司馬遼太郎 リーダーの条件 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2009年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166607266

みんなの感想まとめ

テーマは「リーダーの条件」でありながら、実際には司馬遼太郎への愛情が溢れるファン同士の対話を楽しむ内容です。特に座談会形式で進行するため、参加者たちが司馬が愛した日本人について気軽に語り合う様子が魅力...

感想・レビュー・書評

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  • 奥付をみると奇しくも2009年の今日(11月20日)に第1刷発刊と記されていた。ちょうど10年前の本だ。

    といっても、本書の内容は、司馬遼太郎の作品で取り上げられている歴史を作ったリーダーたちについて、真の歴史好きのメンバーが語り合う座談会の内容が収められたものであり、10年たったからといって全く古さは感じない。

    リーダー論に関わる話であるので、時の首相・小泉首相という名前が出てきた一行くらいが一瞬、違和感を感じたくらいだ。

    4つの座談会が収められていて、最初の座談会のテーマが、「日本のリーダーの条件」、2つ目は「司馬遼太郎が愛した日本人」、そして3つめの座談会と4つ目の座談会は、特に「坂の上の雲」についての座談会となっていた。

    3つ目の座談会では、当時の文春のアンケートで、「日本を見つめ直す最良の歴史書はなにか」というアンケートで「坂の上の雲」がトップとなったことやNHKドラマ化の経緯からこの座談会が行われたようで、国家のありようなどを中曽根元総理などもメンバーに加えて語り合われている。

    4つ目については、「坂の上の雲」の主要人物、秋山兄弟、東郷平八郎、児玉源太郎の子孫が集まっての語らいとなっている。

    自身としては、最初の2つの座談会が非常によかった。やはり歴史を愛する人が歴史を語り合うのを聴く(=読む)のは本当に面白い。博識であるが、それをひけらかしあうのではなく、司馬遼太郎という作家、その作品、そこに登場する人物を共通テーマとして語るということで、深みが増してくるというか、語り手のメンバーも至福のひと時を味わっているかのようである。

    司会の半藤一利氏も、司会にのみ埋没していられなかったようだ(笑)。

    日本のリーダーということで、幕末のリーダーが次々と登場する。坂本龍馬、勝海舟、西郷隆盛、大久保利通、桂小五郎、土方歳三、高杉晋作、大村益次郎、河井継之助などの面々、それに「坂の上の雲」の登場人物らだ。

    座談会メンバーが選ぶ好きなリーダー5人というコラムもあったが、それぞれのメンバーが選ぶ5人も、かぶっている人物も多少いるものの、人によって人選は違うから面白い。

    司馬さんに「誰が好きか」というような質問をした際の答えとして「誰と決めることはできない」という趣旨の答えが印象的だった。「人それぞれによいところも悪いところもあり、人それぞれだ」と。「時代によってリーダーは変わる」とも。歴史は、さまざまな個性によって編まれているのだなと改めて実感できた。

    司馬さんのスタンスについて語り合われているところも興味深かった。司馬さんは関西出身で、家康よりも秀吉というように関西ひいきがあるという見方(笑)。また、型にはまったエリートより型破り的な人物を好むという関西人気質が現れているような評価もあった。

    特になるほどと思ったのは、新聞記者出身の司馬さんとしては、世にあまり知られていない人物を取り上げて、その本質を世に示し、たちまちヒーローにしてしまうのがあたかも新聞のスクープを取るスピリットに近いといった意見だ。坂本龍馬や、大村益次郎は、司馬小説によって有名になったのだということを知り、司馬さんの小説の力の凄さを改めて知った次第である。

  • 司馬さんを愛する方達が、寄ってたかって司馬さんの考えを読み解くところが楽しかったです。特に“司馬遼太郎が愛した日本人”の座談会が好きです!

  • この本を「あるべきリーダーの姿」を模索して買ってしまった人は拍子抜けするかも(だいいち、リーダーについて語り合っているのは最初の一章のみ)。司馬遼太郎ファンが「司馬さんが本当に好きだったのは誰だと思う?」と、きゃっきゃいいながら語り合っているファン交流会の議事録のような本であり、誰も口角泡を飛ばして「理想のリーダー」など論じていないからだ。ただ、おしゃべり会といっても、揃った論客が歴史マニアばかりなので、史実や雑学が次から次へと飛び出してきて飽きない。座談会の傍らに座って、楽しそうにおしゃべりをする老人立ちを眺めているような気分になれる本。

  • 坂の上の雲は未読なので4章以降は読んでから読む。個人的には勝海舟派だが司馬遼太郎が主役として書いてない理由が分かった。乃木希典の立ち位置が最後までぶれてるね笑

