さよなら! 僕らのソニー (文春新書 832)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608324

作品紹介・あらすじ

ウォークマンに代表される「技術のソニー」ブランドはなぜかくも凋落してしまったのか。それを解くカギは大賀、出井、ストリンガーと続く経営陣の知られざる暗闘にある。そして、経営の失敗がいかに企業ブランドに影響を与えるか、その恐さが見えてくる。ソニーで起こっている経営問題は決して他人事ではない。

感想・レビュー・書評

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  • 非難ばかり

    結果から悪いところばかり取り上げて、たらればで責め立てるのは簡単

  • 日本を代表するメーカー、ソニー衰退の裏事情。
    かつてのソニーは、高品質な製品を作る代表的な企業として有名だったが、創業者亡き後、徐々にその評判が低下し現在では普通の電機メーカーになってしまった。長年ソニーを取材し続けてきた著者は、経営の度重なる方針転換が現在の状況を招いたと考える。時代をリードする技術を持ちながら、それを製品に生かせなかったこと。時代の流れを読み切れず、ユーザーの志向の変化についていけなかったこと。創業時の指針に反し、メーカーでありながら、コンテンツビジネスを重視したことで、核となる収益手段を失ったことが要因と指摘する。経営者が会社を纏めきれないことも原因としている。
    著者は、様々な問題を抱えて、昔のような優秀な製品を生み出すソニーは戻ってこないと考えている。
    若い頃、ソニーの製品を買った人達は、みんな誇らしげでした。ソニーは高性能の代名詞で、高価でなかなか手が出ないので、持っている人が羨ましかった記憶があります。また、優秀な企業として、多くのビジネス書に成功例として採り上げられていたのを思い出します。しかし、創業者が相次いで亡くなった頃から、革新的な製品が出なくなり業績が悪くなってきている印象があります。この本を読むとその理由が判るような気がしました。

    (追記)2021年現在、ソニーは大復活を遂げました。1兆円の利益を挙げて、この本に書かれた時代とは大きく変わりました。この本のタイトルは「さよなら、昔のソニー」に変えた方が良いかもしれません。ビジネス本は難しい、、。

  • ソニーの創業から現在に至るまでについて書かれた本。過去技術のソニーとしてエレクトロニクス業に特化した事業を展開し、ウォークマンなど画期的で人々の琴線に触れる商品を供給してきた。しかしながら、昨今ではストリンガー会長のエンターテイメント重視の経営より、技術力は衰退し、革新的な商品が生み出されなくなっている。またこれに伴い技術力の高い人材がサムソンやLGへ流出するという事態まで起きている。アメリカは元来製造業はうまくいかず、エンタメ重視の経営で評価されてきた。そのアメリカのストリンガー氏を会長に据えるのは技術のソニーの終焉を意味する。また、ストリンガー氏は日本のソニーの会長でありながら、日本には月に1週間程度しか滞在しない。さらに、重大な問題が起きたときにも自ら謝罪の場に立つのでなく、現場のトップに謝罪させる。このように現在のソニーは創業者である盛田氏による技術のソニーとしての面影はない。さよなら僕らのソニー。

  • •ソニーがハードからソフトへと転換を図ったこと、技術軽視に傾いたこと、技術者の流出、経営状態が悪化した経緯がよく分かる。
    •一方で出版後10年以上経った今、ソニーはソフト変換の成果をもとに大復活を見せている。当時の判断は間違っていないとも言える。
    •さらに、ハードの凋落もイメージセンサーやデジカメのコア技術で復活を見せており、その後10年で何が起こったのか、興味深い。

  • どの世の中でも、本当に会社や組織を良くしたいと思う強烈なリーダが必要である、と思う。

  • 「技術のソニー」ブランドはいかにして凋落したのかを、ソニーの経営陣の動きから読み解いた本。

    ソニー暗黒の低迷期とブランド失墜はなぜ起こったのか。本書を読むと、創業の理念からかけ離れていき、自己保身に走ろうとする経営陣が原因であることが見えてきます。

    ムダには未来のために必要なムダ(先行投資)と、本当のムダ(不必要な出費)があります。ソニーの大きな失敗は先行投資までカットしたこと。

  • 1962年、アメリカ・ニューヨークの一等地である五番街に「SONY」のショールームが開設された。終戦からそんなに経っておらず、まだまだ反日感情の強いアメリカで、その玄関にたなびく日章旗(日の丸)に当地の日本人は勇気付けられたが、それは社長の盛田氏の「悲願」であると同時に「覚悟」でもあった。1980年代の「ウォークマン」や家庭用ビデオカメラ「ハンディカム」など、独特のアイデアと技術力で世界を相手に急成長し、あのスティーブ・ジョブズ氏までが憧れた“SONY”の神話が、その後の経営判断によって崩壊していった経緯をたどる。本業であった「モノづくり」からコンテンツビジネスに、目先の利益を追い求めてハードからソフトに方向転換した「采配ミス」が、日本を代表する企業を苦しめたと分析するのはジャーナリストでノンフィクション作家の立石氏。

  • これが現実なのか、と思ってしまうが大企業、グローバル企業はこういう問題をいつもはらんでいることだと思う。

  • 企業の衰退について。

  • ソニーの迷走を経営陣に焦点を当ててまとめた本。出井氏やストリンガー氏の経営方針が井深氏、盛田氏が創った古き良きソニーをどう変えてしまったかと切々と著している。

    ソニーファンであった著者のソニーへの愛を感じるが、ソニーとの別離(=ソニー復活の諦め)の宣言ともとれる。

    『週刊ダイヤモンド』の特集「さようなら!伝説のソニー」とセットで購入。

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著者プロフィール

立石 泰則(たていし・やすのり)
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。1950年福岡県生北九州市まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。「週刊文春」記者等を経て、1988年に独立。92年に『覇者の誤算――日米コンピュータ戦争の40年』(日本経済新聞社)で第15回講談社ノンフィクション賞を受賞。2000年に『魔術師――三原脩と西鉄ライオンズ』(文藝春秋)で99年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。そのほかの著書に『マーケティングのSONY――市場を創り出すDNA』(岩波書店)、『戦争体験と経営者』(岩波新書)、『さよなら! 僕らのソニー』『松下幸之助の憂鬱』(いずれも文春新書)、『「がんばらない」経営――不況下でも増収増益を続けるケーズデンキの秘密』『働くこと、生きること』(草思社)など多数。

「2021年 『増補新版 フェリカの真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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