世界がわかる理系の名著 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
3.49
  • (14)
  • (56)
  • (56)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 603
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606856

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ダーウィン『種の起源』やレイチェル・カーソン『沈黙の春』、アインシュタイン『相対性理論』など、自然科学分野の礎を彩った14の作品が挙げられています。
    「著者の生い立ち」から始まり、「本書の概要」「その後の世界への影響」「著者や著書に関するエピソード」「著者の教訓」さらに「本文紹介(一部)」、さらにさらに「本書が関連する現代の本」まで、概要としてはなんとも丁寧なまとめです。

    読んでいる最中に“日本へヒアリ初上陸か”というニュースを聞き、ヒアリ(火蟻)に触れているレイチェル・カーソンの『沈黙の春』が再注目されていると耳にしました。この本を読む良いタイミングだったように思います。

    理系出身の方にとっては周知の情報かもしれません。しかし著者の名前とタイトル程度しか把握しておらず、原作に手を伸ばすのは少々敷居が高いなぁと思っていた生粋の文系育ちの私にとっては有難い一冊でした。本書で知ったふりをするのではなく、ちゃんと原作にも手を伸ばしたいと思います。

  • レファレンス資料として

  • サイエンスっぽくなるための、お手軽なブックガイド。

    ここから原典を当たるもよし、中で紹介されている現代の書籍に当たるもよし。そういう意味でもよくまとまっている。

    残念なのは、ここに挙げられている本は名著なのだろうが、その選定基準がよくわからないこと。

    [more]
    (目次)
    はじめに
    第1章 生命の世界
     ダーウィン『種の起源』
     ファーブル『昆虫記』
     メンデル『雑種植物の研究』
     ワトソン『二重らせん』
    第2章 環境と人間の世界
     ユクスキュル『生物から見た世界』
     パヴロフ『大脳半球の働きについてー条件反射学』
     カーソン『沈黙の春』
    第3章 物理の世界
     ガリレイ『星界の報告』
     ニュートン『プリンキピア』
     アインシュタイン『相対性理論』
     ハッブル『銀河の世界』
    第4章 地球の世界
     プリニウス『博物誌』
     ライエル『地質学原理』
     ウェゲナー『大陸と海洋の起源』
    あとがき

  • 読みたい本がいろいろ見つかった。
    この本書くから読んだと知ってがっかりではあるが。

  • 世界の理系の名著14冊について紹介されています。
    理論などの内容だけでなく研究者の人生について書かれていたところが様々な発見がありよかったです。
    同じ分野の研究者同士でも人生を歩んできた道が全然違ったりするところに面白さを感じました。
    バランスよく情報がまとまっていて、予備知識があまりない私でもすんなり読めたので、入門としていいなと思いました。

  • かなり読みやすかった。
    名前だけ知っていた科学者や理論、こういうことだったのかと思えた。知らないことって恥ずかしい。
    これまで読んだことのない分野で自分の世界が広がる感覚を味わえた。

  • ダーウィン/種の起源
    自然選択説: 周囲の環境に適したものが相対的に多く残り、全体の配置が変化したように見える。
    適者生存: 与えられた環境に適した生物は保存され、不利な生物は消えてゆく。
    ファーブル/昆虫記
    ファーブルの名は、実は本国ではあまり知られていない。
    メンデル/ 雑種植物の研究
    優性と劣性とは、内容の優劣ではなく、形質が現れるか、抑制されて現れないか、といこと。
    20世紀に半ばになって、遺伝子を運ぶのものの正体がDNAであることや、遺伝の情報伝達メカニズムがDNAのもつ二重らせん構造によることが明らかになった。
    ワトソン/ 二重らせん構造
    ユクスキュル/ 生物から見た世界
    環世界: 客観的な視点から環境をとらえるのではなく、生物が自分を中心として意味を与えたものが本来の環境である。動物を取り巻く時間や空間は、動物によってすべて違う。
    地球環境問題は、人類の環世界が作り出した問題に他ならない。
    パブロフ/ 大脳半球の働きについて
    犬の消化腺機能の研究。条件反射、学習、消去、回復。連続強化、部分強化。部分強化の方が、連続強化よりも消去されにくい。
    カーソン/ 沈黙の春
    食物連鎖の頂点にいる人間に取り込まれた残留農薬は、いずれ人間の健康を蝕んでいく。
    ガリレイ/ 星界の報告
    木星の衛星を発見した。地動説を支持する内容は、宗教裁判にかけられた。カトリックローマ教会は、天動説以外認めていなかった。
    ニュートン/ プリンキピア
    アインシュタイン/ 相対性理論
    ニュートンは、時間と空間は全く別の独立不変のものだと考えていた。アインシュタインは、これを否定。時間は伸び縮みするし、空間はゆがんでいる。時間と空間の両方を合わせた時空という概念を立てた。時間と空間が絶対的なものではなく、互いに相互関係にある、つまり絶対の反対であるため、相対性理論なのである。
    光速に近い速さで運動する物体の中では、時計の進み方や物体の長さが変化する。
    エネルギーは、重さに光の速さの二乗をかけたもの。
    クリエイティビティの高い仕事をする時に大切なのは、頭を疲れさせないこと。つまらないことで、頭を疲弊させてはいけない。ビュリダンのろば。

  • あとがきにある、「何と言っても本物はやはり優れている。」と言うのが、残った。
    原書は、まだまだ読めていないが、挑戦したい。

  • 理系分野の土台を気付き上げてきた人物の想いに触れ、何か琴線に触れるセンテンスを見出したかったので購入。ユクスキュルにはまった!

