生命保険のカラクリ (文春新書 723)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607235

作品紹介・あらすじ

日本の約九割の世帯が加入しながらわかりにくい生保。保険業法の改正により、外資の波も押し寄せている。生保のしくみを知って、新時代の保険との付き合い方を身につけよう。

感想・レビュー・書評

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  • ライフネット生命の創立メンバーである著者による、赤裸々な生保業界の仕組みをつまびらかにする内容といった印象です。買い手の脆弱ぶりは、何も買い手の怠慢だけではないのですね、そもそも構造が分かりずらい業界とのこと。

    日本においては公的保険加入が必須でかつ充実しており、公的年金、公的医療保険、遺族年金、失業保険等である程度の非常時を保障してくれている。そこを補う形で民間保険を利用するというのが大前提。公的な補償を完全に度外視して、高すぎる保険料を払い過剰な保険金を付保するのは、ナンセンス。まさにそうするように保管屋さんからは、知識がないと誘導されてしまうのではないでしょうか。

    「付加保険料」や「予定利率」など、生保会社がどのように利益を創出しているのか、会社として成り立っているのかの構造は初めてちゃんと学ぶことができて、良かったわ。さすが、今まさに業界で活躍している人が書いた本。自分の入っている民間保険を何度か見直してきたけど、医療保険は本当に定期保険でいいね、今付保されている内容を述べよって言われても医療保険は特約とかが複雑で分かりません。保険料分貯蓄に回すのが正解なんだろうな。

  • ライフネット生命副社長の岩瀬氏による生命保険のキホン。わかりやすい。面白い。

    「保険はよくわからないから入らない」と敬遠していたが、これを読んである程度、生命保険がどういう性格を持った商品であるか理解できたし、自分がどのタイミングで、どういう保険に入るべきかというイメージが持てた。
    (子どもができてから独立するまでの25年間で定期の死亡保険に入るのが最低限かな…とか)

    また紹介されてるいくつかのエピソードを読んで、生保業界の異常性が垣間見えた。
    セイホは業界内の人でもしっかり理解している人は少ない。

    営業の人件費がかかっていないネット通販型生保に惹かれてしまったのは、著者の策略か?

    -----

    ◆生保とは

    ・生保の2つの機能
    【保障性】 
     …万が一に備える。死亡保障や医療保障。かけ捨て。保険の本来的な姿。
    【貯蓄性】
     …将来の出費に備える。貯金に近い。満期が来たら帰ってくる。かけ捨てじゃない。


    ・生保が理解しにくい理由は2つ (p72)
     ①多種多様な内容の保障と特約をパッケージにしているから
     ②「保障」と「貯蓄」という二つの機能を内包してるから

    ※売り手にとって収益率が高いのは貯蓄性商品ではなく、保障性商品。(手数料が高い)


    ・「お得な保険」なんてものはなく、お得に見える商品(かけ捨てじゃない、割引、ボーナス付き…)は必ずその分、保険金が少なかったり、適用範囲が狭かったりでバランスが取られている。


    ・「何に備えるか」という視点でわけると、生保は3つの機能しかない。 (p81)
    ①いざという時に、残された家族のための所得保障→遺族保障(死亡保障)
    ②入院・手術のための保障→医療保障
    ③将来に備えるための保障→生存保障(貯蓄・年金)


    ◆どんな保険に入ればいいか

    ・企業の福利厚生制度や公的な社会保障を基礎に、足りない部分を補うのが民間の保険である。医療保障については公的な健康保険が手厚い。(p116)
    まず公的な社会保障、企業による保障の内容を理解してなければ、民間保険をきちんと選ぶことは難しい。
    (p106)


    ・加入する保険は特約はつけないで、シンプルな単品商品のみに加入すること。
    自分が100%理解できるものにとどめることで、保険金の受け取り漏れを防ぐ。(p144)


    ・保険にかしこく入るための七か条 (p192)

  • 生命保険の成り立ち・構造が分かりやすく書かれている。初版から10年以上が経過し、時代のトレンドは保障から予防へと推移しつつあるが、根本にはこれまで築かれた業界のレガシーがいまなお色濃く残っていることを感じた。

  • 日本の全世帯の9割が加入し、「住宅についで、人生2番目に大きな買い物」といわれる生命保険。
    1000万円近い「買い物」をしているのに、加入者はあまりにその仕組みや内訳を知らされていないのではないか?
    「生命保険のカラクリ」を、ネット生保の副社長が解き明かす。
    かけ捨ては損ではない、保険料はどこも同じではない、保険にボーナスはない、途中でやめたら損とは限らない、などなど。

