池上彰の宗教がわかれば世界が見える (文春新書 814)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608140

作品紹介・あらすじ

人はなぜ宗教を求めるのか?日本人は「無宗教」なのか?スピリチュアルブームの正体は?仏教、キリスト教、イスラム教の3大宗教から、神道、ユダヤ教まで、7人の賢人と池上さんが読み解いた。世界を正しく理解するために必要なエッセンスがこの一冊に。

感想・レビュー・書評

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  • 四大宗教について、生と死の捉え方について、様々なインタビューから自身の考察を交えたジャーナリストらしい著書でした。
    『死んだらおしめえよ』まさにこれ。
    上手く言い表せないのが宗教で、自身も崇拝するものは何も無い。考え方の一つとして、また救いを求めようとした際に寄り添ってくれるものが教えなのだろう。


  • 池上さん自身には賛否両論あるかとは思いますが、初心者向けの宗教解説はピカイチでしょう。
    定期的に宗教の話を忘れ、立ち返る際に読み直しています。

  • 著者の作品、ブクログ登録は3冊目になります。

    著者、池上彰さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    ---引用開始

    池上 彰(いけがみ あきら、1950年8月9日 - )は、日本の教授、ジャーナリストである。

    かつてはNHKで、社会部記者やニュースキャスターを歴任。記者主幹だった2005年で退職したことを機にフリーランスのジャーナリストとして各種メディアで活動している。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    人はなぜ宗教を求めるのか?日本人は「無宗教」なのか?スピリチュアルブームの正体は?仏教、キリスト教、イスラム教の3大宗教から、神道、ユダヤ教まで、7人の賢人と池上さんが読み解いた。世界を正しく理解するために必要なエッセンスがこの一冊に。

    ---引用終了

  • 本書は「宗教は『よく死ぬ』ための予習」であると締め括っている。「良く死ぬ」ためには「よりよく生きる」ことが必要であり、自分の死を受け入れるためには、死後の世界も考えなければならないだろう。日本の主な宗教には、神道と仏教があるが「よりよく生きる」という点では神道が、死後の世界を考えるという点では、仏教が中心的な役割を担ってきた印象を持つ。日本は神道と仏教のふたつが、いわゆる「日本宗教」を形作ってきたということだろうか。
    しかし、よく考えたい。仏教は、もともとお釈迦様が「生・老・病・死の苦しみから、何とか衆生を救わねばならない」と考えたのが原点のはず。とすれば、今の伝統仏教はその原点を忘れてはいないだろうか。僧侶たちは、病に苦しんでいる人たち、生きる勇気を失った人たち、悲しみに包まれた人たちにどれほど向き合っているだろうか。「葬式仏教」と揶揄されたり、観光産業化したりする一方で、仏教界はどれほど本来の役割を果たそうとしているのだろうか。人生の答えを求めようとする人たちを、神道や仏教関係者は快く受け入れてくれるのだろうか。
    あるアンケートで「何か宗教を信じていますか」という問いに、7割の人が「無宗教」と答えたという。しかし一方で、島田氏は「これだけ宗教が自然に根付いている国は、かえって珍しい」、養老氏は「(日本人の)無宗教の『無』は仏教の『無』」だという。池上氏がいうように、少なくとも「日本人は、日本人なりの宗教観、あるいは超自然的なものに対する畏れのような宗教意識をしっかりと持っている」ことは事実だと思う。「私は無宗教です」というと、キリスト教やイスラムの世界でどのような誤解を受けるのか。グローバル社会の中で、宗教について無関心でいることはできない。
    養老氏によれば「最近は、宗教以外の原理主義が出てきている」という。「唯一客観的な現実」「絶対の正義」をマスコミなどから信じてしまい、自分で判断する面倒を避けているからだ。危険な兆候であると思う。
    タイトルは「宗教が分かれば世界が見える」だが、日本の問題点も見えてくる。7人の宗教関係者等との対談形式が章立ての中心。特に、仏教関係者2人のインタビューはよかった。最後に、仏教界に訴えたい。「本来の社会活動」にもう少し熱を入れませんか?

