- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166606856
感想・レビュー・書評
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ダーウィン『種の起源』やレイチェル・カーソン『沈黙の春』、アインシュタイン『相対性理論』など、自然科学分野の礎を彩った14の作品が挙げられています。
「著者の生い立ち」から始まり、「本書の概要」「その後の世界への影響」「著者や著書に関するエピソード」「著者の教訓」さらに「本文紹介(一部)」、さらにさらに「本書が関連する現代の本」まで、概要としてはなんとも丁寧なまとめです。
読んでいる最中に“日本へヒアリ初上陸か”というニュースを聞き、ヒアリ(火蟻)に触れているレイチェル・カーソンの『沈黙の春』が再注目されていると耳にしました。この本を読む良いタイミングだったように思います。
理系出身の方にとっては周知の情報かもしれません。しかし著者の名前とタイトル程度しか把握しておらず、原作に手を伸ばすのは少々敷居が高いなぁと思っていた生粋の文系育ちの私にとっては有難い一冊でした。本書で知ったふりをするのではなく、ちゃんと原作にも手を伸ばしたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原典が読みたくなった
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鎌田浩毅(1955年~)氏は、東大理学部地学科卒、通産省(現・経済産業省)地質調査所主任研究官、米国内務省カスケード火山観測所上級研究員、京大大学院人間・環境学研究科教授等を経て、京大レジリエンス実践ユニット特任教授、京大名誉教授。専門は火山学、地球変動学。「科学の伝道師」を自認し、科学教育、アウトリーチにも力を入れ、京大で行っていた講義「地球科学入門」は毎年数百人を集める、教養科目1位の人気講座。一般向けの科学書や啓蒙書も多数執筆。
本書は、世界の新しい見方を与えると同時に、現代文明の基礎を作ってきた、理系の歴史的名著14冊を取り上げ、それぞれについて、「書いたのはこんな人」「こんなことが書いてある」「その後、世界はどう変わったか」「エピソード」「科学者の教訓」「さわりピックアップ(原書の一部の引用)」という項目で、その魅力を紹介したものである。また、コラムとして、それぞれの名著から著者が想像を膨らました現代の関連書も紹介されている。
尚、取り上げられた14冊は以下である。
第1章:生命の世界・・・ダーウィン『種の起源』、ファーブル『昆虫記』、メンデル『雑種植物の研究』、ワトソン『二重らせん』
第2章:環境と人間の世界・・・ユクスキュル『生物から見た世界』、パヴロフ『大脳半球の働きについて~条件反射学』、カーソン『沈黙の春』
第3章:物理の世界・・・ガリレイ『星界の報告』、ニュートン『プリンキピア』、アインシュタイン『相対性理論』、ハッブル『銀河の世界』
第4章:地球の世界・・・プリニウス『博物誌』、ライエル『地質学原理』、ウェゲナー『大陸と海洋の起源』
私はこれまで、『二重らせん』、『生物から見た世界』、『沈黙の春』の3冊は読んだが、そのほかについては、原著者の歴史的な功績の概要は知りつつも(ライエルのことは知らなかったが)、著作を手に取ることはなかった。それは、現代において読むなら、むしろその後の研究成果などを含んだ、その分野の(一般向け)解説書の方がいいのではないかという考えによる(また、いくつかの本は大部であることにもよる)のだが、本書を読んで、それぞれの著作・原著者の持つ様々な面を知ることができ、とても参考になったし、更には、原書を読んでみたいという思いも喚起された。
「科学の伝道師」の鎌田氏ならではの一冊といえるだろう。
(2022年4月了) -
齋藤孝『読書の技術』でおすすめされていたため手に取った。
理系について全く知識がない自分だったが、楽しく読むことができた。理系についての最低限の知識を得ることができると思う。
特にニュートンの万有引力について。
①月は直進をしたいが、地球の引力によって引き寄せられ、また離れという動きを繰り返しながら、地球との距離感を保っている。
