「田島道治日記」を読む 昭和天皇と美智子妃 その危機に (文春新書 744)

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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607440

作品紹介・あらすじ

占領下、初代宮内庁長官に就任した田島道治が密かに記した日記。天皇の退位問題、「謝罪詔勅」の真相、マッカーサー解任の衝撃、宰相・吉田茂との連携…、そして退任後の皇太子妃選びまで昭和史の秘話満載。

感想・レビュー・書評

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    ── 加藤 恭子/田島 恭二・監修《「田島 道治日記」を読む
    昭和天皇と美智子妃 その危機に 20100318 文春新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4166607448
     
    ── 田島 道治《昭和天皇 拝謁記 1948-1953 》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/**********
     
     Tajima, Michiji 18850702 愛知 東京 19681202 83 /宮内庁長官 1[]
    /194806‥ 宮内府長官 2/実業家、銀行家、教育家
     田島 譲治 道治の長男/学習院大学名誉教授/妻・周子は松岡洋右の長女
     田島 恭二 道治の次男/
    https://www.weblio.jp/wkpja/content/%e7%94%b0%e5%b3%b6%e9%81%93%e6%b2%bb_%e5%ae%b6%e6%97%8f%e3%83%bb%e8%a6%aa%e6%97%8f
     
    …… 昭和天皇《拝謁記》入手、語れなかった『戦争への後悔』の言葉
    を記した新資料が! 軍が勝手に動いていた様を「下剋上」と表現して
    いて、それを早く根絶できなかったことへの悔恨の言葉があったという。
    ── 《ニュースウオッチ9▽ 20190816 21:00-22:00 NHK》
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190816/k10012038471000.html
     
    https://twitter.com/awalibrary/status/1162338490199109632
     
    …… 筆者は民間出身で、戦後つくられた日本国憲法のもとで、1948年
    から5年半にわたり、宮内庁やその前身の宮内府のトップを務めた。
     
    …… 長官就任の翌年から5年近く、昭和天皇との具体的なやりとりや、
    そのときの様子などを手帳やノート合わせて18冊に詳細に書き留めて、
    NHKは遺族から提供を受けて近現代史の複数の専門家と分析した。
     
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190816/k10012038471000.html
     
    …… 芦田均首相によって宮内府長官に任命される。昭和天皇は宮内府
    長官・松平 慶民と侍従長・大金 益次郎を交代させることに難色を示し
    ていたが、芦田は宮中改革を実行するために交代を断行し田島が宮内府
    長官、三谷 隆信侍従長のコンビが成立した。その後、宮内府は宮内庁
    と改称され、宮内省時代の官僚機構も縮小・改変されるが、田島は占領
    時代にあって、芦田の後、首相になった吉田 茂と密接に連絡を取り合い、
    戦後の天皇、皇室を取り巻く諸問題に当たっていった。弱音を吐かない
    ことでは天下一品と言われ、従来、侍従職などのいわゆる「オク」の力
    が強い宮中、宮内庁で長官官房に権限を集中させた。
     
    “宮中クリスチャンコンビ”三谷 隆信(新渡戸&内村門下)、田島
    (宮内庁長官)、三谷(侍従長-1965)は、田島が宮内庁長官の後任に
    クリスチャンの宇佐美 毅を指名、「田島-三谷」から「宇佐美-三谷」
    にリレーされ、宮中の民主主義教育の促進や美智子皇太子妃の実現など
    の功績を残すことになった(Wikipedia)。
     
    (20190817)
     

