さよなら! 僕らのソニー (文春新書)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608324

感想・レビュー・書評

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  • 最近はソニーの凋落に関する記事・書籍を多く見かけるが、それだけ愛されている特別な会社なのだろう。当時の日本にとってのソニーは、今のアメリカにとってのアップルなのだと思う。あのクールな商品を作った会社はMade in Japanだということが沢山の人を勇気づけたのだと感じた。

    ・日立や東芝に比べ、中小企業だったソニーにとってアメリカ進出は急務だった。
    ・ソニーの社長は意図的に技術屋と事務屋が交互に務めるようになっていたが、大賀氏が後継者に考えていた技術屋がスキャンダルを起こしたため、出井氏が消去法で選ばれた。
    ・DRCを開発した行動哲二郎氏が率いる研究所を中鉢氏が解体し、行動氏は独立した。
    ・出井氏の挙げた成果は、DVD規格統一の譲歩と、好き勝手やるソニー米国社長を解任したこと
    ・CEOと社長という2頭体制のせいで、出井氏もハワードも権力基盤の強化に腐心せざるをえなかった。
    ・エレキの復活なくしてソニーの復活なしだが、、今の経営陣にエレキのわかる人がいない。ネットワークの戦略も描けていない。
    ・盛田氏も大賀氏も商品企画を何よりも重視した。

  • SONYは大賀、出井、ストリンガーと経営が変わっていく中で技術屋から企画屋への変身に失敗し凋落していく。著者は殊更「技術のソニー」を懐かしむが、出井がハコモノでは発展がむずかしいと考えたことは今となっては正しいし、この時期に既にそう考えていたことは先見があると思う。又、Apple買収の提案までしていたというから驚く。ただ、真に事業や会社のことを考えていたわけではなく、地位の固執に走ったところが、ジョブズが戻った後のAppleと大きく差がついた原因だ。

  • ソニーはもはや昔のソニーではない、という話。
    昔のソニーというのは革新的なエレクトロニクス製品を生み出す企業という意味。
    出井氏が社長を務めた時代以降、ソニーはハードだけでなく、ハードとソフトの両輪、さらには融合を掲げて、いまやソフトがメインになりつつある。
    著者は、グローバル化の時代にハードだけでは生き残れないのでこのような流れは仕方ないかもしれないとも書いているが、それでも出井氏が社外活動に走りすぎとか、ストリンガー氏に対しては、会社の業績より自らの保身に走っている、とかなり批判的である。

    一番気になったのは技術者の居場所がどんどんなくなって、日立やサムスンなどにどんどん流出しているということだった。
    もうソニーは我々をワクワクさせる製品をだすことができなくなるのだろうか。

    ソニーや日本のエレクトロニクスの歴史を知れて、読み物として面白かった。また、次期CEO平井氏がストリンガー氏に気に入られていることまで書いてあったので、タイムリーな内容だった。
    一方で、何度か同じ内容が繰り返されていたので、もう少し編集には気を使ってほしかった。

  • 史実は面白かったけど、そこはかとなく漂う老害感。年齢みて納得してしまった。技術者は死なないと思うし、そういう点で、ソニーに別れを告げなきゃいけないのは先のない人だけ

  • 心がときめく新製品を出せなくなったSonyに対する著者のいらだちが、表れています。ほぼ経営陣批判の内容なので、興味深い点もあるが、三面記事的な印象をぬぐえない

  • 2012/02/21
    うーん。
    社会の流れとか情報化社会を理解していていない
    物作り大好きな著者のソニー批判。
    何度も「技術のソニー」って言ってる時点で
    この人は結構痛い。
    自分で経営も勉強した事ないって言ってるし、、。
    そういう人が書けることは「社内政治」とか、「現場の声」やけど、
    臨場感もなく、普通のソニー好きなおじさんって感じ。

    一応自分におけるポイントメモ。

    ・日本製品は「安かろう悪かろう」だった。
    →これは中国がこれから「made in china」で躍進するかもって思う。
    ・創業者精神をコングロマリットが引き継ぐのは無理がある。
    →「技術で社会を」と言ってるのに保険とか無理。
    ・過去の成功体験に解を求めず、未来の中に解を求める。
    →難しいけど頑張りどころ!
    ・シャワー効果
    →これを機に、覚えたい。
    ・人事は経営者のメッセージ
    →特に大企業はそうなんだろう。

  • ライトに読めて、まあ面白かった。途中で出てきた「存在が意識を規定する」という言葉が自分なりの一番の収穫。バーチャルな組織というものは、概して機能しない。
    ソニー内部のいざこざは、話半分で読んだ。テレビの戦略をまずったのは間違いないが、テレビは高画質・DRC最高の繰返しは大違和感。画質では売れない。

  • ソニーの歴史やカルチャーに関する記述は非常に興味深かった。
    しかし本題である、出井社長以降のソニーに対する批判は、少々的外れ感。
    プロダクト中心からコンセプト(サービス)中心へのシフトというのは企業としての戦略転換で、「昔のプロダクト重視の文化が失われてしまったからダメだ」といった感情論で語られるべきものではないと思う。
    昔と今のソニーだけでなく、他のグローバル起業などとも比較して、その戦略やビジネスモデル、その背景にある歴史・文化などに踏み込んで論じてくれたらもっと面白かったのに。

