うほほいシネクラブ (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋
3.32
  • (9)
  • (12)
  • (36)
  • (9)
  • (0)
本棚登録 : 268
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608263

作品紹介・あらすじ

「映画は、映画について語られることを欲望しているジャンルである」が持論の著者が、長年、書きためた映画評の中から自ら厳選。画期的な小津安二郎論10本を含む187本。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 私の求めている映画評論本でなかったので私的☆は低めだが(著者自身が前説に映画のあらすじや背景に言及するものではないと書いているので著者のせいではないんです)、今回読んだ中のなるほどなあ文↓

    『エターナル・サンシャイン』について
    人間というのは不思議なもので、確定したはずの過去に「別の解釈の可能性」があり、そのとき「別の選択肢を取った場合の私」というものがありえたと思うと、なぜか他人に優しくなって、生きる勇気がわいてくるんです。

    『グラン・トリノ』について
    自分が何ものであるか、何ものに生まれついたのか、といったことは副次的な条件にすぎない。人間は自分を造形し、自分で演じるのである。私たちが「ほんとうの自分は何ものであるのか」といったことは問う必要のないことである。それよりは与えられた状況の中で、「自分がそうありたい人間」として、語るべきことを語り、なすべきことをなせ。ただし、どんなときもそれが虚構であることを忘れるな。

  • 素直な映画評って訳ではないから、特に何かがオススメされていたり、っていう本ではない。でも作者のファンとして、その目(フィルター)を通して見た映画観はいろいろ刺激的で、映画と全然関係なく思えるところに含蓄あるひとことが放たれていたりとか、主題とは関係ないところで気になる映画があったりとか、自分的には、これで十分に鑑賞欲を刺激される読み物でした。まずはやっぱり、黒澤・小津からですね。

  • 映画大好き人間の私ですが、あんまり他人の書評などは読みません

    映画の本はほぼ初めて位の一冊です



    著者が冒頭前書きでとんでもない頁数の新書になってしまったとおっしゃっている通


    新書にしては二冊分のボリュームがあると思います



    それぞれの作品にナルホドな意見がたくさんあって面白かったです



    あの映画はこの映画とストーリーが一緒だったのね とか

    このシーンはあの映画のオマージュだったのね とか



    ただ、見てない作品も多数あり、特に小津安二郎監督と黒沢明監督の作品がお好きな
    ようですが

    これに関してはちんぷんかんぷん

    ついでに韓国映画もほとんど見ていないのでよくわかりませんでした



    特に興味深かったのはアメリカの学園ドラマに関する考察です

    アメリカの学園ドラマ特融カースト制度について



    Jocks & Queens

    男はアメフト選手 女はチアリーダーで金髪



    The Brains

    ガリ勉君 上昇志向は強いけど筋肉なし



    The Greeks

    故郷脱出志向はある 多少の上昇志向はあるものの向上心はナシ



    The Goth

    最下層 将来性ゼロ

    キレると自動小銃を乱射する



    なんだかわかるわかるぅ っていう感じです

    • nono0418さん
      nyancomaruさん

      コメント&ご指摘ありがとうございます

      ダブッた部分はなおったかな???
      またお越しくださいませ~
      nyancomaruさん

      コメント&ご指摘ありがとうございます

      ダブッた部分はなおったかな???
      またお越しくださいませ~
      2012/06/26
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      最初に良い一冊を選ばれましたね、コンパクトに纏まっていて、エっとかナルホドと思わして呉れる。
      内田センセの本は、どれもお薦めです。。。
      最初に良い一冊を選ばれましたね、コンパクトに纏まっていて、エっとかナルホドと思わして呉れる。
      内田センセの本は、どれもお薦めです。。。
      2012/06/27
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      直ったので、コメント差替えました←これも後で削除します。
      直ったので、コメント差替えました←これも後で削除します。
      2012/06/27
  • 「映画は、映画について語られることを欲望しているジャンルである」が持論の著者が、長年、書きためた映画評の中から自ら厳選。画期的な小津安二郎論10本を含む187本。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)
    まず、私はこの本をタイトルだけ見て、貸し出し予約していた。
    「うほほいシネクラブ」
    なんだかすごく楽しそうな名前…
    気分的には死ね死ね団と同じノリだと思っていた。
    しかし!!シネクラブのシネは死ねではなくシネマのシネだった!!!
    しかも!物語じゃなく、新書の映画評論本だった!!!!笑
    予約図書が届いたときき、意気揚々と向かった図書館で「こちらで間違いないですか?」と聞かれた私の心の動揺を察して欲しい。
    間違っていたのは私なのであるが…

