うほほいシネクラブ (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608263

感想・レビュー・書評

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  • 見ていない映画のレビューはやっぱり読みたくないので、とばし読み。そうなると、流れがわからなくて・・・。

    ブラックレインの松田優作の演技についてと、ライフ・イズ・ビューティフルの解説はゾクッとしました。

    改めて読みたいと思います。

  • 知らない映画の評も読ませる、というのが、文筆で印税を得ることができるか否かの違いであろう。『ホテル・ルワンダ』と品川プリンス日教組拒否事件とをリンクさせたのは秀逸としか言いようが無い。

  • 見てみようと思った映画。
    『スピード・レーサー』
    『モハメド・アリ かけがえのない日々』

  • 映画とは自身について語られることを欲望しているジャンル
    いはやは内田節全開。元大学教授で、専門はフランス現代思想ともなれば語り口はほほ〜んという感じで、あの時代の空気に触れ、エクリチュールに身を任せた人間なら楽しめると思います。

    かくいう私も前世紀から内田樹のブログの読者ですので、本書にも当時の「おとぼけ映画批評」で拝見した記事もいくつかあったような。

    一応、解説、評論、批評の形を取っていますが、これらは映画へのオマージュ、愛の表明に他なりません。満ち溢れたエネルギーは言葉の洪水となります。筆者自身、「言語によって映画の本質に肉迫することができるかもしれない。そんな期待を抱かせてくれる芸術ジャンルは他にありません。たぶん、僕たちが映画について語り止めることができないのは、そのせいだろうとぼくは思います」とあとがきで書いているんですから。

    映画は数多くの才能を引き寄せる磁場として、複数の作り手(「フィルムメイカー」)の夢見る糠床となる。いろんな手合いがそこに手を突っ込み引っ掻き捏ね繰り回すものだから、もはや誰のtasteであるのか分からないし、決めようがない。昔、角川春樹のメディアミックスという戦略で、“読んでから観るか、観てから読むか”というようなキャッチコピーがあったけど、読むのは原作本だけでなく「その映画について語られた無数の言葉」もまたその資格を持っているのではないか。
    筆者の言うように、僕たちのような「映画について語るもの」もまた「フィルメイカー」の一員として、その映画の構成要素の一つとして組み込まれている。だとしたらそれについてどこまでも知りたいと思うのは当たり前でしょ。なぜって、映画とは他ならぬ僕自身(=自己)なんだから。

  • 購読
    う〜ん、メモの合冊。

  • 見たことがある映画+ちょっと興味ある映画のところだけつまみ読み。
    読了としてよいものかとも思うが一応読了。
    それにしても、この人はなんでこんなタイトルにするんだろう。

  • ウチダタツルさん、読書に加えて映画まで。
    どうやったらこんなに大量のインプット・アウトプットが
    できるのだろう?

    で、映画評もひと味違っていて
    その映画からこんなことを考えるか?
    と意表をつくものばかり。

    西部劇からアメリカのジェンダー論を説くなど
    圧巻の映画論。

    映画を30分くらいで観られたらいいのに。

  •  積極的に読むつもりは無かったが、どうしても時間つぶしが必要な時があったため 何となく購入。先に『映画の構造分析』を読んでいたので、そこまでは期待していなかった。  しかし、確かにそこまででは無かったが、数行、数十行の批評の中になかなか興味深い話が 時々出て来るので、期待以上の内容であった。

  • やっぱりこのおじさまはタダモノじゃないです。
    すごく腑に落ちたので、引用(写経?)させてもらいます。

    ---以下、引用です---
    そろそろ中年にさしかかった間宮兄弟は「真性オタク」です。私見によれば、オタクの「真性度」は、オタク・アイテムのコレクションの充実とか、トリビア知識の多寡で計測できるものではありません。そうではなくて、「決して裏切らないもの」に対する忠誠の深さによって考量されます。
    オタクがもっとも愛するものは何よりもまず「精密で機能的なメカニズム」です。
    「間宮」という姓が「田宮模型」と「マブチモーター」という、日本のオタクたちが変わらぬ敬意を捧げる「決して裏切らないメカニズム」のメーカーに対するひそやかなオマージュであることに、みなさんはお気づきになりましたか?
    オタクは「決して裏切らないもの」に忠誠を誓います。
    ですから、オタク男性の最初(にして最大)の偏愛の対象がしばしば「母親」であるのも当然のことです。この映画では中島みゆきが間宮兄弟を圧倒的な愛情で包み込む母親を演じています。
    「若く美しい女たち」にも、もちろんオタクたちは強い固着を示します。でも、それは彼女たちの行動が母親とはちょうど逆の方向に首尾一貫しているせいです。つまり、「若く美しい女たち」は「オタクの一途な愛を歯牙にもかけず一蹴する」という仕方において、決して彼らの期待を裏切ることがないからです。
    いささか分析的な言い方になりますけれど、オタクたちはうっかりと「若く美しい女」との関係が好調に展開しそうになると、むしろそれを進んで台無しにして、「オタクに惚れる女はいない」という不易の真理を確認しようとします。むろん、本人たちは自分たちが無意識のうちにそんな行動を選択していることに気づいていません。
    (中略)
    ラストシーンで間宮兄弟は少し悲しげに「二人だけの世界」に予定調和的に閉じこもります。
    「必ずや彼らを裏切るであろう」という彼らの予想を裏切らなかった女たちのメカニズムの精密さにひそやかな賛嘆の念を抱きながら。
    彼らはまさに「お宅」(chez soi)に釘付けにされていることそれ自体から尽きせぬ快楽を汲み出すことのできる人々なのでした。
    オタク恐るべし。

    -----引用おわり-----

    っていやいや内田さんこそ、恐るべしですよ!
    メタでは「そうではない女性がいる」ことを知りつつ、「歯牙にかけず一蹴する」ことを証明しようとしてしまう。
    そういう端から見たらド阿呆な行動を無意識的にするのが非モテ男性なのです。反省、反省。

  • 映画の評論(?)って初めて読んだけど面白かった。
    新書なのにがっつり分厚い。でも読み易い。
    ひとつひとつの話があっさり短いからかな。

    好き勝手書いてらっしゃって楽しかった。
    そして内田さんの知識の量に圧倒される。
    これとあれとそれと全部知ってて、
    だから映画同士の繋がりも見つけられちゃって。
    別にそれをひけらかしてるわけでもないのでとっつきやすかった。

    中学生がお金握りしめてどきどきしながら観に行くような映画がいい、
    というようなニュアンスのことが書いてあって。
    それがすごくいいなぁって思った。
    かしこまってわかったふりで観るより、
    きっとそういうどきどき感を抱いて観る方が楽しい。

    観たい映画が増えました。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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