- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166607617
作品紹介・あらすじ
硫黄島総指揮官・栗林忠道の「ノイローゼ→投降→部下による斬殺」説は本当なのか?『散るぞ悲しき』では描けなかった名将の最期が、新たな取材と資料によって初めて明らかになる。ミステリーのようなスリリングな謎解きと感動のドラマ。
感想・レビュー・書評
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「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官栗林忠道」2005年新潮社では描けなかった名将の最期が、新たな取材と資料によって初めて明らかになる。
硫黄島からの生還者、大山純は復員したあと昭和21年8月3日付で硫黄島で栗林中将とともに最後の総攻撃をした模様を栗林家に手紙で知らせていた。またその後直接夫人と息子に会い死の状況を語っていた、それを長男の太郎氏はメモしていた。
それをまとめると、米軍上陸後1カ月以上ひたすら耐えて守りに徹した末、最後の拠点を敵に包囲されて栗林が決意した、ただ一度の総攻撃。総攻撃の10日ほど前に司令本部から第145連隊本部壕を出て、西海岸の断崖絶壁にそって南へ向かう。大山軍曹は栗林の後になり先になり進んだ。途中敵の砲火を浴び部隊は散会する。大山軍曹はその時「狙撃をして攻撃せんか」と傍らの高石参謀長に命じるのを耳にした。それが最後に聞いた栗林の声だった。大山軍曹は散弾に倒れそれ以後栗林を見失った。しばらく彷徨い戦闘指揮所に着くと「兵団長戦死」との報を聞いた。栗林は足に被弾しある軍曹の肩を借りて前進していたが、出血多量で絶命したという。出撃前に「私の屍を敵に渡すな」との命通り、高石参謀長が近くにあった木の根元の弾痕に埋めたという。
今回映画、生還者の手記、後世の取材記、と見たり読んだりしてみた。いずれも当時を振り返っているものだが、戦争の因果関係などの歴史的考察は別として、事、戦場の生生しさ、空虚さでは生還者の手記に及ぶものは無いと感じた
2010.7.20発行 2010.8.25第3刷 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
硫黄島戦の専門家である著者による、「散るぞ悲しき」の続編。硫黄島に関する5つのドキュメントが記載されている。梯久美子氏の記述は極めて正確で、表現に違和感がない。厳格、誠実な分析が行われており、洗練された文章に感動した。
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私にとって最近になく読みごたえのある骨太新書。梯さん「散るぞ悲しき…」を読んだ方は是非!
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2017年8月31日読了
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この本の中に収録されている出来事は、
あまりにも重くつらい。
衝撃的なことも収められている。
平常時であればあり得ないだろう出来事も書かれている。
戦争は、実際に関わった人も、残された人々にとっても
長く深い傷を残す。
未だ癒えぬ傷を持っているのは外国の方々ばかりではない。
私達のすぐ側で、今でも祈り、慟哭している方々がいる。
そのことを忘れてはならない。
外国から非難されるのを避けるために、
慰霊や鎮魂を祈るのではなくて
自国で犠牲になられた方々、ご遺族となられた方々
本来なら巻き添えになるはずも無かった方々
(国籍を問わず、外国の方も含めて)
全ての方の心が少しでも安らかならんと祈る姿勢を
忘れてはいけないと思うのだ。
自国の犠牲者の苦しみを真剣に
悼むことも出来ない人間に、他国への苦しみを
思いやれるはずも無い。
国内での犠牲(軍人だった方も含めて)に対して
祈ろうとすると、すぐ国粋的な評価をされてしまうのは
とても残念だ。
戦争で命を奪い、あるいは奪われた人や
愛する人を失った人はみな、同じように
大きな痛みと傷を負っていると思う。
傷を受けた状況が違うだけで。
だからこそ、絶対にもう戦争などあってはいけないのだ。
誰ももう、傷つけないために。 -
『散るぞ悲しき』の完結編とみるべきかもしれないが、これ自身は独立して読むことも可能である。
5部構成で、ドキュメント1が『散るぞ悲しき』の補遺。ドキュメント2〜4はその余録。ドキュメント5は皇室とりわけ皇后陛下と戦没者たちをめぐるルポでこの本の白眉と言えよう。というか、皇室を巡るルポの中でも最も本質に迫る素晴らしい一編であろう。
いまさら硫黄島で何があったかは繰り返さないが、戦争とは何かとともに、兵士とは、軍人とは何だったのかを考えさせられる。著者はジャーナリストとして、『散るぞ悲しき』以上に抑制の利いた文章運びを心がけているのだと思うけれど、それゆえに涙があふれた。 -
前作の補足と後日談のような内容。
散るぞ悲しき が良かったから読んだ!
面白い。 -
「散るぞ悲しき」の外伝的内容。
栗林中将の死に様、その異論を検証するとともに、その他の将校にもスポットを当てたドキュメント。
同じ小笠原師団でありながら父島との違いが興味深い。
硫黄島でこそ狂気の沙汰が繰り広げられていてもおかしくなかっただろうに・・ -
『散るぞ悲しき』の続編てことだけど、前作よりルボ色が強い。文藝春秋の記事なので仕方ないか。ドキュメント5は、よく書いたなと感心した。
著者プロフィール
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