代償的自己を生きる 「いい人に見られたい」症候群 (文春新書 724)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607242

作品紹介・あらすじ

「偽りの自分」を生きていると感じる-。「期待されている自分像」を懸命に演じながら、一方で、「本当の自分」は別にいるはずと悩む人に贈る、人生を「自分の人生」として実感できる方法。

感想・レビュー・書評

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  • 途中までブッ刺さって、途中から慰めてくれる
    全体的に優しい、自分が傷つけられるのを恐れてることを分かってくれてる

  • 人にとって正しいことを書いてある本は劇薬だと思う。
    劇薬は人を選ぶが、僕にとってこの本は間違いなくそうだ。体が震え呼吸も荒ぶり目を何度も見開きつつ、読み進めていったのが懐かしい。

    「代償的自己」とは期待された役割を生きる自分のことであり、いわば「偽りの自分」である。僕の場合、この世界を生きるためこれまでは「偽りの自分」を生きなければならなかった。

    僕がこれから目指すことを、本書風に言えばこうだ。
    「偽りの自分」を否定せず受け入れ、「偽りの自分」と「本当の自分」を「統合」していくことだ。

    小説家の石田衣良はこう言う。
    ー自分がいいと思うものに、しっかりと金を使う。そこからしか、大人の文化は育たないのですー

    あなたの劇薬とならんことを。

    自分の基準で生きることはそんなに悪くないと今では心から思う。
    なぜあなたに勧めるかって?「本当の」僕が望んでいることだからだ。

  • 人は誰しも代償的自己を形成する。自己が健全に発達する条件は養育者への愛着であるが、それが得られないときに何とか得ようと偽りの自分を演じる。偽りの自分を演じることで現実世界との乖離が生じ、外界、言葉、思考が離れていく。偽りの自分を演じる人は周囲の関心を得るために努力家で社会的評価が高いことが多い。しかし、
    その評価は「偽りの自分」に対する評価であるために自己価値観が低くなる。また、
    他者が気に入るように偽りの自分を演じており、決定権が他者にあるので自己無価値観を持つ。代償的自己を生きる人がより一層自分になるために
    1偽りの自分と「本当の自分」の統合
    これまでと違う本当の自分に離れない。今を生きている、周りに影響された自分が自分である。異世界転生して自分らしく…なんてことはない
    2人に尽くす
    代償的自己を生きる人は親のせいで、という被害者意識を持ちがちである。他者への感謝を持とう
    3自分探しではなく自分つくり
    現実の中での交流によってのみアイデンティティが確立される。
    4自己信頼
    自分の感じたことを大切にし、自分の感情に浸り、自分のよっきゅや衝動を表だし、自分の願望や夢の実現を目指して進む

    5人とつながる
    代償的自己を生きる人は何か面白いことを言わないとなどと、思いがちだ。あるがままの自分で人と接するようにしよう。
    6愛情を深める
    幻想的な愛ばかり追い求めず、現実的な愛を求める
    7無力感の克服
    代償的自己を生きる人は他の生き方をするのは無理だと思いがち。代償的自己を生き抜いてきたあなたは、自分を制御し、ほかの人の期待に応えるために努力する力がある。その力を自分のために使ってみなさい
    8自分を生きる
    人は誰しもユニークな面を持つが、他者はみんなと同じであることを求める。そうしたことを気にせず、自分を信頼し、自分が満足できることに力を注ぎなさい。

  • じーんときた。

  • 日々生きていて感じるモヤモヤを言語化してくれている。自分のことを見透かされているような感覚で、共感できるところが多く、終始頷きながら読んでいた。自分とは何か、他者との関わり方に悩んでいる人におすすめ。
    印象に残った部分は、私自身、学生で友人と話す時には気を遣ってなかなか自分の内面を出せないが、筆者は、自分の本当の感覚を大切にすることが重要だという。相手は内面を出してくれているから信頼してくれているんだと感じるそうだ。
    他にも、恋愛について、親と子の自立、具体的な行動の方法なども書かれている。