  • 昨今のリーダー、特に国政における総理や野党のリーダーシップには疑問を呈する意見が多い。事実、政治はカネの問題やら靖国問題など、余程リーダーたるものが態々国民の血税を投じて開かれる国会の場で長い時間を割いて討論する内容とは言い難い。勿論、その渦中にある政治家たちが悪いのは当たり前だが、責め立てる野党党首も、それはもう別の時間にやってくれ、どうせ攻める相手の信用は地に落ちているからもう良いよ、と言いたくて仕方なくなる。そういう人達がリーダーの国は何も決まらない、何も進まない、課題は減るどころか時間の経過と共に増えるし、そうこう言っている間にも日本の借金は利息だけでも増え続ける。果たして何を安心材料に無駄な時間を過ごしているのか、国民からはよく分からない。そしてあれだけ騒いだ与党の派閥問題でも、何故か解散もせずに生き残ったその派閥が再び権力を握るなど誰が想像しただろうか。初の女性総裁誕生も背後に鎮座まします権力の陰に、その栄光も霞んで見えてしまう。そして企業のリーダーも賭博やら違法ドラッグやらセクハラといったとても企業の存在価値、社会への貢献とは真逆の意味なき理由で去っていく。その企業に所属した社員は無意味な処理雑務に追われ可哀想になってくる。
    本書はそのようなだらし無いリーダーばかりの現代に投げかける、あるべきリーダーの姿について、司馬史観と呼ばれるまでに日本史を作った司馬遼太郎氏の著作を中心に著名人が座談会形式で語らい合う内容となっている。その対象は坂本龍馬、勝海舟に始まり、西郷隆盛、大久保利通、桂小五郎、土方歳三、高杉晋作、陸軍産みの親である大村益次郎、河井継之助、そして日露戦争で散々な死者を突撃の繰り返しで出した乃木希典、反対海戦史に残る戦術でロシアバルチック艦隊を撃滅した秋山真之。騎兵戦の第一人者である兄の秋山好古など、壮々たるメンバーについて、これまた司馬遼太郎好きの現代の歴史家、政治家、リーダー達の子孫などこちらも壮々たるメンバーが集まり語らい合う、といった内容となっている。勿論タイトルにあるとおり、それらリーダーが如何にしてリーダーたる地位を築き上げ、後世に名を残す振る舞い(リーダーとしての条件)をしたかを、司馬遼太郎氏の著作に登場する人物像として語る内容である。司馬史観と言われる位だから、どこまでが史実で何処からが想像上のものか判断は難しい。それについては座談会の開催者である故半藤一利氏が解説を加えながら進められる。
    正直なところ、日本人の多くは司馬遼太郎氏とその著作からそれら登場するリーダー像を確立している人が多いだろう(坂本龍馬などは龍馬が行くのイメージがそのまま定着している)。だがそれは司馬遼太郎の単なる理想を描いたものではなく、様々な文献から得られた史実に近いイメージ像を基に、それら登場人物になりきった司馬氏が描いたものであり、正に理想、リーダーの条件を鮮やかに描き出したものである。それに現代のリーダー達が憧れるのは、そうした傑出したリーダーの不存在と、ならば自分がそうなりたいという願望の現れであると感じる。かくいう私も同じく、自分に足りない悩ましい実力をどうにもできない自分を認めるからこそ、本書を開いた様なものかも知れない。
    本書はこれからリーダーを目指す人への参考書にもなり得るし、既にリーダーとして多くの課題に直面する人にも解決の糸口を探る鍵となるかも知れない。私も今行き詰まっている最中だから。

  • 「坂の上の雲」の秋山兄弟など司馬遼太郎が書いたリーダーについて識者などが語り合う座談会です。

    印象に残った言葉としては、作家の関川夏央さんの「司馬さんは体質として青春小説の作家であるということです。明るく前向きで、坂道を上っていくような人間を好む。だから竜馬のようなキャラクターが好きなんです。」などがあります。

    「坂の上の雲」はまだ読んでないので、いい予習になりました。

  • 「竜馬がゆく」「坂の上の雲」等で司馬遼太郎が描いた、幕末・明治期のリーダー達を座談会形式で論じた書。2003年~2009年に「文芸春愁」誌に掲載。

    司馬遼太郎の作品を再読したくなった。

  • 司馬遼太郎、最近は読んでいないな。一時は読んでいたと思う。印象に残っているのは『竜馬がゆく』と『風の武士』か。『坂の上の雲』は一巻のみ。『翔ぶがごとく』も『花神』も『世に棲む日日』も読んでいない。本書に述べられたことから、まだまだ読んでいない作品、読んでみたい作品があるものだな、と思った。

