人声天語 (文春新書 690)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606900

作品紹介・あらすじ

「天声人語」のお澄ましした意見では今の日本のことは何もわからない。この世のおかしさ、うさんくささ、不思議さを、「人声」で映し出す世相コラム。それが「人声天語」。

感想・レビュー・書評

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  • ニートな若者たちに告ぐ、というタイトルのコラム中の文章
    「各メディアでのニートという言葉の取り上げ方の多さ。そこに私はうさんくさいものを感じるのである。本末転倒な気がするのである。何か未知なものを調べていって、その結果得られた言葉(概念)ではなく、とりあえず先にキャッチーな言葉を作って流通させてしまえば、実体はそのあとでうめられてくるだろう、という安易な感じがするのだ。」
    流行り言葉に作為を感じることは自分も多々あるので、この部分はうなずきながら読んだ。
    他は2004年から2008年の間に起こったことについて考察している部分が多いです。当時のことを懐かしみながら気軽に読める世相コラムといった感じです。

  • 社会

  • 月刊誌に連載されたコラム。
    2003年から2008年まで。

    ああ、そんなことあったなあと思い出せるくらいの過去。
    例えばプロ野球のオリックスと近鉄が合併して、パリーグが5球団で行われようとしたこと。
    朝青龍が巡業を休んでおきながらモンゴルでサッカーに興じたこと。
    スーパーの店頭から納豆が消えたこと。
    などなど。

    そして、70%以上の支持率で総理についた一年後、あらゆるメディアで批判されている安倍晋三。(そこまででしたっけ?)

    ついこの間、日垣隆で過去を振り返ったけれど、別な人の目で見る過去はまた違った様相を見せる。
    あらゆる方向にケンカを売る日垣隆に比べて、坪内祐三の態度は大人だ。

    しかし、なんだろう、その大人な態度、分別臭さが今回鼻につく。
    今の若者の薄っぺらさを嘆き、学生の質の低下を嘆き、ニートを嘆く。
    ちょっとレッテル貼りが乱暴と思う。

    しかし街の本屋さんや良心的な出版社が消えていくのは私も寂しいし、ものすごく残念だ。
    そこは激しく同意をしておく。

  • 2016年7月17日、読了。

  • 地元の図書館で読む。興味深い本でした。連載中は、面白いとおもっていました。残念ながら、まとめて読むと面白くない。この手のコラムには、この手のことがある。リアルタイムで読むと面白いが、まとめて読んでもと面白いものである。小林信彦さんのコラムは、まとめて読んでも面白い。リアルタイムで読むと面白いが、まとめて読んでもと面白くないものである。このコラムは、そうです。多分、時代によりそっているのでしょう。横浜中華街の話題が出ています。うまくいっていないようです。しかし、地下鉄開通により、復活する可能性があると指摘する。僕には、疑問が残ります。以前、中華街の2世、3世は、料理人しか選択がありませんでした。それに対して、選択肢は大きく広がりました。もちろん、店を継ぐ人もいるでしょう。しかし、それだけが、選択肢ではないでしょう。地下鉄は、一時的効果しかないのではないのでしょうか。そんなことを考えます。

  • 氏を知ったのは『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 』で、この一作で私にとって気になる作家になったのだが、やはりこのコラム集でも、切り口・眼のつけどころが鋭く、そして読みが深い。

  • 2011/11/9購入
    2011/11/14読了

  • [ 内容 ]
    「天声人語」のお澄ましした意見では今の日本のことは何もわからない。
    この世のおかしさ、うさんくささ、不思議さを、「人声」で映し出す世相コラム。
    それが「人声天語」。

    [ 目次 ]
    万引きとビジネス
    嫌犬権(KENKENKEN)
    「ネット心中」に未来はあるか
    大人の時間と子供の時間
    夏の季語としての「戦争」のイメージ
    それは飲酒運転ではなくアル中運転だ
    「少額の畑泥棒」の謎
    個人商店の政党
    気分はもう戦争
    日本共産党が「当面」とはいえ、天皇制を「容認」だって!〔ほか〕

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 6年分の連載コラムを一冊にまとめたもの。私は、著者より五つ下の学年なので、子どもの頃、重なる経験もあるけれど(例えば街中で見た傷痍軍人)、そうでないところもあるのが興味深かったです。

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著者プロフィール

評論家、エッセイスト。1958年、東京生まれ。早稲田大学文学部卒。「東京人」編集部を経て、コラム、書評、評論など執筆活動を始める。評論、随筆、対談、日記エッセイ、解説等多彩に活躍。『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代―』で第17回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『ストリートワイズ』『靖国』『文学を探せ』『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』『総理大臣になりたい』など多数。近著に『昭和にサヨウナラ』『文庫本を狙え!』『文庫本宝船』など。

「2017年 『壁の中【新装愛蔵版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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