中国の地下経済 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166607716

作品紹介・あらすじ

〇八年の金融危機後、低迷する日米欧を尻目に、再び急成長を回復した中国。その原動力となったのが「地下経済」だ。アングラマネーの域に留まらず、政府や中央企業とも密接にかかわるこの地下経済を知らずして、真の中国経済は語れない。その深奥部に切り込む、本邦初の画期的レポート。

感想・レビュー・書評

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  • 世界が不況の大波に翻弄される中、一人中国だけは、大きな危機に直面することなくやり過ごしてこられたのには、奥行きの深い地下経済が緩衝力として作用したと考えられている。地下経済は表のGDPの半分近くの経済規模を持っており、昨年、日本は中国に追い抜かれたと大騒ぎであったが、実質的には遥か前に既に凌駕されていたこととなる。異常に高い債権回収率の裏に潜む驚愕の換金術。官僚の形式的地位より遥かにものをいう含金量という尺度。雇用さえも支える潜在力。地下経済は今の中国に必要不可欠なものとなっているが、憂うべき病巣も同時に抱え込んでいる。子供を誘拐すれば死刑にもかかわらず、僅かな儲けのため犯罪に手を染め、貧しさの前では死刑さえ犯罪抑止に効果がないこと。メイドインチャイナは溢れているが、中国ブランドでなければならないという物がこの世にはないということ。どの国も高度成長の過程では、個人経済が経済発展に大きく貢献するのが一つのパターンとなっていたのが、中国の場合これがない。個人消費の弱さと伸び悩みは高い成長を続ける中国経済の深刻なアキレス腱となっている。結果、安価で手頃な労働力を利用することで潤ってきた中国も、逆にその労働者によって今、苛まれることとなるのである。また、巨額の財政出動が格差拡大という大きな副作用を社会にもたらす劇薬であるにもかかわらず、格差縮小という長期的問題よりも当面の痛みを消す弥縫策を選ばざるを得ず、経済刺激策を打てば打つほど格差が広がっていくという隘路に追い込まれている。さらに富の偏在がいずれ大きな社会の時限爆弾となるとの認識が共有されていても議論については何も進まない状況が今も続いている。中国も決して安泰とはいえないのである。中国地下経済の明暗を、地下に通じる細い糸を慎重にたぐるようにアプローチを試み、偶発的なアクシデントの隙間から少しずつ情報を積み上げ全貌を解明してゆこうというのが本書である。

  • 怪しげな世界の話かと思ったら、実は表のGDPの半分の約200兆円、日本のGDPの1.5倍に及ぶと言われる民間金融が発達しているという話だった。著者は週刊文春などで活躍するフリージャーナリスト。文章が読みやすい。もっと読みたい。

  • 最近流行のシャドーバンキングって何だろうと思って本書を手に取った。今裁判を受けている薄熙来も重慶の掃黒作戦の指揮を執った人物として登場。中々興味深かった。
    習近平政権がシャドーバンキング撲滅に乗り出したなんていう記事をみるが、本書を読むと簡単に撲滅できるようなものではないことがわかるし、単に不正を正すといった単純な話でないこともわかる。

  • 『アンダーグラウンド』と簡単に言い切れない表に出ない中国のシステムが垣間見れた。
    表と密接に絡み合い、権力と衝突をしたり繋がったり、人々の生活と切り離せない程傍にある世界。

    この国は今後どう進んで行くのかますます分からなくなった。

  • 中国の実態がよく分かりました。

    中国でビジネスを行う上では必読の一冊ですね。

  • 中国は沿岸と内陸の二重構造だと思っていたが、今や表と裏の二重構造らしい。どちらにせよその大きさゆえにまもなく自身を支えられない時が来ると思う。

  • 知人の推薦書。法に従って商売が出来る、これがどんなけ限られた世界でだけできることか思い知らされる。予測可能性がゼロの社会。

  • 中国人に対する日本への観光ビザの発給要件が、9月からこれまで定めていた「職業上の地位」を削除し「一定の経済力(年収120万円程度)を有する」のみに緩和される。

    中国人の年収把握は非常に難しい。
    年収200万円程度と申請されている中国人観光客が大量に高価な買物ができるのは、当局に申告していない灰色収入と呼ばれる副収入が多いからだ。

    ちなみにどの国にも地下経済は多かれ少なかれ存在している。
     - 各国の地下経済のGDP比率(推計値) http://t.co/lYXvujU

    違法行為による経済規模は日本で約40兆円(GDP比 8%)。世界的にはGDP比で約20%に上る。

    「地下経済」の摘発や縮小がなかなか進まないのは地下に潜っているからじゃなくてあまりに「表」とつながっているからだ。本人ですら気づいていないケースもある。

    実際に日本の「地下経済」の過半数にあたる57%は暴力団なんかの犯罪組織じゃなくて個人による脱税だと推計されている。

    ほとんどの自営業者や個人事業主は自分が巨大な「地下経済」に加担しているなんて意識は無いのではないか。

    今はインターネットを活用したマイクロジョブで小遣い稼ぎをしている人が増えてきている。そんな副収入を申告しなければ立派な「オンライン地下経済(The Online Underground)」の住人になってしまう。

    何が地下で何か表になるのかというのは、何が犯罪となるのかという制度設計と密接に関係している。したがって不公平感を無くせるように制度を変えれば自ずと地下から表に出てくる経済活動は多くなる。


    第1章 地下金融の闇
    第2章 中産階級の明暗
    第3章 投資に群がる「官と民」
    第4章 深圳−香港ルートを追え
    第5章 マフィア掃討作戦の功罪
    終章 「地下」の実力とは

  • 09年春―.(冒頭の一文)


    中国の経済躍進を支える,統計外の経済を紹介する本.


    GDPの半分ぐらいの規模(200兆円)の地下経済がある.P69のこの言葉以外に地下経済全体を俯瞰する指標は何一つない.そして,本の内容の半分以上は,地下経済に関する内容か?と疑ってしまうほど,表の世界の話.まぁ政界の中枢まで地下経済が入り込んでいると言えばそうなのだろうが,イマイチな内容だった.

  • 表の金融が庶民や中小企業に行き渡らないところからヤミ金融が発生してしまうメカニズムの説明、それを利用する大企業、中小企業の実態。国営企業の幹部の高収入と乱費ぶり。目の前でみた地下銀行の手際の良さの驚き、重慶における地方幹部と現地マフィアの闘い、広東省での地下経済の旺盛な発展の様子など多面的な地下経済について関わる人物への取材を通して明らかにしていく。

    中国の経済力の発展に興味のある方にとっては興味の尽きない内容。

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