ユニクロ型デフレと国家破産 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2010年6月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784166607594

感想・レビュー・書評

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  • ☆☆☆☆
    【グローバル化は外からやっては来なかった】
    正社員は非正規雇用者への転落を恐れ、非正規雇用者は海外の低賃金労働者と競合し「豊かさのなかの貧困」に陥った。こうして社会全体に不安が広がりつつある。一方、マネーの万能性が喧伝され、マネーを生まない人間や活動が否定されがちな社会に変わっていくのであった。
    ところが、グローバル化は外からやって来たのではなく、グローバル化に適応するために自らの生き残りをかけて、グローバル・ジャングルのもっとも先鋭的な部分に自らを組み込んできたのである。


    物の値段、人(労働力)の値段をめぐって、激烈な競争がデフレを助長することは、私たちを取り巻く、“歯止めなき安売り競争”をみても、容易に理解される。
    ただ一方で、金融の世界もグローバル化されていく。かつてないほどの規模で金が世界をかけめぐり、金融を共有する時代が現代であると同時に、利益を求めて、儲かるところに集中するのが金の本質であることを考えると、資産インフレが非常に起きやすい。
    この“実物デフレ”と“資産インフレ”が共存することは、歴史的にみて極めて特異な情況であるが、これが第三次グローバル化時代“の経済の大きな特徴である。


    一蓮托生で世界は衰微していくことを。私たちは21世紀になって10年のうちに学んだ。
    『ミネルヴァの梟は黄昏どきに飛び立つ』
    ローマ神話の知性の女神、ミネルヴァの使いである梟はのイメージ。
    21世紀になってまだ、20世紀の黄昏を引きずっているこの世界に、新世紀の本格的な夜明けを告げる梟は、まだ飛び立っていない。それを阻むのは「強い国家であれば問題を解決してくれるのではないか」「どこかでまたバブルが起きれば、地球経済はうまく回り始めるのではないか」という、われわれの“切り替わらない心”である。
    新しいもの、未知のものは誰しも怖い。しかし、地球上のすべての人間がともに手を携え、「あまねき富の均霑」という頂上を目指して山をのぼっていくために、われわれはいまふもとの薄暗がりの中に立っている。新しい智慧の到来を告げるミネルヴァの梟を、勇気をもって飛び立たせてやらなければならない。
    今がその時だ。智慧の女神とその使者が、我々を待っている。

  • 2010年刊行。覚書。➀30年程度、米国が必要としたドル高幻想に日本は加担。現在もドル高幻想を維持しようとする米国の思惑は強い。ただ、米国輸出振興のためのドル安の可能性は危機管理として必要事項。②グローバル化の進展がデフレ亢進の主要因。が、グローバル化は是正不可だし、人・物・金の保護主義は全体の経済力を低下。③ニクソンショック、レーガノミクス、グリーンスパンは注目検討要。特に後二者。④アイスランドは反面教師に。独(メルケル)・仏(サルコジ)の米国流を咀嚼する手法、蘭の労働政策は参考に。⑤三方一両損の発想。
    aバブル論と史的展開、bニクソンショック以降の経済事象分析は興味深い。また、提言の基本としての、三方一両損の発想には親近感。ただ、雇用創出に関する提言が余りない。加え、グローバル企業等、事業体として収益を得た地域における納税の問題も余り書かれない。公共サービス(法人も同様に享受)に対する対価について、収益を上げているのにただ乗りするのは納得しがたいので…。著者は同志社大学大学院ビジネス研究科教授。

  • 読書レポート:ユニクロ型デフレと国家破産 (文春新書) 浜矩子 著 | デジたろうとピアノ http://digitaropiano.luna.ddns.vc/digitaropiano/?p=4535

  • 知り合いが述べていた「ユニクロを発端とするデフレ」を表題に掲げていたため、興味深く思って購入。
    私自身、デフレというものに対する関心が、ここ最近急激に高まっています。

    ユニクロをはじめとする安価を売りにして成長してきた企業の登場により、国内に終わりの見えない低価格合戦が繰り広げられている。
    まわり回ってそれは国民の生活を逼迫している。
    背景となった世界的情勢や、日本がとるべき姿勢について著者なりの考察を示す一冊。