  • 中国にはローマ法王公認のキリスト教(カトリック)と、中国共産党公認のキリスト教の2つがある
    カトリックは、一番偉い人がローマ法王とされているため、共産党第一主義に反する→弾圧の対象、バチカンと中国は国交を結んでいない

    アメリカも同様に、カトリック信仰の大統領は注意を払われる
    キリスト教原理主義者…聖書に書かれていることがすべて真実と信じる人
    聖書を進行する人…福音派(共和党支持者…妊娠中絶と同性婚に否定的)

    中東では、軍事独裁政権から民主主義による選挙を実施した結果、イスラム原理主義(反米、反イスラエル)が政治を握ることが発生している

    仏教は、語らない宗教、創造神はいないし、実践主義的。生きることを苦(思い通りにできないこと)とし、思いを整え、執着を小さくすることを説く。
    そして、そのために役立ちさえすれば、究極的には仏教さえも捨てていけとしている

    仏教は、ヒンドゥー文化の中で育った釈迦(仏陀)が作り上げた。輪廻をせずに解脱するなど、いくつか思想を共有している

    生・老・病・死…この四苦の源には欲望があり、欲望を減らしてコントロールすることが悟りに繋がる

    一神教は、この世の終わりが来た後、神が一人ひとり生前の行いを審判し、天国行き地獄行きを決める
    仏教は、輪廻の外にある仏の国(極楽浄土)への解脱を目指す
    一部の優秀な人間には、解脱せずに、この世に戻り、人々を救済する役目を負う。これを「菩薩」という。

    上座仏教…悟りを開くため出家し、他人との関わりを断つ
    大乗仏教…在家のまま、社会や他者と関わりながら苦悩の中生きていく→とらわれないことを理想とする

    イエスはユダヤ教徒
    旧約聖書→ユダヤ教の聖典
    仔羊を犠牲にして罪が許され、新年が始まる
    新約聖書→イエス(キリスト教)の聖典
    イエスを犠牲にして罪が許され、新しい世界の歴史が始まる

    ローマ帝国が2つに別れ、カトリック(西ローマ帝国)と東方正教会(東ローマ帝国)に分裂
    その後、カトリック教会の腐敗に立ち向かう形でプロテスタント教会が樹立

    神道…お祭りと神社を主とする、稲作と結びついた生活様式(天皇、日本書紀や古事記)
    産土型神社…共同体の安寧を願う
    勧請型神社…個人の幸福を願う
    個人の救済よりも、共同体の安寧が優先される
    神様は祖先の霊と自然
    そのため、人はみな死んだら家の神になる

    イスラム教…キリスト教とユダヤ教があったメッカで、ムハンマドがよみだし、その後迫害されメディナに聖遷。ムハンマドが死んだあとに信者が書き留めた言葉が「コーラン」

    イスラム教徒の見解…イエスやモーセは神の預言者に過ぎず、預言を正しく伝えなければならないのに、キリスト教徒やユダヤ教徒がきちんと伝えなかった。
    ムハンマドにコーランを伝え、そのまま保存しろと言った。
    →ムハンマドは預言者に過ぎず、崇拝の対象ではない。
    「ハディース」→コーランの参考書、ムハンマドの行動が書いてある

    スンニ派…話し合いで最高指導者(カリフ)を決めた
    シーア派…ムハンマドのいとこのアリーが後継者だ
    2つの派閥は教義のちがいはほぼないが、国の政治への利用のされ方で対立を生んでいる
    自爆テロをジハード(死んだら終末を待たずに天国へ直行できる)と考える若い層の増加

    死を考えるということは、結局どう生きるか、ということ。死に方と生き方は同じ。

  • 「宗教案内」
    著者が言われるようにこの本は色々な宗教を知るための入門書になってます。

    「旧い皮袋に新しい酒を入れる」
    お寺という地域資源をいかに活かすか。
    地縁もあり場所もある。
    介護保険制度の実施場所として最適なんですよね。
    まあ除夜の鐘が騒音とか言ってる地域では考えられないでしょうけど(苦笑)

    自分の宗教観を振り返ると雑多やなと思います。
    神道もあれば仏教もあれば新しい宗教もあります。
    でもこれといえば不動明王信仰かなと。
    ただ他人の信仰には敬意を払います。
    相手の宗教観に合わせて共に祈ることもできます。
    これが今の自分の宗教観やなと思います。
    深く考えさせられる一冊でした。

