわけでない、アインシュタインが相対生理御ではなく、光電効果でもらったのと似ている(p95)

    ・カーソンは、農薬を使うのではなく、天敵を用いて害虫を駆除する方法を当時から提案している、化学薬品の恐ろしさを最初に告発した(p107)

    ・日本の学校で使われている教科書で科学者の伝記が載っているのは、ファーブル・ガリレイ・カーソンの3人、環境問題が重要視されていることを物語っている(p108)

    ・ガリレイは学費が払えずにピサ医学部の退学を余儀なくされるが、在学中に、振り子の等時性(振り子が時を正確に刻む)を発見、ユークリッド幾何学、アルキメデス力学を学んだ(p117)

    ・ガリレオは地動説を支持した内容が聖書を厳格に信じる教会の反発を買い、1615年に最初の宗教裁判にかけられる、1600年に地動説を支持して火あぶり刑に処せられたブルーノを知っていたので手を打っていた。1633年に再度裁判にかけられ、屈辱的な宣誓文を書かされた(p119)

    ・1992年にローマ法王庁は、一連の裁判は誤りであったことを認め、350年の時を経て、宗教界においてガリレイの名誉が回復された(p124)

    ・ガリレイは明晰に書いたばかりに批判を浴びた、道元は難解な思想書を書くことで、脅かされることを極端に恐れる人々からの雑音を遮断した、小心者で器の小さい権力者に対しては、同じ内容でも難解に表現してしまえばよい(p127)

    ・ニュートンはケンブリッジ大学に入学するが、当時猛威をふるったペストで大学が閉鎖され、帰郷を余儀なくされた、このときに、微積分学・光学・万有引力の三大発見のアイデアを得た(p133)

    ・天文学史上もっとも重要な発見の1つである、ケプラーの「太陽を周回する惑星は楕円軌道を描く」は、ニュートンが発見した運動方程式で簡単に導き出せる(p136)

    ・84歳になったニュートンは、「かつて重力について考えたのは、リンゴが1個落ちたのがきっかけだった」と語った(p140)

    ・アインシュタインはチューリヒの連邦工科大学を受験するが、語学・歴史・生物の成績がふるわず、不合格となる、数学と物理が最高点であったことから、学長じきじきに再受験を進められ、翌年に合格した(p147)

    ・特許局の技師となったアインシュタインは、1905年に、特殊相対性理論・光量子仮説・ブラウン運動理論、を一挙に発表した(p147)

    ・相対性理論と題された本の原題は「動いている物体の電気力学」である(p148)

    ・相対性理論とは、時間と空間の関係が絶対的なものではなく、互いに相互関係にある、例として、Aさんから見て同じ時刻に2つの出来事が起きたとする場合、Aさんに対して運動している他のBさんが見ると、相対性理論では2つの出来事は同時に起きていない(p149)

    ・相対性理論では、2つの出来事は同時には起きていない、「同じ時刻」という概念が、観測する人によって相対的に変化してしまう=「同じ時刻の相対性」により、運動する物体が縮むという現象、あるいは、運動する時計が遅れる、という現象が導かれる(p149)

    ・互いに等速運動をする座標系に適用したのが「特殊相対性理論」、加速しながら運動する場合(月ロケットで上空に上がっていく場)は「一般相対性理論」である(p150)

    ・ハッブルは、宇宙が一定の速度で、かつどの方向にも同じように膨張していることを、ドップラー効果を用いて明らかにした(p172)

    ・ハッブル宇宙望遠鏡により、宇宙の年齢が137億歳程度であることもわかってきた(p175)

    ・ポンペイの発掘により、古代ローマ生活は、日本の弥生時代にあたるころには、高度な技術を持ち、豊かな生活をしていたことがわかった(p196)

    ・パイオニアたちは、新しいサイエンスを生み出すという本来の仕事の他に、社会の圧力に対抗する等、創造力の発揮とは全くの別の能力が必要であった(p234)

    2012年11月4日作成

  • わずか14冊の名著の紹介であるが、エピソードを中心に書いてあるので、紹介している名著を読む気にさせるものである。
     小学校の教員になる学生が春休みにこの本を読み、改めて名著を読むことになることが望ましい。高校生が手にとって読む価値はある。
     私も直接に読んだのは、カーソンの『沈黙の春』やワトソンの『二重らせん』ぐらいしか無く、あとは誰かが解説したものを読んで理解したとおもいこんでしまっていたように思う。 
    文春新書としてはまともな内容である。

  • 裏・世界がわかる理系の名著
    http://d.hatena.ne.jp/oraccha/20090315/1237044670

  • 世界を動かした科学者の著作を14点選んで取り上げている。

  • 好奇心を抱き続ける大人達

    子供の頃、どうして空は青いのか?
    どうして夕焼けは赤いのか?
    などなど大人に質問をして困らせた方も多いと思われる

    世界を見渡すと疑問や驚きで満ち溢れている
    際限がないのであるが、少しでも満たそうと人はもがく

    ソクラテスの「無知の知」ではないが
    自分という者が知らない、分かっていない
    ということが分かれば、不安になり、落ち着かなくなり
    なんとかしなければと人に聞き、書物を紐解き、ネットで検索して
    分かろうとする
    しかしながら分かれば分かるほど分からない事が分かってきてしまう

    年齢を経るにつれてそのような自分の好奇心を満たすことは
    叶わぬものと目を伏せ
    現実的なもの、経済的なものに向かってしまう

    ふと見上げる虹の姿に心を奪われるが
    どうしてあのようなものが出来るか気にする大人がどれほどいるだろうか

    科学者という人たちは子供の頃からのそのような純粋な
    好奇心を持ったまま研究を続けていく人達のようである

    そのような科学者の中でも広く多くの人に伝えたい
    という情熱を持った科学者が上梓した名著を取り上げている

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。1979年東京大学理学部地学科卒業。通産省地質調査所、米国内務省カスケード火山観測所を経て、1997年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。専門は火山学・地球科学。京大の講義は毎年数百人を集める人気で教養科目1位の評価。著書に、『理科系の読書術』『地球の歴史』(以上、中公新書)、『世界がわかる理系の名著』(文春新書)、『火山噴火』(岩波新書)、 『京大人気講義 生き抜くための地震学』(ちくま新書)、『地球とは何か』(サイエンス・アイ新書)など多数。

「2020年 『理学博士の本棚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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