    【メンデル】
    雑種植物の研究は、「親から子供へ形質がどのように受け継がれるかという疑問に科学的に答える」という、明確な目標があった。この「要素」が代々規則的に受け継がれるというメンデルの発見は、ダーウィンの「自然選択説」の裏付けにもつながったのである。
    →何年もかかる実験に飽きることなく愚直に取り組む信念こそが、世紀の大発見につながっている。3年、5年、10年、20年スパンで「愚直」になれるものは何だろうか?

    【ユクスキュル】
    動物はみな、それぞれが独自の環境を持っている。動物を取り巻く時間や空間は、物理学が説明するように一意的に決定されたものでなく、動物によって全て違う。
    人間が見た部屋、犬が見た部屋、蠅が見た部屋、はそれぞれ異なるのだ。
    たくさんの客観的環境の中から、ある動物が生存する上で選んだ主観的な環世界は何か、ということが問題である。
    人間の場合、これは価値観の違いとして現れる。平たく言えば、誰もが自分だけの思い込みの世界で生きており、他人の思い込みはわからないということだ。
    →「観想力」という本では、ぶっ飛んだ思考に至るには、新しい視野・視座・切り口をもつことの大切さを説いていたが、これはまさに「視野」を広げる発想!私の世界はもっともっと広げられる。

    【カーソン】
    わずか2、3種類の虫を退治するために、あたり1面を汚し、他ならぬ自分自身の破滅を招くとは、知性あるもののふるまいだろうか?
    人間が厳しい環境を少しでも快適にするため、クーラーやストーブを発明して地球の資源を消費し続けている間、粘菌は自分の性質を変化させることで、環境に適応してきた。人間には思いもつかない大胆なやりかたではないか。
    →東北大学の入試に出てきた「沈黙の春」の著者。周りを変えることで身に降りかかる問題を無視することの愚かさ。私は個人、家族、会社、日本、に生きるとともに、地球で生きているのだ。なんてちっぽけな考えをしているんですか?と恥ずかしくなる。

    【アインシュタイン】
    当時でも数学の世界は、細かい専門に細分化されていた。これを見てアインシュタインは、「その1つ1つさえ人間の短い一生をのみつくしてしまうほどであることを知った私は、どちらの乾し草の束を食べるべきかを決することのできないピュリタンのろばの位置に立たされた」と言った。※ピュリタンのろばとは、同じ量の乾し草の真ん中にロバを置くと、ろばはどちらの束を食べていいのか迷って餓死するというもの。
    アインシュタインは物理以外の研究時間を意図的に削ったので、大発見が出来たのだ。
    →利根川進もちょっと違うけれど同様のことを言っている。人生は思ったよりも短く、今の世の中情報をあれもこれもと探っていたら、ピュリタンのろばになってしまう...。何か尖るもので掛け算できる生き方を目指したい!

    【ハッブル】
    ニュートンの言葉を引用する。「もし、私がより遠くをみることができているとしたら、それは巨人の型に乗っているからである」。
    科学とは、先人たちの積み重ねた知識の上になりたっているものである。
    →知の巨人の素敵な言葉。60歳のときに、孫の世代に、こんなことを言ってもらえる生き方をしたい。

  • 偉大な科学者たちが残した名著の数々。
    その内容を、かなりざっくりと紹介していくという趣旨。
    科学者たちの人となりや、出版当時の世情、さらにはそれらの名著から得られる教訓とは何だろうか、ということまで書いてある。
    なんともおトクな本である。

    個人的に嬉しかったのは、各著作に関連した現代の本が紹介されていたこと。
    読書欲をそそられる本でもありました。

著者プロフィール

1955年東京都生まれ。1979年東京大学理学部地学科卒業。通産省地質調査所、米国内務省カスケード火山観測所を経て、1997年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。専門は火山学・地球科学。京大の講義は毎年数百人を集める人気で教養科目1位の評価。著書に、『理科系の読書術』『地球の歴史』(以上、中公新書)、『世界がわかる理系の名著』(文春新書)、『火山噴火』(岩波新書)、 『京大人気講義 生き抜くための地震学』(ちくま新書)、『地球とは何か』(サイエンス・アイ新書)など多数。

「2020年 『理学博士の本棚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鎌田浩毅の作品

ツイートする