    まぁ、とにかくにも、読もう!と思いパラパラっと読んだ。
    結論としては、論じてる映画を見てからもう一回ちゃんと読みたい!と思った。
    映画にたいして詳しくない私には、もったいない本だ!
    とりあえずそういえば見たいと思ってたんだった…となった映画をメモ…
    ミリオンダラー・ベイビー
    マーズ・アタック!
    ブロークバック・マウンテン
    シン・シティ
    サマータイムマシン・ブルース
    ミュンヘン
    ダ・ヴィンチ・コード
    硫黄島からの手紙
    グラン・トリノ

    あと、間宮兄弟についてのところで、オタクの真性度は「決して裏切らないもの」に対する忠誠の深さによって考量される
    って考え方になるほど面白いと思った。

  • なるほど映画というのは、もとより本質として”ああだこうだ言う人込みで存在するジャンル”なのか・・確かに著者が書評等他のものを評したものに比べると断然筆が冴え渡っている気がする。何度も吹き出しそうになった。
    あまり関係ないが、ヤスい映画は独白や溜めの表情などを多用して鑑賞者を”神の視点”に立たせてしまう、という。そういえば自分って何をしてても自分が神の視点に立ちたがるところがあるなと気づかされた。

    [more]<blockquote>P113 初めて出会ったその時に私が他ならぬその人を久しく「失っていた」ことに気づくような恋、それが「宿命的な恋」なのである。(宿命とは言い換えると既視感である)

    P156 人間は自分で造形し、自力で演じるのである。私たちが「本当の自分は何者であるのか」といったことは問う必要のないことである。それよりは与えられた状況の中で、「自分がそうありたい人間」として、語るべきことを語り、なすべきことをなせ。ただしどんなときもそれが虚構であることを忘れるな。

    P187 エリート教育を受け、戦争を生き延び、社会的成功を収めた男たちの、悠揚たる物腰から垣間見える「堪え難い浮薄さ」を小津は見逃さない。

    P197 問わないという気遣いが時には必要なのは本当である「問わない」人にしか自分を託せないほどに疲れ切ることが時にはあるからだ。小津安二郎はそのような人間の疲れ方を本当によく知っていたのだと思う。

    P208 よい映画というのは、「この絵が好き!」という強迫的な欲望にかられたフィルムメーカーによって撮られる。

    P213 寒気がするほどリアリティがあるのは「何も考えていない顔」です。

    P214 金で幸福は買えない。でも金で不幸は追い払える。

    P247 「お先にどうぞ。あなたには私より多くの権利があり、私にはあなたより多くの義務がある」そう言いきれるために何をすべきかレヴィナス先生は語っていないが、映画の中でディカプリオ君はちゃんと語っていた。「今のこの瞬間を感謝とともに生きること」である。

    P264 計算高さと無防備さ、イノセンスと邪悪さ、志の高さと性根の卑しさを同居させた魅力的な人物

    P268 その都度言うことの変わるあいまいな人物が逆説的なことに「不動の定点」として時代の変遷を超えて人々の「燈台」となっているのである。

    P309 彼らが無力なのは、自分が善良であることに満足しているせいで、おのれが無力であることを恥じないからである。たぶんスピルバーグは奴隷商人よりもこの「善良で無力な人々」の方を憎んでいる。(アウシュビッツのユダヤ人たちの命を現場で救ったのは、人間の邪悪さを熟知しているシンドラーというクールで計算高いビジネスマンだった)

    P392 人間の暴力性とは「同語反復」であり、人間の知性とは「前言撤回」のうちに存するということ

    P364 他人の悪夢は自分の悪夢ほどには怖くない

    P372 何でもないことは流行に従う。重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う。
    </blockquote>

  • (要チラ見!)/新書

  • 2011年10月20日、初版、並、帯なし
    2013年12月25日、津BF

  • 見ていない映画のレビューはやっぱり読みたくないので、とばし読み。そうなると、流れがわからなくて・・・。

    ブラックレインの松田優作の演技についてと、ライフ・イズ・ビューティフルの解説はゾクッとしました。

    改めて読みたいと思います。

  • 知らない映画の評も読ませる、というのが、文筆で印税を得ることができるか否かの違いであろう。『ホテル・ルワンダ』と品川プリンス日教組拒否事件とをリンクさせたのは秀逸としか言いようが無い。

  • 見てみようと思った映画。
    『スピード・レーサー』
    『モハメド・アリ かけがえのない日々』

全30件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田樹の作品

うほほいシネクラブ (文春新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする