神様は、いじわる (文春新書)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607259

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  • 916(闘病記文庫・疾病49)膠原病

  • 日本テレビ「スッキリ!!」のコメンテーターとしておなじみの「さかもと未明」さんの半生記。
    仕事、病気、家族など、リアルに描かれています。
    読んでいて少し勇気をもらいました。

  • さかもと未明さんが育った家庭は、居心地の良い家ではありませんでした。
    酒を飲むと酔って暴れ、母を殴る父。
    殴られても抵抗できず、ただ黙って我慢する母。
    妹と弟が一人ずついる長女は、父親と激しく対立します。
    その未明さんを理解してくれたのは、年老いた祖母だけでした。

    早く家を出て、自立したい。
    家を出て、それまで貧しかったために諦めていた漫画家にも、どうしてもチャレンジしたい。
    安定した企業に勤めることを求める親の了承を得られず、未明さんは勘当同然で家を出ました。

    持ち前の負けん気と努力で、漫画家として仕事も入るようになっていた矢先、身体に不調を覚えました。
    大学病院での診断は、「全身性エリテマトーデス」。聞いたこともない難病でした。

    「あの、で、どうしたらなおりますか?」
    そう聞く未明さんに、医師は、
    「なおらないから、難病なので、でも悪くならないように最大限努力しましょう」診察した蘆田医師は、答えました。
    「全身性エリテマトーデス」と「強皮症」は「膠原病」の典型的な症状です。

    子どもの頃から、親から自立することだけを考え、同じ年頃の女性たちと一緒に遊んだ経験のない未明さんには、友人はいません。
    病気になったからといって、だれにも頼ることはできませんでした。

    次第に、身体は疲れやすくなり、漫画家の命である手は強張り、思うように動かせなくなります。
    発病の苦しさに加え、出版不況により、これまでの仕事も次々打ち切りになります。
    なぜ、こんなに辛い目に遭わなければならないのか。
    絶望的になったときに、手を差し伸べてくれる人もいました。

    「拉致問題」を取材し、ルポを書いたときに知り合った横田滋・早紀江夫妻は、娘めぐみさんと同年齢の未明さんと親しく接してくれました。

    尊敬する漫画家の先輩、槇村さとる先生は、苦境の未明さんをやさしく包んでくれました。

     「先生、未明がんばるね」
     いうわたしの手を、先生はそっと握ってくれた。「ほんとうに冷たいね。なんでこんなになるまで働いたの?」
     と悲しそうにいってくれた。先生は人の心に寄り添うことを知っていた。
     わたしはそれをずっとできなかったから、だからそういう人間らしい気持ちを少しは勉強するように、神様病気をくれたのかもしれなかった。
     わたしも槇村さとる先生の何分の一かでも、人にやさしくなりたい。

    一人で、頑なに生きることを選んできた未明さんですが、難病になり、人に閉ざしていた心を開くことを覚えます。
    いまでは、両親とも和解し、家を出て以来会ったことのなかった、成長した弟にも会いました。

    もっと、人を信頼していい。
    神様が、未明さんに教えてくれたのかもしれません。

  • [ 内容 ]
    漫画家、TVタレントとして活躍中のある日、突然の難病の宣告。
    何にもなくとも人は生きていけるというポジティブ境地にたどりつくまでのこころの軌跡。

    [ 目次 ]
    プロローグ 痛み
    第1章 それは幸運のさなかに
    第2章 いじめられっ子
    第3章 ゴミ屋敷の住人
    第4章 神様は、いじわる
    第5章 心の整理と荷物の整理
    第6章 後悔しない生き方をもとめて
    第7章 神様のおくりもの

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • メディアの中の明るいイメージしかなかったさかもと未明さんの自伝。本屋でなんとなく立ち読みしてやめられなくなり、そのまま購入、いっきに読んでしまった。

    父親の暴力、幸せそうに見えない母親。結婚に夢が持てない、子供も欲しくない、早く家から自由になりたい。父親の暴力こそなかったけど、自分と似ていて驚いた。そうそう、私もそう思ってた・・・っていうことばかり。

    でも私には、さかもとさんみたいな一途ながむしゃらさはなかった。仕事に懸ける情熱も全然足りない。

    人って、表面だけじゃほんとうに分からないと思った。ファンになりました。頑張って欲しい。

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著者プロフィール

作家、漫画家

「2014年 『まさか発達障害だったなんて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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