日本人へ リーダー篇 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1447
レビュー : 163
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607525

作品紹介・あらすじ

なぜリスクをとるリーダーが出ないのか-危機の時代こそ歴史と向き合え!21世紀の「考えるヒント」40本。

感想・レビュー・書評

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  • 週刊誌連載のエッセイをまとめたもの、同じような話が何度も出てくるのは仕方ないかな。
    古代ローマの歴史には詳しくないが、もっと知りたいという気持ちになった。そっち方面の著書を読んでみたい。

  • ☆2(付箋8枚/P254→割合3.15%)

    あのローマ帝国が何故滅びたのか、通して書き終えた著者の視点は現代にもいかんなく生きる。
    ローマから比べれば、アメリカの文化も寛容ではない。

    日本の政治に対しても、
    “人を代えようと、奇跡が起るわけではない。
    誰が最高責任者になろうと、やらねばならないことはもはやはっきりしている。
    ならば、政策の継続性を保持するためだけでも、政権交代は避けたほうがよいと思うのだ。政策のちがいはあると言う人がいるが、私にはそれは、何を優先するかのちがいにすぎないように思える。”
    と述べる。ユリウス・カエサルの先見と個人の力をつぶさに見た著者からすれば、十把一絡げに見えるんだろうなあ、今の政治家。

    ***以下抜き書き***
    ・アメリカ合衆国は多くの人種の混合体であり、ゆえにアメリカ人は多民族との共生に長じているとの見方は、私には大変に疑わしい。
    アメリカ人は、自分たちの国に来て仕事をしたいと願っている他民族との共生には慣れていても、アメリカには行きたくなくあの国とは関係を持ちたくないと思っている他民族との共生となると、その成果としては半世紀昔の日本を持ち出さざるをえなかったことが示すように実績にとぼしい。

    ・しかし、このローマ帝国でも滅亡を免れることはできなかった。だが、これほども手をつくしたうえでの崩壊だからこそ、なぜローマは滅亡したのかという議論が、今に至るまで絶えないのである。そして、これだけは厳たる史実だ。近代の帝国は植民地が次々と独立したことで帝国でなくなったが、最後まで属州の離反がなかったローマは、帝国として滅亡したのだった。
    (戦争で勝利した属州に市民権を与え、指導層には家門名や元老院の地位を与える。基地を作り、属州民と兵士の混血をすすめる。このローマ帝国を彼らはラテン語でfamiriaファミリアと呼んだ。)

    ・アメリカでは何でも豊富なので、その効率良い活用となると鈍感だ。しかもこの鈍感は、これから味方にしなければならない人々に対しても同様なのは、たとえ肉体的には生存していようと統治的にはゼロにできたサダム・フセインの存在を、大きくする時間的余裕を与えてしまったことが示している。

    ・そのうえ、部下たちをやる気にさせる心理上の手腕。人間は、苦労に耐えるのも犠牲を払うのも、必要となればやるのです。ただ、喜んでやりたいのです。だから、それらを喜んでやる気持ちにさせてくれる人に、従いていくのです。

    ・私には、キリスト教とイスラム教という一神教同士の抗争の根の深さは、ローマ帝国、つまり古代はいつ終わりを告げたのかをめぐる諸説にさえも見え隠れしているように思えるのである。
    忘れてはならないのは、ローマ帝国の事実上の終焉はキリスト教が支配するようになった四世紀と考える人は、政治と宗教は別物と考える政教分離主義者に多い。一方、イスラムが後世に出てきた七世紀だとするのは、これとは反対の考えをもつ人々である。

    ・「いかなる分野でも共通して必要とされる重要な能力が、一つある。それは創造力だ」とは私の言ではなく、五百年前にマキアヴェッリが遺した言葉である。

    ・なぜ「情けない」かというと、重要極まりない問題も賛成反対の論争を重ねていくうちに本題から離れ、賛成派も反対派も問題の本質を忘れてしまうところなのだ。日本滞在中に郵政民営化に関する国会の委員会の討議をテレビで見ていて、またそれを解説するマスコミの記事を読んでいて、衰亡途上のローマ帝国を前にしているのと似た想いになった。