  • 流れはわかったけど、なんだか疲れた…。ソニーのこと、さよなら!って言われてもな~。出世争いとか権力とか院政とか、トップの人たちって妬みや苦しみが多そうだ…っていうのが正直な感想。

  • 日経新聞120219 21面 読書1
    http://www.nikkei.com/paper/article/g=96959996889DE1EAEBE3EAE1E2E2E3EAE2E0E0E2E3E09F8893E2E2E2;b=20120219
    より

    書1
    現代の「経営者像」を考える
    後継者育成の重要性 神戸大学教授 小川進
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     数カ月後に株主総会をひかえ経営トップの交代や続投が話題になる季節。「自分の勤める会社の経営者像」について思いを巡らし、周囲と議論するのに今は格好の時期だ。



    会社の未来を切り開く戦略は経営トップが創出するものだ
    イラスト・よしおか じゅんいち
     2年前、国際的なビジネススクール、INSEADの研究チームが世界のCEO(最高経営責任者)を対象に在任期間の経営成果を比較・評価した。そこで、第1位に輝いたのがアップルのスティーブ・ジョブズだった。彼の一生を描いたウォルター・アイザックソン著『スティーブ・ジョブズ(1・2)』(井口耕二訳、講談社・2011年)は「経営者がなすべき仕事」という点で読むたびに新しい気づきを与えてくれる良書だ。

     初期のアップルを成功に導いた要因、同社を追われることになったジョブズの経営者としての未熟さ、復帰後の華やかな成功のために必要とされた成長。そうした点を整理するだけで経営の任につく者に求められる条件が浮かび上がる。「Aランクの人材しか雇わない」「商品企画を足し算ではなく引き算で考える」といったことを自社でも実行できるか。「自社の経営者」が持つ思考の前提について考えるよい機会となるだろう。

    ●至難の戦略構想


     ジョブズが目標としていたのはソニー。ではなぜソニーはアップルになれなかったのか。立石泰則著『さよなら! 僕らのソニー』(文春新書・11年)は徹底した現場取材で定評ある著者が、ソニーの経営者の交代と重ね合わせ、同社がかつての輝きを失った原因に迫ろうとする力作だ。本書を読むと、ソニーがアップル買収や世界初のスマートフォン開発といったチャンスをことごとく逃していた事実を知ることができる。

     平たんでまっすぐな道を歩くような企業経営のかじ取りはない。むしろ先が見えず、足元に何があるかすらおぼつかない状況の方が多いだろう。そんな過酷な環境の中で経営者はいかに戦略を構想し、それぞれの会社の「らしさ」に磨きをかけていくか。著者の記述からその至難を学ぶことができる。

     会社の未来を切り開く戦略は各社固有の文脈下で経営者が創出する特殊解だ。そうである以上、生み出される解は各社各様であってよい。では日本企業で卓越した経営手腕を発揮する経営者はどのような戦略を構想し、どのように実行にうつしているのか。それを知るには、コマツの前CEOである坂根正弘著『ダントツ経営』(日本経済新聞出版社・11年)が参考になる。ジョブズを世界ナンバーワンCEOと評価した前述のINSEADの研究チームは坂根氏を日本人CEO第1位とした。

    ●バトンをつなぐ
     本書によればコマツは、生え抜きのサラリーマン社員の中からトップが生まれ、数年後に後輩にバトンを引き継ぐ経営を行っている。それぞれの経営者が「自分の代に、どれだけコマツを強くできるか」を競い合う。

     坂根氏はCEO在任期間中に現在の同社の競争優位を支える「ダントツ商品の開発」と「売り切り事業からの脱却(コムトラックス)」を成功させた。これらのプロジェクトに対しどのような発想でどんな判断を行ったのか。著者の記述にそって追体験するだけでも日本企業の経営者として押さえるべきポイントを学ぶことができる。



     著者は、後継者育成は社長にしかできない仕事だと考えている。ただその方法論については多くを語っていない。

     それを補うのが、クレイトン・クリステンセンほか著『イノベーションのDNA』(櫻井祐子訳、翔泳社・12年)だ。いくつかの行動に努力を集中することで誰でも革新的な経営者になれるし、自らが持つ革新遺伝子を組織に植え付け、多様な人材を補完的に組み合わせれば組織としてイノベーションを実現できると論じている。

     次代の経営者をどのように育てるかについては読者の宿題となっているが、どのような点に注力すべきかについては明快かつ分かりやすく解説している。ハーバード大学の看板教授が共同研究者と世界の革新的経営者を対象に調査した結果だけに説得力は折り紙つきである。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家、ジャーナリスト
 1950年、福岡県北九州市生まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。経済誌編集者や週刊誌記者を経て、1988年独立。
 92年に『覇者の誤算─日米コンピュータ戦争の40年』(日本経済新聞社)で第15回講談社ノンフィクション賞を、2000年に『魔術師─三原脩を西鉄ライオンズ』(文藝春秋)で99年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞する。
 著書に、『ソニーと松下』(講談社)、『さよなら! 僕らのソニー』(文春新書)など多数。

「2017年 『日本企業が社員に「希望」を与えた時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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