「原発事故報告書」の真実とウソ (文春新書)

  • 文藝春秋 (2013年2月20日発売)
3.73
  • (5)
  • (11)
  • (8)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 83
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784166609000

作品紹介・あらすじ

福島第一原発事故をめぐっては、政府、国会、民間の事故調査委員会の報告に加え、「第一容疑者」が事件を捜査してみせるという奇怪な東電の事故調報告も含めて4つもの調査報告が公表された。だが、事故原因の核心はほとんど解明されていない。「予想を超える大津波が来て、全電源を失い、炉心の核燃料を冷却できず、炉心は融解落下し、原子炉は次々水素爆発を起こした」というのは、過酷事故を招いた当事者たちが責任逃れのために都合よくつくりあげた「筋書き」でしかない。4基の同時多発事故は、それぞれ独立に起きたのか、連鎖なのか。東電の初期対応は適切で、間違いや手抜かり、ミスはなかったのか。事故を拡大させた原因はどこにあるのか。メディア受けのするエピソード集めではなく、事故の推移、シークエンスを客観的に解き明かし、事の本質を公にするのが「事故調」の仕事のはずが、民間事故調にしても、東電の協力が得られなかったとして、「福島第一の11日間」ではなく「官邸の11日間」を取り上げるほかなかった。他の事故調に比べて格段に強い権限を持ち、当時の閣僚への公開聴取がメディアの注目を集めた国会事故調にしても、半ば「政治ショー」と化し、肝心なところでは要員退避計画の存在を否定する東電の「筋書き」にまんまと乗せられてしまった。事故調の中で事故解明のまっとうな意欲が最も感じられたのは政府事故調だが、「第一容疑者」である東電が、あらゆる記録データと物的証拠を、事故発生以来一貫して一手に管理し続けている状況では、解明にはおのずと限界が生じた。4つの事故調報告は、それぞれどこが違うのか? 違いはどこから生じたのか? それぞれの事故調査報告書のポイントを整理し、設立事情にまで遡って、その主張と問題点を読み比べる。

みんなの感想まとめ

福島第一原発事故を受けた四つの事故調査報告書を比較し、その本質的な問題点を浮き彫りにする内容が展開されます。各報告書の立場や目的を整理し、特に国会事故調と政府事故調の違いに注目。事故の真相解明に向けた...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『「原発事故報告書」の真実とウソ』 (塩谷喜雄 著) | 自著を語る - 本の話WEB
    http://hon.bunshun.jp/articles/-/1426

    文藝春秋のPR
    「本来の使命を忘れ政治的見世物と化した事故調
    4つも出されながら真相を明かすことなく、政治的見世物やメディア受けのするエピソード集と化した事故調報告を比較・検証する!

    福島第一原発事故をめぐっては、政府、国会、民間、東電から4つもの事故報告書が出されながら、いずれも「事故の推移を客観的に解き明かす」という事故調本来の使命は果たしていないようです。むしろ政治的見世物やメディア受けのするエピソード集めに終わった印象です。各報告には無視できない違いや矛盾がありますが、この点も十分に比較・検証されていません。科学ジャーナリストの塩谷喜雄さんが、それぞれの報告書のポイントを整理し、設立事情にまで遡って、その主張と問題点を読み比べるのが本書です。(NY)」

  • 2026/06/09 「原発事故報告書の真実とウソ」塩谷喜雄☆
    4つの事故調査報告書を比較しランク付け。分かり易い手引き。それにしても報告書が乱立するのは日本が途上国の証で残念。
    ① 国会事故調☆☆☆△ 黒川清 石橋克彦地震「人災」
    ② 政府事故調☆☆☆   畑村洋太郎 事実認定に注力
    ③ 民間事故調☆☆☆  船橋洋一 政府を責める
    ④ 東電事故調★   責任逃れに終始 東電の企業体質
    1.「津波主犯説」の悪意 東電の責任回避
    2.福島第一はメルトダウンだが 福島第二・東北女川は保持できたのはなぜ
    3.東電清水社長の「全面撤退問題」 後から否定は東電らしい
    4.原発事故発生頻度と原発発電コスト
    ① 日本の原発54基に限定、福島事故1回 →発生頻度1500炉年
    ② 日本の原発54基に限定、福島事故3回 →発生頻度 500炉年 54基で割ると、10年に1度の過酷事故確率!受け入れがたい
    5.「行政不作為」
    職務上当然行うべき行為を怠って社会に損害を与えること
    専門家は責任を問われるが、組織のトップは不問
    →日本では、エリートは責任を問われない 戦前天皇の「無答責」  無責任社会は劣化する

