原発と原爆 「日・米・英」核武装の暗闘 (文春新書)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608737

作品紹介・あらすじ

日本の原子力発電をリードしてきた権力者たちには、核オプションを持つという戦略があった。米英の機密文書から初めて明らかにされるイギリスを巻き込んでのプルトニウム確保、ロッキード事件へとつながる原発建設ラッシュ。

感想・レビュー・書評

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  • 日本がいかにして潜在的核保有国になったか。その軌跡。徹底したリアリズムで戦後の政治はなされてきたんだなという印象。原水爆反対運動の盛り上がりに直面して,共産化の危機におののきつつも,原子力平和利用を推進。その裏ではプルトニウムの行方をめぐって駆引きが繰り広げられていた。原発と核兵器というと,反原発の観点からの偏った見方が目立つけど,著者は中立的で信頼感がある。
    正力から角栄,中曾根に至って,ようやく日本は核武装の潜在能力を手に入れるが,ソ連崩壊によりプルトニウムは「買える」ものとなり,その価値は相対化される。リベラリズムの国際政治に果たす役割が大きくなってきているのにも,何か,兵どもが夢のあとという感傷を催してしまう。

  • 現状では原子力発電に関する嫌悪感は強い。
    が、原発はただのエネルギー政策という側面だけで存在するはない。技術と設備と燃料調達をすべて整合的に、また国際的に明らかな状態で持つ、という困難を経て手にいれたものである。
    戦後からの政治的なやり取りを詳細に調べて、日本が核の技術を必要としたかがよくわかる。
    世界情勢は変化していく中で潜在的核兵器武装能力を持つ意味も大きく変わってしまった。
    これからも思いがけない情勢の転換はあるだろう。

  • チャーチル畢生の大著からその要所を余すところなく抜き出してこの一冊に凝縮。ヨーロッパで、そしてアジアで、どんな決断を迫られたのか。連合国最高首脳自らが迫真の名調子で綴る第二次世界大戦史の決定版。

  • 【要約】


    【ノート】
    ・あれ?どこで登録したんだろ?

  • 2012年8月26日購入

  • ・原子力発電=核兵器と密接な関係があるわけで今までの研究においてはそれらに対する注目が無かった。
    →反原発が反米・反原子力運動と結びつく。

    日本側もアメリカの原子力支援を要望。
    (公共事業として沖縄に原子力発電を建設?)


    正力松太郎:原子力発電とプルトニウムを不可分な物だと捉えて、イギリスとアメリカ両国に働きかける。
    →イギリスは原子力情報に関する制限が緩かった。
    →加えてソ連から原子力発電技術の提供を受ける可能性あり?

  •  日本の原発導入経緯や田中角栄政権の資源政策にまつわる巷間の「陰謀論」を、米英の一次史料等を用いて否定している点は評価できる。

  • 日本は「大国」だということは日本人として意識しづらいけど、「核」という側面でも実は大国だということを初めて認識しました。

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著者プロフィール

有馬哲夫(ありまてつお)
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『歴史問題の正解』『原爆 私たちは何も知らなかった』『こうして歴史問題は捏造される』『日本人はなぜ自虐的になったのか』(全て新潮新書)、『NHK解体新書』(ワック新書)など。

「2021年 『一次資料で正す現代史のフェイク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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