  • 報道屋さん・池上彰と宗教界(違うのも混じってる)との教義紹介対談集。

    よかった所:
    日本人の曖昧で重層的な信仰の所はよかった。
    揺るぎない信仰の人にはうまく説明しにくい寛容さが、世界にももっと広がっていけば悲劇は少なくなっていくのかなあと少しは思ったり思わなかったり。(ただ宗教上の覇権諍いと経済的な利権争いは切り離せないからな~どうかなー。)

    よくなかった所:
    タイトルが大袈裟で、”世界”よりも”日本”の、”社会”よりも”個人の生き方”というように、興味に偏りがあるなーと思う。あと対談ってポンポン話題が飛ぶので何かいい事聞いたような気になるんだけど、終わってみると結局何が重要なんだっけ?って感じになるのが「宗教」ってテーマとあってないかも。

    総評:
    強烈に面白かった訳じゃないけど、分かったような分からないような気になるので繰り返し読めるという点ではいいと思う。歳をとって来たら身に沁みる所もありそうだし。生きてる限り苦労は絶えなさそうだー。

  • 本の紹介動画のアドレスです。
    https://www.youtube.com/watch?v=XwzmDJwnDZc

    2022年4月に読む本で紹介しました。動画があるのでアクセスしてください。
    https://www.youtube.com/watch?v=dcuxPbpkaZ0

    内容紹介

    仏教、ユダヤ教、キリスト教からイスラム教まで。ビン・ラディン殺害や中東革命など、海外ニュースの背後には宗教が潜んでいる。そこで池上さんが、7人の賢者に、素朴すぎる質問をしてくれました。「南無阿弥陀仏」の意味は? 「最後の審判」は来ますか? 「コーラン」って何? 「葬式はいらない」の? 「いい死に方」って何ですか? 池上さんのやさしい解説で、究極の「人生のレッスン」が学べます。

    内容(「BOOK」データベースより)

    人はなぜ宗教を求めるのか?日本人は「無宗教」なのか?スピリチュアルブームの正体は?仏教、キリスト教、イスラム教の3大宗教から、神道、ユダヤ教まで、7人の賢人と池上さんが読み解いた。世界を正しく理解するために必要なエッセンスがこの一冊に。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    池上彰 1950年、長野県生まれ。慶応義塾大学卒業後、73年NHK入局。報道記者として、松江放送局、呉通信部を経て東京の報道局社会部へ。警視庁、気象庁、文部省、宮内庁などを担当。94年より11年間、NHK『週刊こどもニュース』でお父さん役をつとめ、わかりやすい解説が話題に。05年3月にNHKを退社し、フリージャーナリストとして多方面で活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    本の感想です。オフィス樋口Booksより転載しています。http://books-officehiguchi.com/archives/4691187.html

    ビンラディン殺害、IS(イスラミック・ステイト)、中東情勢などニュースを見ていると、キリスト教とイスラム教の対立のように見えるかもしれない。この本で対立の原因となっているものが見えると思われる。

    この本は第1章を除いて、専門家と池上氏との対談形式で進められている。個人的には第2章「宗教がわかる!ほんとうに「葬式はいらない」のですか?」が興味深い。近くの寺の住職と葬式について話をしていたとき、葬式を出す人が少なくなったという話を聞いたことを思い出した。 この本を読んでいると、葬式を出さない理由として、高齢になれば同級生が死んで少なくなるということで、参列する人が少なくなるのは当たり前という趣旨のことが書いていたので納得できた。他にも戒名でなぜ死んだら名前を変えるのかという疑問や戒名代など葬儀の相場の話など疑問に思ったことが分かりやすく解説している。

    他の章では仏教や神道についても分かりやすく解説しているので、読者の興味のある章から読み進めてほしい。

  • ニュースで中東情勢は頻繁にみるが、あの地域の宗教問題が
    さっぱり分からないので、取りあえずこれを読めば概略は掴めるだろうと思って読んだもの。
    ユダヤ教、キリスト教のカトリックとプロテスタント、イスラム教については、その歴史から説明していて入門編としてはちょうどよかった。
    もともと宗教の内容にはあまり興味はないのだが(いい死に方とか)、読みやすい対談形式なので、最後まで興味深く読むことができた。
    色々網羅しているので、情報量としては物足りないが、よい本だと思う。

  • 単純に宗教について勉強になった。
    神道だけでなく世界にあるさまざまな宗教を知ったうえで人に接することが違いを理解したり受け止めたりできる素地になると思えば自然に星4つ!!

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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