  • 司馬遼太郎作品の近現代史作品からいろんなリーダーの書き方を討論。

  • 冷静で素晴らしく、勉強になった。

  • 鼎談形式なので、気楽に楽しめる。特に明治の偉人の子孫たちがこれだけいることに驚いた。

  • 司馬遼太郎の本の中に出てくる幕末のリーダー達の描き方や司馬遼太郎の想い、坂の上の雲の秋山真之の言葉や日露戦争で大きな失策を犯した乃木大将たちの神格化が幕末・明治を知らない昭和の戦争に与えた影響などが座談会形式で語られ、私の習わなかった歴史空白を少し埋めてくれとても興味深かった。
    坂の上の雲の子孫たちの座談会、ラストの論文も重複する部分もあれどそれぞれの家にどう伝わっているのかが面白かったり。司馬作品は実は全然読んでないので読んでみようと思ったし、彼の作品の人物に対する傾向なども先にこの本で知れて良かったと思う。

  •  司馬さんの有名な作品はだいたい読みました。「俄」と「尻淡え孫市」は知りませんでした。面白そうなので、今度読んでみます。

  • [ 内容 ]
    『坂の上の雲』の秋山兄弟、『世に棲む日日』の高杉晋作、『翔ぶが如く』の西郷隆盛、『竜馬がゆく』の坂本竜馬…。
    大転換期を迎えた今こそ、国民作家が愛した救国の指導者たちは輝きを増す。
    その魅力を半藤一利、磯田道史、関川夏央、田中直毅らが語り尽くす―。

    [ 目次 ]
    大座談会1 司馬遼太郎日本のリーダーの条件(半藤一利/吉田直哉/田中直毅/関川夏央/磯田道史)(「天の意思」が命じた―坂本竜馬、勝海舟;政治における悪の効用―西郷隆盛、大久保利通、桂小五郎 ほか)
    大座談会2 司馬遼太郎が愛した日本人(半藤一利/山内昌之/磯田道史/水木楊)(知謀のひと―竹中半兵衛、大村益次郎、秋山真之;トップの男―織田信長、島津斉彬、西郷隆盛 ほか)
    大座談会3 偉大なる明治の「プロジェクトX」(半藤一利/中曽根康弘/櫻井孝頴/尾崎護)
    大座談会4 秋山兄弟、東郷、児玉の子孫大集合(秋山哲兒/大石尚子/東郷宏重/穂積重行)
    『竜馬がゆく』『坂の上の雲』に見る指導者の条件(鴨下信一)(指導者の能力―秋山真之のアカウンタビリティー;指導者の仕事―東郷平八郎が示した「最終目標」 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 昨年はNHKの大河枠がひたすら司馬遼太郎に染まった1年であったということで。良くも悪くも司馬氏の歴史観は日本人の根底に多かれ少なかれ流れているのだと実感。氏の小説中の人物はあくまで「司馬氏が見た○○」であることを忘れるべきでないわけだが、それをある程度客観的に分析している本と言える。司馬作品ファンでもこれを一読するとまた新鮮な気持ちで作品を読みなおせると思う

  • 司馬遼太郎さんの本を読んだ人は読まなくてもよし。
    龍馬がゆく、坂の上の雲を読んだことのない人は読まない方がいい。

  • つまらない大人たち。数字で戦争のよさ、悪さを語るなんて。

  • 文藝春秋の大座談会と鴨下信一氏の書下ろしからなる作品である。

    主に半藤一利さんが司会役をつとめ、テーマは、司馬遼太郎 日本のリーダーの条件、司馬遼太郎が愛した日本人、偉大なる明治の「プロジェクトⅩ」、そして、秋山兄弟、東郷、児玉の子孫大集合の大座談会と、『竜馬がゆく』『坂の上の雲』に見る指導者の条件が鴨下氏の書き下ろしだ。

    司馬さんの作品をこよなく愛する人々が座談していて、司馬さんがどういう思いで作品を積み重ねてこられたかなど思い思いに語っている。

    鴨下さんが言った、司馬さんを再読、三読することが、より司馬さんの言いたかったことを深く理解できるのでるとの言葉が印象的だった。

  • 「よき夢をみさせようぞ」秀吉の口癖117
    指導者の能力1.説明能力 2.最終目標 3.人を集める
    極端なコトバに踊る日本人74

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著者プロフィール

磯田道史
1970年、岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年4月より国際日本文化研究センター准教授。『武士の家計簿』(新潮新書、新潮ドキュメント賞受賞)、『無私の日本人』(文春文庫)、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、日本エッセイストクラブ賞受賞)など著書多数。

「2022年 『日本史を暴く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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