    2010年の発刊ですが、見事に現在の世界情勢に当てはまる分析がなされており、説得力があります。
    日本という成熟した国におけるこれまで通りの輸出主導の国内経済立て直しには、自分も常々疑問を持っています。
    著者が主張する「開かれた小国モデル」は世間の評価を受けづらい考えかと思いますが、少なくとも新境地を模索する一参考にはなっていくのではないかと感じました。
    グローバル社会の負の側面を分かりやすく表している点も評価が高いです。

  • 富の均霑 地域通貨
    ドルのハーフサイズ化

  • リーマンショック後、人類史上かつてないグローバル恐慌下で何が起きているのか。見極めることもなく、状況分析に基づいた処方箋もないまま、古びた感性と硬直した頭脳から導かれた経済政策がただ闇雲に打ち出された。バブル崩壊から繰り返されている巨額の経済政策を場当たり的に行うのみで不良債権処理は遅々として進まず、国債残高だけが爆発的に増え、新たな金融暴走の元凶となっている。かつての常識が通用しなくなったグローバル経済の中にあってどのように取り組んでいくかを示唆に富むレトリックで導いてくれる。

  • 金本位制をやめたときから、新型デフレが始まった。
    ドルの価値が今のハーフサイズぐらいに縮小するまで、
    資産インフレ、実質デフレは続くと言う。

    解決策は、ヨーロッパの小国家を見習うことではないかと。
    日本では道州制よりも、もっともっと小さな単位で、
    地元の強みを生かした独自の政策をすべきだというのが、
    著書の考えだ。

  • ユニクロの980円ジーンズ代表されるような際限ない値下げ競争による企業の消耗戦を嘆き、現在の世界同時デフレを過去の歴史の反省と共に分析。今後日本が取るべき政策・向かうべき方向を提示する本。

    ユニクロの話題は導入扱い。
    『通貨を知れば世界が読める』で著者の「1ドル50円構想」と「基軸通貨なき地域分権」に初めて触れ、興味があってこっちも読んでみたのだけど、正直微妙。

    著者の主張は大体こんな感じ?
    ・銀行のマネーゲームが恐慌を引き起こし、ついに国家財政まで圧迫した
    ・実勢にそぐわないドルの過大評価を止め、日本は円高下で安くモノを買い、付加価値をつけて輸出すべき
    ・グローバル化への過剰反応が現在の日本のデフレを作った
    ・大国不在の促進(「潰しあい」から「分かち合い」へ)
    ⇒これからは国家単位ではなく各地域の共同体が北欧の様な「開かれた小国」モデルを採用し、地域分権を進めるべき
    ・基軸通貨制の否定(ドルの「金本位制下の金」化)

    グローバル化否定しながら開国を提言してるし、
    そもそも今の世の中地域共同体って無理じゃないか、と思う。
    一瞬で世界中を情報やカネが駆け巡る時代に、共同体と言う小さな集団、そしてそこから発信されるモノの影響力って維持できるのか、と。

    なんて言うか著者はアメリカ否定したいだけなんじゃないかとかそんな気が。

  • 政治は経済にとって医者ではあっても、設計者にはなりえない。

  • 合成の誤謬からいかに脱却するか

    ipadは中国で作られる。Ipadが売れるほど米国は貿易赤字になる。
    グローバルな時代に国別の貿易収支にいかほどの意味があるか。

    ドルの清算がおこる。1ドル50円に。

    あまねき富の均霑を目指すべき。

    実物デフレと資産インフレが同時進行する。

  • ドルは50円ぐらいがちょうどいいという浜矩子著。

    ・今の消費生活は、合成の誤謬(個別レベルでは正しいことが、全体としては必ずしも正しい結果につながらない)で、自分さえよければいい病。
    ・歴史は、形をかえて繰り返す。
    ・結束を誇示しなければならない時ほど、実は結束は危ういのが世の常。

    現在の自分さえよければいいから→三方よし・三方一両損。

    とりあえず、ドル売りから入ろう。

  • グローバルな世界が進行してきた過程がよく理解できた。今までの新聞・雑誌の話では具体的な話でも、全体の流れがわからない。今後の世の中の変わり方をできるだけ想像し、ただ単に、世の中がこのようになったのみで済まさなく、今後自分の対応の仕方を考えるようにしたい。追ー今日新聞を読んでいて、記事の内容(ユーロ)がある程度理解出来ているのにビックリ、よく考えると、この本のおかげかと思い至った。22年6月発行の本で現在をある程度説明できることに驚いています。学問手このようなためにあるのかと考えさせられました。-あまりに自分が今まで、そのようなことに関心がなかったのかも?