  •  本書は、昭和の敗戦後の初代宮内庁長官を務めた「田島道治日記を読む」と題された「昭和天皇」と「皇族」をめぐる考察であるが、戦後の「昭和天皇のあゆみ」を内側からみた考察として興味深く読んだ。
     敗戦後の昭和天皇の「退位」をめぐっては、いろいろと様々な動きがあったことがわかってきているが、多くの周辺がみな納得しなければ昭和天皇は「退位」することもできなかったのだろう。GHQやマッカーサーとの関係も含めて、本書は日本の戦後史の一面と言えるだろう。
     「天皇のおことばをめぐる攻防」を読むと、「天皇のおことば」というものが単なる「言葉」にとどまらず、実に政治的なものであることがよくわかる。
     マスコミで流される「天皇のおことば」は、事前に多くの関係者との調整を済ませた上で語られる実に重いものであるということは、現在でも同じなのだろう。
     しかし、本書を読んで、「田島道治日記」記載の重要事項はこれで全てなのだろうかという疑問を持った。
     昭和20年から昭和28年までの戦後の激動期に「宮内庁長官」を努め、その後も「皇太子妃誕生」や「苦悩する美智子妃」と皇室に様々に関与した人間の「日記」にしては、驚くような新事実がないようにも思える。
     本書の監修は「田島道治」の子息。著者は、「田島道治」関連の著作三冊を出版しているそうだが、親族との過剰な関係からの配慮はなかったのだろうか。
     本書には「昭和天皇の回想録については入江相政日記の中で拝聴録と呼ばれるものがあったことが知られている」とある。
    現在の宮内庁は「そういうものはない」と主張しているようであるが、その存在は「卜部亮吾侍従日記」でもその存在は確認されているという。「菊のカーテン」はまだまだ健在ということなのだろうか。
     昭和天皇の行跡については、現在でもまだまだ知るべきことは多いと思う。
     本書が、「初代宮内庁長官の日記」からの考察であるならば、もっと驚くような事実の発掘があるかもしれないと思って読んだが、その点だけは期待はずれだった。

  • 昭和の大恐慌があった。愛知銀行の常務だった田島道治は日銀総裁で
    あった井上準之助が設立した昭和銀行頭取に任命され、最大の金融恐慌
    を乗り切りった。

    その手腕を買われたのだろう。先の大戦後、初代の宮内庁長官に就任する。
    皇室最大の危機の時代である。

    そんな時代に昭和天皇の傍にいて、GHQ及び日本政府を相手として
    皇室を守る為に尽力した人の日記から時代を読み解く。

    昭和天皇の退位問題、最高司令官を突然解任されたマッカーサーの
    皇居訪問問題、皇太子(今上天皇)の英国訪問にまつわる問題、
    そして、皇太子妃選び。

    日記の記述は非常に簡潔なものだが、皇太子の立太子の儀に臨んだ
    日ではこれまでの苦労が込み上げたのか「ベソ」との記述があるのが
    苦心を感じさせる。

    頑なに皇居訪問を拒むマッカーサーに憤り、「臣・茂」とまで署名して
    皇室を重んじた吉田茂とも時には対立し、庶民出身ながら昭和天皇と
    皇室に尽くした人は昭和28年に退官する。

    その後も美智子妃誕生に関わり、旧態依然とした皇室に嫁いだことで
    心身共に疲れ切った美智子妃を支える。

    混乱の時代の貴重な記録だが、タイトルがしっくりくない。副題と入れ替え
    たらよかったのにな。

    尚、長官退官後、ソニーの会長職についているのだが会社で用意した
    車を私用では一切使わず都電とバスを乗り継いでいたそうだ。

    こんな会社会長、今の時代にいるかぁ。

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著者プロフィール

加藤 恭子 (かとう きょうこ)
1929年、東京に生まれる。
1953年、早稲田大学文学部仏文科卒業と同時に渡米・留学。
1957年、ワシントン大学修士号。フランス留学、再渡米を経て1961年、帰国。1965年、早稲田大学大学院博士課程修了。1965年からマサチューセッツ大学。
1973年から上智大学講師。専門はフランス文学。
現在 (財)地域社会研究所理事、「加藤恭子ノンフィクション・グループ」代表。
第43回日本エッセイスト・クラブ賞、第11回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞、
第65回文藝春秋読者賞受賞。
著書『英語を学ぶなら、こんなふうに』(NHKブックス)
『アーサー王伝説紀行』(中公新書)
『「星の王子さま」をフランス語で読む』(ちくま学芸文庫)
『やさしい英語のリスニング』(ジャパンタイムズ)
『日本を愛した科学者—スタンレー・ベネットの生涯』(ジャパンタイムズ)
『老後を自立して』(NHKブックス)
『田島道治—昭和に「奉公」した生涯』(阪急コミュニケーションズ)
『昭和天皇「謝罪詔勅草稿」の発見』(文藝春秋)
『ニューイングランドの民話』(共著、玉川大学出版部)
『直読英語の技術』(阪急コミュニケーションズ)
『昭和天皇と田島道治と吉田茂—初代宮内庁長官の日記と文書から』(人文書館)など

「2006年 『昭和天皇と田島道治と吉田茂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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