    序章
    第一章 生保のGNP―義理・人情・プレゼント
    第二章 煙に巻かれる消費者―誤解だらけのセイホ
    第三章 儲けのカラクリ―生命保険会社の舞台裏
    第四章 かしこい生保の選び方
    生保をさらによく知るためのコラム集
      コラム1 生命保険契約者のセーフティーネット
      コラム2 生命保険の約款
      コラム3 生命保険会社が倒産したら
      コラム4 保険料の決まり方
      コラム5 生保会社に値段をつける―バリュエーション
      コラム6 生保の未来―リスク細分
      コラム7 民間医療保険の将来
    ネット生命保険の可能性―あとがきにかえて

  • 某大手生命保険会社の自社ビルから大勢の人が出入りしているのを見ると、「あの人数に給料払うのって大変だよな。それって顧客が払う保険料から出てるんだよな」と考えずにはいられない。

  • 生命保険の商品は最近の携帯電話の料金プランに似ている。自分の支払いの内訳が複雑すぎてわからないし、判明している部分が適正なのかも判断しづらい。

    私が理解した範囲で本書の内容をまとめると、

    昔は保険会社はどこも横並びだったので、営業職員の人柄などで保険の加入を決めるのも合理的と言えたが、今は人海戦術をとらないネット生保もある。果たして安くない人件費まで負担して大手保険会社の保険にするか、そういった負担の少ないシンプルな保険にするか。

    また、日本では公的な社会保障もあるため、民間の保険はそれを補完するものとしてとらえるべき。あるいは、自分では貯蓄できない人が保険料という形で強制的に貯蓄できる、という効用はあるかもしれないが…あまり合理的とは言えない。

    死亡保障・医療保障・貯蓄について、それぞれどれだけのお金が必要なのか、どのように備えるのかを考えるようにする。保険で貯蓄を考えるというのは、低金利の時代には賢いとは言えず、再び金利が高くなって高利回りの貯蓄性商品が出てくれば、検討してもよいであろう。

    と、こんな感じかしら?

    外国では、健康優良体かどうか、喫煙者かどうか、で保険料に差が出てくることがある、というのは初めて知った。それだと、私なら結構安くできそうなんだけど。“日本的”っていうのも、いいことばかりじゃないんですね。

  • ネット生保のライフネットの副社長が書いた生命保険の本


    考えれば当たり前だけど、
    「かけすてじゃない保険にも保険分の価格が上乗せされてる」
    って、見過ごされがちだ。

    かけた金額より多く戻ってくる設定になってるからお得感を感じてしまう。


    生保レディを大量投下するビジネスモデルが、
    消費者のためではないとバレてしまった今、
    旧態依然とした日本の「セイホ」がどう変わるのか、
    市場規模30兆を誇る生保業界の今後の動向に注目したい。

  • 生命保険業界の旧態依然とした高コスト体質を暴いた名著.「『日本の生保各社の用いている生保標準生命表の死亡率は実際よりも20%以上も高い』ところから生み出される莫大な死差益によって逆鞘が埋められている」,というくだりは圧巻.

  • わかりやすい!

    コスト構造、どの程度の保険に入るべきかわかった。

  • 無料で公開されていたので、それをダウンロードして少し読んでみたら、興味を引かれる内容だったのですが、パソコンのモニターで読むのに疲れたので、書籍を購入して読んでみました。

    こちらの書籍は、ライフネットを立ち上げられた岩瀬さんが、以下の項目について一般人向けに説明したものです。
    ・日本の生命保険の歴史や市場の特性
    ・生命保険・医療保険の機能・仕組み
    ・日本の生命保険会社のビジネスモデル
    ・日本における生命保険の選び方

    ポジショントークと思われる箇所もあったが、非常に簡潔に分かりやすく説明してあり、生命保険とはどういうもので、自分の立場ではどのタイプを選び、どの程度の金額を掛けるべきなのかよく分かりました。

    個人的に印象に残った箇所は、下記の通り。
    ・典型的な生命保険は、保険料の35~62%が、生命保険会社の経費・利益に当てられる。
    ・「保険」は発生確率は低くとも起こると経済的損失が大きい自体に対して備えるもので、「貯蓄」は起こる確立が高い将来の出費に備えるもの。
    ・保険は、法律によってセール・割引が禁止されているので、保険料の金額は保険会社の手数料の部分で差が出る。
    ・日本の生命保険各社が、保険料を算出する際に用いている死亡率は実際よりも20%以上高い。

    橘 玲さんの「世界にひとつしかない黄金の人生設計」の生命保険の章にも、似たような内容が記載されていますが(内容は少し古い)、ポジショントーク的なところはなかった気がします。
    あと生命保険に関しては、後田 亨さんの「生命保険のウラ側 (朝日新書)」も面白そうなので、あとで読んでみたい。

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著者プロフィール

ライフネット生命社長兼COO

「2014年 『楽しい仕事はない。だから楽しくやる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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