  • 現在のデフレの正体がなんとなく解る一冊、企業が自分だけ生き残ろうとする競争がやがて世界の市場に悪影響を与えるという恐ろしい話。

    日本が、国家破産秒読みとも取れる状態である事が解った。

  • お正月には濃い本。日本の借金は世界的に見てもすごい。
    本当に返せるの?「なんとかなるさー」という国民性?

    それにしても浜さんの語り口調は初めてだけれど、ばさっと切る。読みやすい。

    今後の方向性が楽しみ!

  • 先行して読んだ「グローバル恐慌」と基本的な主張は同じ。
    岩波のものに比べてより読みやすく分かりやすく感じました。
    「ユニクロ型デフレ」と名づけた意味はよくわからない。
    というか、ちょっと昨今の新書の思わせぶりネーミングに
    のっかった感じがします。ユニクロが発端ではあるだろうけど、
    それをあえて言う必要性が感じられませんでした。

  • 日本だけでなく世界的な経済の状況を理解することができた。
    グローバル化することは経済的には世界が狭くなり、
    生き抜くためにその場しのぎでデフレが進行…

    根本的な解決策は明示されず残念

  • タイトルから、もうちょっと柔らかい経済の本かなぁと思っておりました。
    が、固い話し。

    ギリシャ、アイスランドを代表とするEUの経済破綻。
    このところ(10年8~9月)の円高。
    インド、中国の綱渡りな経済発展など

    よ~くわかります。

    10/09/04-124

  • ユニクロのような安もの買う癖を日本人に覚えさせたユニクロの罪は重い。もう元に戻れなくなる。
    中国は豊富な低賃金労働力を売りものに、世界中から投資を呼び込んで、21世紀の世界の向上となった。ロシアもまた国家をあげて、外資を取り入れながら、資源開発を積極的に行い、世界有数の資源輸出国に踊り出した。
    レーガノミクスがもたらした財政膨張と、その帰結としての高金利はアメリカに世界の金が集まる仕組みを創った。
    PIGS: ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン
    STUPID: スペイン、トルコ、UK、ポルトガル、イタリア、ドバイ
    中国やインドが存在感を増しているといっても、体力のある若者が発散する勢いが見せる存在感であって、世界紛争や今回のグローバル強行のような経済危機の局面において調停役を務めるにふさわしい器には育ちきれていない。
    国家の役割として最終的に残っていくのは、医療や介護を含めた弱者救済の仕事ではないだろうか。

  • 浜矩子さんは常に東アジアの統合過程によるデフレを宣伝しているが、どの本を見ても理論的根拠が謎???
    日銀総裁の白川さん同様にヘーゲルの「ミネルヴァのふくろうは黄昏どきに飛び立つ」という言葉がお好きなようです。
    ビッグマウスで目下の経済の危機的状況を語るのだが、対処策は地域主権方モデルや地域通貨の構築や人の考えの変化など分権型を目指すことになるといういたってありがちなもの。

    同志社の講演会に出席して直接お話をお伺いした方なので、いい人に違いないが、いい経済学者なのかは不明です???

  • グローバル経済の歪みと日本政府の経済政策の失敗。実力以上にふくらんだドルの価値によって根拠のない繁栄を続けてきた世界経済の破綻。前半では問題は複雑に絡んだ諸問題を解説している。後半ではそれに対する日本の対処法を挙げているが、地方分権による発展というだけではいささか楽観的すぎるのではなかろうか。ルクセンブルグなどヨーロッパの成功している小国を例に挙げて、各自治体がそうした「開かれた小国」となることを推奨しているが、具体的な方法は各自で考える、というレベル。ヨーロッパの例にしても経済的に安定しているドイツ、フランスなどの大国があってこそ、小国も成立しているのではないだろうか。解決法はまだまだ見えない。

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著者プロフィール

1952年生まれ。同志社大学大学院ビジネス研究科教授。
主著=『新・国富論――グローバル経済の教科書』(文春新書、2012年)、
『老楽国家論――反アベノミクス的生き方のススメ』(新潮社、2013年)。

「2014年 『徹底解剖国家戦略特区』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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