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】

  • ジャーナリストによる、4者(国会、政府、民間、東電)の事故報告書をそれぞれ比較し、分析した良書。東電の報告書が、一貫して責任を逃れる内容になっているかがわかる。201410

  • 【本来の使命を忘れ政治的見世物と化した事故調】4つも出されながら真相を明かすことなく、政治的見世物やメディア受けのするエピソード集と化した事故調報告を比較・検証する!

  • そばやの出前、なんでも官邸団などの軽口を入れながら読みやすい文章。

  • 4つの事故報告書のそれぞれの主張、見解がまとめられている。加えて、当時の報道では錯綜していた東日本大震災直後の政府、東京電力の対応についても迫っている。

  • 地震の直後には、メルトダウンや最悪首都圏3500万人の避難の可能性など知らずに、ノー天気に生活し、何で突然に外国人が東京から居なくなったのかの疑問を持つ程度でした。
    前に読んだ「メルトダウン(ドキュメント福島第一原発事故)」とこの本とで、これまでのモヤモヤが、一気に霧が晴れた感じがします。

    内容は題名の通り、福島原発事故の事故調査委員会の報告書の比較。つまり、「国会事故調」「政府事故調」「民間事故調」「東電事故調」の4つの事故調査報告書の比較です。
    著者は科学ジャーナリストで、かつ日経の論説委員なので、専門的な用語の解説や素人では見落としがちな事への目配りがされており、非常に分かりやすく書かれています。
    膨大な資料を読み解き、其々の評価・批判はもとより、抜け落ちているものまで説明してくれています。これは中々の労作です。
    面白かったのは、
    ★「国会事故調」や「民間事故調」の当時の管総理への批判に対して、「事故は官邸で誰かがボタンを押し間違えて発生した訳ではない」とか、「踊る大捜査線の青島刑事」のセリフを引用して「事件は会議室ではなく現場で起きている」と、官邸批判を切り捨てて、返す刀で、安易にそれに飛びついたマスコミ批判もしています。
    ★東電と保安院の報告書は全て未曾有鵜の津波が悪いの大合唱です。
    津波の前に来た地震の影響でどれほどの損傷が出たのかについては「国会事故調」がかなり切り込んでいます。地震が主原因であれば、対策においても全然違った対応になります。
    以下は事故調にはなく、著者が追加した点の中で、興味を惹いたのが、
    ★政府の原子力委員会が「原子力発電所の事故コストの試算」の過程で、「事故発生頻度」を試算しているのですが、最悪の場合、日本にある原発のどれかが、10年以内に放射性物質を大量に飛散させる過酷事故を起こすという、とんでもない副産物が飛び出してきた。
    ★日本の地震学会は、世界では完全否定されている地震の直前予知を掲げ、研究費を得てきた。要するに、プレート境界型の大規模地震なら予知できるとしてきた根拠が、今回の地震でガタガタと崩れ去った。
    世界の地震学会で、地震の直前予知などを口にしたら、占いの類だと笑われるそうです。
    ★新幹線と原発の安全比較。
    JRは上記の科学的には、全く当てにならない直前予知ではなく、大地震が発生したら、P波とS波の差を利用して、走行中の車両を止める早期警戒システムをいち早く導入し、3.11では運転中の27本の列車を全て安全に停車し、乗客を避難させている。
    福島原発には地震の直撃を受けた後で動く緊急停止システムはあるが(今回はうまく行ったとされているが、原子炉に近づけないので実態は?)、これよりも、電源が確保できている間に制御棒が曲がったり、折れたりするリスクも少ない、JRのようなシステムこそ必要でないかという提言も納得できるものでした。

  • 地元の図書館で読む。

全9件中 1 - 9件を表示

この本が好きな人におすすめの本

塩谷喜雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×