  • 塩野さんが2006年頃に連載していた記事。経済力を高めることに注力みたいな簡単にそんなこと言えるのは素人だからなってゆうとこと、やっぱローマ史やイタリア生活を通して養われた人物を見る力ってのは参考になる。

  • 文藝春秋連載のエッセイ集。イタリアに住む著者の視点から、日本への鋭い批判、提言が面白い。印象に残った記述を記す。
    「ユリウス・カエサルは、言っている。「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない」
    「なぜか、危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない」
    「情報に接する時間を少し節約して、その分を考えることにあててはいかが」

  • 文藝春秋への寄稿文(2003/6-2006/9)をまとめたもの。時事テーマである、戦争を通じて、政治について考えさせられる一品。

    以下注目点
    ・意思を持続させるエネルギーの中で、最も燃料効率が良いのは私利私欲。
    ・相手がどう考えどう出てくるかを知って”勝負”に臨むのは、ゲームに参加したければ最低の条件である。
    ・派兵の目的はいずれも軍事ではなく政治にあるのでは共通しているのだから。
    ・「やる」ことよりも、「やりつづける」ことのほうが重要である。
    ・体力、国家にとっての経済力、の回復が必要不可欠になる。
    ・政策の継続性の欠如こそが三世紀のローマ帝国にとって、諸悪の根源であったのだった。
    ・大義とは、客観的ではなくて主観的である場合はなはだ多し。
    ・アレクサンダーとカエサルは、敗者さえも納得する大義に変えた。
    ・他の国が大義と言おうが日本だけは心中でせせら笑い、それでいながら冷徹に国益を考え、その線で行動することだけである。
    ・伸縮自在な距離を保つということは、手段の目的化という、専門家を事象する人々の犯しがちな誤りから、自由でいられるやり方の一つではなかろうか?。
    ・傲慢とは、心中にひそむ劣等感の裏返し。
    ・「いかなる事業といえどもその成否は、参加する全員が利益を得るシステムを、つくれたか否かにかかっている。」
    ・「自分ならばどう考えるだろうか」を、あらゆることのスタート・ラインにしてみてはどうであろうか。
    ・政治とは、個人ではできない事柄を代わって行うことでないか。
    ・魚は頭から腐る。ローマ帝国末期に起こった真の悲劇。

  • 2010/09/24

  • 著者塩野七生女史の文芸春秋の連載をまとめたもの。連載時期は2003年6月から2006年9月ということもあり、時に小泉純一郎が日本国首相であり、ジョージ・ブッシュがアメリカ合衆国大統領であったこともあり、たびたび登場する。また、ローマ時代のカエサルや敵将ハンニバルもたびたび登場する。マキヤベリの引用もところどころ出てくる。

    本書を通じて一貫して著者が主張していることは、民主主義は血であがなうことである、ということであるように思う。湾岸戦争で多額のお金を出した日本が認められないのはなぜか?なぜ、日本の民主主義はこうも堕落してリーダーシップあふれる真の政治家が少ないのか?に対しての答えとなる。

    著者はローマ時代の専門家だ。ローマ共和国では、市民は政治に参加する権利を有していたが、ローマのために戦う義務も負っていた。市民ではない周辺地域の住民は、政治に参加する権利もなかったが戦う義務もなかった。

    日本の民主主義は、権利だけが尊重され、義務が置き去りにされてしまっている。

    本書は雑誌の連載の再掲でしかないにもかかわらず、連載終了後4年経過した後に新書として出版したというのは、いかがなものかと思う。


    「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。
    多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない。
    ユリウス・カエサル」

    2013.11.02 借りる
    2013.11.12 読了

  • 一つ一つが非常に短い短編になっているので読みやすい。
    あまり知らないイタリア人の特性が読み取れて面白かった。

  • 塩野七生の本(特にローマ人の物語)は、読んでみたいなと思ってはいるのだが、なかなか手が出ないでいる。手始めは軽く読める新書から。

    「野心」やるべきと信じたことをやること
    「虚栄心」よく思われたいこと
    両方持っていてもよいが、問題はどちらが大きいか、小さいか
    理想形は、つまらないこで「虚栄心」を満足させ、重要なことは「野心」で勝負する。

    肝に銘じておこう。

  • 難しいなぁ。
    薦められ本。
    でも、ローマの本は読んでみたいと思った。

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