  • 著者は「ねもときつお」と読みます。
    タイトルに共感をおぼえた人はひとまず読んでみるべし。優しい文体で包むように説明してくれるので少し泣きたくなってくる。
    第5章からは実用的な部分も多く、参考になる。
    偽りの自分も自分自身であり、受け入れる…分かっちゃいるけど中々難しい。
    人と接することに疲れた時はこの本を開きたい。

  • タイトルは適当ではないかも。
    自分が編集者なら『自分は探すものではなく、つくるもの』と名づけるかな。

    [メモ]
    "偽りの自分"とは理想と現実のギャップの狭間に生まれる。
    もしかしたら、理想とする"本当の自分"が高すぎるから生まれるのかもしれない。

    "「自分」と感じるものを抑制した形で外界に適応する自我の部分"を《代償的自己》という。
    それは思春期以降に気がつくことが多く、社会との折り合いをつけていく最中で出てくるものだ。周囲(=世間?)からの期待に応じようという情動は成長の証と捉えてもよいのかもしれない。

    思考の中心は「〜がしたい」という欲求になるのが自然だが、"代償的自己"に於いては「〜すべきか」という自分への要請(周囲からの)が中心となる。

    つまり、役割を生きているのであり、外界へ気を配っている心算でも実は引きこもっているのである。



    自分に価値があるという感覚=自己価値感欲求を満たすことが人生を形作る。
    "自己価値感欲求"と対極にあるのが"自己無価値感"とでも呼べる感情であり、これに囚われた人生ほど辛い人生もないだろう。
    人は誰しもかけがいのない自分が無価値だとは思えない。
    なので、そう思えてしまった時に"本当の自分"というのを作り出すのだろう。

    ・自分の感情が軽んじられていると感じられた時
    ・他者に隷属してしまった時
    ・「〜になったら」「〜したら」(Ex.「弁護士になったら」「大學に合格したら」)という条件付の自己価値感では今ここに居る自分に価値観を感じることは出来ない。


    人生には苦しみ、悲しみがつきものだ。
    だが、自己価値感を取り戻し、自分を信じることによって自信を得て、それらを乗り越えていかねばならない(超越)。
    それには、代償的自己と「本当の自分との橋渡しをして、融和を図ること(統合)が必要で、
    ・「偽りの自分」を自分として受容すること。
    ・自分と自分の生活の現実的な変容を図ること。
    ・自己信頼による自己価値感の獲得。
    が欠かせない。

    自分は探すものではなく、つくるもの。

    自己信頼の力は存在への自身・自己充足の喜びにつながる。
    自分を知ることが肝要で、その為に著者はTIPSとして以下の三つをあげる。
    ・自分を縛る禁止令を意識する。
    ・自分の性格のルーツを知る(性格形成に影響を与えた他者の相関図を描く)。
    ・自分・自分の感覚を信頼する。自分の感情を尊重する。自分の感情を表出させる。
    ・草や木、山や川といった自然と繋がる。
    ・自分の身体の感覚を尊重する。*自己スキンシップ(自分をソフトに愛撫するイメージ)。
    ・愛に現実的であること。


    自分の人生においての価値を分析すること(欲しい物を列挙し、それがどんな感情と結びつくのか。)も有効だ。

  • 著者が言う、代償的自己の性格の形成、当人が抱えている問題点、対処方法まで包括的にのっていて素晴らしい!

  • 事例から人の精神的問題を考察するもの。発達、特にEricksonの発達課題を中心として展開される。
    幼児期・児童期・青年期までに注意が向けられ、その時期に形成される自我同一性の拡散について述べられている。

    難解なことは何一つ語られていないために読みやすく、心理学・精神医学等に触れたこともない人間でも問題なく読み進めることができると感じた。ただ、説明的であり、行間を読む力を要されるために、読書習慣の無い人が読むには苦しむかもしれない。

  •  自己啓発本的な感じなんだけど、心理のプロが書いてるだけあって、個人の抱える「今の自分は本当の自分じゃない」という問題を精神論で片づけたりはしない。母親との愛着の問題など、本人が生まれ育ってきた家庭環境に問題の主たる原因を求めている。
     「あー、なるほどね」と思えるところもあるんだけど、いかんせん具体的なデータがなく、著者の経験で語っている感が否めない。でもまあ、読み終わると少し前向きになれるけどね。

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