②太陽系の新たな惑星の発見にも貢献している。ニュートンが生きていた時代には第六の惑星しか確認されていなかったが、ニュートンの死後天王星が発見される。しかしニュートン力学に当てはまらない動きをするため、さらに調査を進めると、天王星の外側に海王星が発見された。
ちょっとした小話として持っておくと、コミュニケーションが捗る場面もありそうかな。
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レファレンス資料として
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サイエンスっぽくなるための、お手軽なブックガイド。
ここから原典を当たるもよし、中で紹介されている現代の書籍に当たるもよし。そういう意味でもよくまとまっている。
残念なのは、ここに挙げられている本は名著なのだろうが、その選定基準がよくわからないこと。
[more]
(目次)
はじめに
第1章 生命の世界
ダーウィン『種の起源』
ファーブル『昆虫記』
メンデル『雑種植物の研究』
ワトソン『二重らせん』
第2章 環境と人間の世界
ユクスキュル『生物から見た世界』
パヴロフ『大脳半球の働きについてー条件反射学』
カーソン『沈黙の春』
第3章 物理の世界
ガリレイ『星界の報告』
ニュートン『プリンキピア』
アインシュタイン『相対性理論』
ハッブル『銀河の世界』
第4章 地球の世界
プリニウス『博物誌』
ライエル『地質学原理』
ウェゲナー『大陸と海洋の起源』
あとがき -
読みたい本がいろいろ見つかった。
この本書くから読んだと知ってがっかりではあるが。 -
世界の理系の名著14冊について紹介されています。
理論などの内容だけでなく研究者の人生について書かれていたところが様々な発見がありよかったです。
同じ分野の研究者同士でも人生を歩んできた道が全然違ったりするところに面白さを感じました。
バランスよく情報がまとまっていて、予備知識があまりない私でもすんなり読めたので、入門としていいなと思いました。 -
かなり読みやすかった。
名前だけ知っていた科学者や理論、こういうことだったのかと思えた。知らないことって恥ずかしい。
これまで読んだことのない分野で自分の世界が広がる感覚を味わえた。 -
ダーウィン/種の起源
自然選択説: 周囲の環境に適したものが相対的に多く残り、全体の配置が変化したように見える。
適者生存: 与えられた環境に適した生物は保存され、不利な生物は消えてゆく。
ファーブル/昆虫記
ファーブルの名は、実は本国ではあまり知られていない。
メンデル/ 雑種植物の研究
優性と劣性とは、内容の優劣ではなく、形質が現れるか、抑制されて現れないか、といこと。
20世紀に半ばになって、遺伝子を運ぶのものの正体がDNAであることや、遺伝の情報伝達メカニズムがDNAのもつ二重らせん構造によることが明らかになった。
ワトソン/ 二重らせん構造
ユクスキュル/ 生物から見た世界
環世界: 客観的な視点から環境をとらえるのではなく、生物が自分を中心として意味を与えたものが本来の環境である。動物を取り巻く時間や空間は、動物によってすべて違う。
地球環境問題は、人類の環世界が作り出した問題に他ならない。
パブロフ/ 大脳半球の働きについて
犬の消化腺機能の研究。条件反射、学習、消去、回復。連続強化、部分強化。部分強化の方が、連続強化よりも消去されにくい。
カーソン/ 沈黙の春
食物連鎖の頂点にいる人間に取り込まれた残留農薬は、いずれ人間の健康を蝕んでいく。
ガリレイ/ 星界の報告
木星の衛星を発見した。地動説を支持する内容は、宗教裁判にかけられた。カトリックローマ教会は、天動説以外認めていなかった。
ニュートン/ プリンキピア
アインシュタイン/ 相対性理論
ニュートンは、時間と空間は全く別の独立不変のものだと考えていた。アインシュタインは、これを否定。時間は伸び縮みするし、空間はゆがんでいる。時間と空間の両方を合わせた時空という概念を立てた。時間と空間が絶対的なものではなく、互いに相互関係にある、つまり絶対の反対であるため、相対性理論なのである。
光速に近い速さで運動する物体の中では、時計の進み方や物体の長さが変化する。
エネルギーは、重さに光の速さの二乗をかけたもの。
クリエイティビティの高い仕事をする時に大切なのは、頭を疲れさせないこと。つまらないことで、頭を疲弊させてはいけない。ビュリダンのろば。